98年2月SF Book Review



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  • 星々の揺籃
    (アーサー・C・クラーク&ジェントリー・リー、早川書房、880円)
  • いやー、いつ面白くなるのかなあと思いながら最後まで読んでしまったが、これはかなりトホホ。つまらんハリウッド映画のようなストーリーと演出しか見あたらないぞ。これがクラーク&リーのデビューだったそうだが、これは、かなりファンを参らせたのではないだろうか。「ラーマ」がそれなりに読めて良かったなあ、と思ってしまった。

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  • ホーリー・ファイアー
    (ブルース・スターリング、小川隆訳 アスペクト、2600円)
  • これはハインラインだ。大人向けのおとぎ話。未来世界のイメージ。テクノロジー。再生。生への強烈な肯定と賛美。あ、感想が終わってしまった(^_^;)。
    もうちょっと付け加えておこうか。今回は老化防止技術や人格の再構成を核として、スターリングならではのSF的リアルさを持つ未来世界が構築されている。「SF的リアルさ」とは、リアルというのとはちょっと違う。サイエンスをベースにしつつも、物語の為に構築された未来世界のことだ。この辺、スターリングはさすがにうまい。知性化された犬や巨大きのこ、クスリなどなど。いいなあ。

    100ページまでは我慢して読んで下さい。その後は面白いです。ラストもいい感じ。


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  • 変身
    (井上雅彦監修、廣済堂出版、762円)
  • <異形コレクション>3。1の「ラヴ・フリーク」は傑作短編集、2の「侵略!」はダメダメ、と来たので今回はどうかと思ったのだが…、心配は杞憂だった。この短編集はOK、素晴らしい。変わる恐怖、悦び、渇望、哀しさ、<変身>テーマのほとんどが収まっている。

    ラヴ・フリーク」よりも遙かに良い出来。これは本当に嬉しい驚きであった。やはりホラーは、本来ホラーであるところのテーマで、本来の力を発揮するのかもしれない。これでダメって人は、ホラー短編は元々肌に合わないのだと思った方が良いかも。

    頭は倉阪鬼一郎氏。実は私、彼の作品の大ファンなので非常に嬉しかった。


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  • タイム・リーパー
    大原まり子、早川書房、720円)
  • なぜ鶴田謙二の表紙?謎だ。内容にまるでリンクしてないと思うんだけどなあ。もっとも、僕も表紙に惹かれて思わず手に取ってしまったクチだから、営業戦術上、仕方ないのかも。93年刊行の文庫落ち。

    内容は、昔なつかしい普通のエンターテイメント。暇つぶしには最適かもしれません。帯には「タイム・パトロール対特殊能力警察 時間跳躍能力者をめぐる凄絶な争奪戦!!」とあるが、このままのストーリー。行間を含めた描写は、ファンなら誰でも分かる大原節。ラストの展開は、著者の時間観、運命観を反映しているのかなー。ちょっと苦い。


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