NetScience Interview Mail 2004/03/11 Vol.268 |
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研究:運動の学習と制御の神経機構、脳内の時間順序表現メカニズム
著書:小脳における上肢随意運動の学習機構の解明.
『ブレインサイエンスレビュー2001』(伊藤正男,川合述史編/医学書院、2001:216-243.)
到達運動の制御と学習の神経機構.
『脳の高次機能』(丹治順,吉澤修治編/朝倉書店,2001:106-118.)
研究室ホームページ:http://www.med.juntendo.ac.jp/kenkyu/09index.html(建設予定)
研究内容の参考になるウェブサイト:
▼HFSP NewsLetter No.13 ―多才な運動を実現する脳の機構の解明へ―
http://jhfsp.jsf.or.jp/news/letter/no13/nl-05.html
▼HFSP NewsLetter No.17 ―ノイズが開く運動制御の可能性―
http://jhfsp.jsf.or.jp/news/letter/no17/nl-03.html
▼AIST Research Hot Line 手の交差で時間が逆転 ―脳の中の時間―
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol01_06/vol01_6_p12.pdf
○腕をコップに向けて伸ばす、このような運動を「到達運動」と言います。このとき、脳のなかでは腕を制御するためにある種の計算が行われていると考えられています。ではそれはどのような規範に基づいているのでしょうか。北澤先生はこのような運動制御における小脳の役割について研究しておられます。
また、北澤先生は実に不思議な現象を発見しました。右左の手をポンポンと叩く。どちらが先に叩かれたのかは、目をつぶっていても分かります。ところが、腕を交叉するとこの時間順序の判定が逆転するというのです。これはいったい何を意味するのでしょうか。
身近な身体に関する研究の話です。不思議なことは私たちのすぐそばにいくらでもあるということを感じて頂ければと思います。(編集部)
…前号から続く (第5回)
■これには大きな弱点があることにすぐお気づきだと思います。良い状態にずっといることができないんです。ここ(良い状態)でも、ある程度拡散してますから、良い状態に居たところで、必ず悪い状態に行くわけですね。全体のなかで時間としてみると、単位体積あたりの滞在時間てなことを考えるとピークができるけど、悪い場所にいる時間もかなり長いわけですね。 ○はい。
■拡散する次元が、1次元とか2次元とか小さければいいですけども、実際にはすごい多次元の空間ですから、そこで拡散していたら収拾がつかない。すごく良いところにいる時間はほとんどないじゃないかということになります。
○和ですか。なるほど。
■それぞれのコントローラは本当にただランダムウォークするだけ。ただそれだけです。
■イメージ湧きにくいと思うんで、非常に簡単な例を作ってみました。 ○ええ。
■50ミリ秒間で10度だけ眼球が動くような制御をするHighとLow二値のコントローラーの中で誰が一番マシか、を考えて見ましょう。このようなコントローラ群には、HigからLowへのスイッチングのタイミングの分の1次元の自由度があります。切り替えタイミングが早い場合は、Highがとても大きくなります。切り替えのタイミングを遅くしていくと、Highの値はどんどん小さくなってきて、Lowは大きくなります。 ○はい。
■いくつか、仮定を設けます。 ○はい。 ■100ステップランダムウォークさせますね……こんな感じになります。いまは10度が目標ですが、ノイズの乗り方によって、オーバーシュートしたりアンダーシュートしたりするわけですね。この終点の誤差に応じて、スイッチングのタイミングを右か左かランダムに振る。どのくらいのエラーのときにどのくらいスイッチングのタイミングを切り替えるかとていう、ステップ幅を決める比例係数によって動くスピードは大きく変わります。たとえば、1度終点でずれたら、50msec大胆にずらすという大きいステップ幅でやってみました。すると、100ステップの間にも、スイッチングのタイミングがかなり動くわけです。 ○ふーむ。
■そのスイッチングのタイミング100トライアル分の動きを書いてみる。スイッチングのタイミングがどのように分布したのかヒストグラムも描いてみる。すると、誤差分散が小さい範囲にスイッチングのタイミングが入っているときはあまり動かないので、そのあたりのタイミングは増えてくるわけです。そういう条件にしたのだから、当たり前といえば当たり前なんですが。 ○ふむ。 ■もともとのハイロウ二値コントロールよりも、100ステップの平均出力はかなり理想的な出力に近いわけです。平均すると結構良い感じなんです。 ○うーむ。そうですね。当たり前なんですが、結構…… ■というわけでですよ。一個のハイロウコントローラ−−これ、「バンバンコント ローラー」って言ったらいけないんだそうですね。「バンバンはオンかオフだけのこ とで、ハイロウ二値に使っちゃいけない」と。この間外国で注意されて来ました (笑)。一個のハイロウのシンプルなコントローラーの出力を、スイッチングタイミ ングをランダムウォークさせて、たくさんの回数で平均してやると、結構いい出力を 出してくるということなんですね。 ○はい。
■そしたらですよ、いま一個だから100回やって平均を取っているわけですが、100個コントローラーがあってそれぞれが同じランダムウォークするとすればどうでしょう。100個の平均出力をいつも使ってコントロールしていると考えてみたらどうでしょう。
○このランダム・ウォークは実在するんでしょうか。脳のなかに。 ■小脳にあると思っていますが。どうやって証明すればいいのか。どうすればいいんでしょうね(笑)? ○ええ(笑)? それがいま検討中のところですか。
■そうですね。いま、これを直接証明しようとすると、平行線維にノイズがのっているというのがポイントですよね。ノイズを足したおかげでランダムウオークができるわけだから。 ○はい。 ■それを本当に生きている生体の小脳でやるのは、ほとんど不可能です。 ○それで、「人工小脳」ですか。
■そうです。 ○ぜんぜん違いますね。 ■もう一つは、実際に脳から運動の意志を取り出して、外部機器を制御する際に小脳の学習の原理をインプリメントしてやることができれば、失われた運動機能の代償のときの制御しても使えると。 ○人工小脳というのはそこまで考えた話なんですか。 ■はい、将来的には。本当に人工に作った小脳を埋めるのではありませんが、脳の外に小脳機能を実現する。それが人工小脳計画です。
○ロボットを創るわけではなくて、デューク大学のミゲル・ニコレリスらみたいな考え方ですか。
(参考: ■そうです。Nicolelis先生の後追いです(笑)。 ○彼らの研究はラットやサルの脳の運動ニューロンの信号を取り出して、アームを制御するというものですよね。僕は彼の仕事の細かいところまで知らないんですが、どういう戦略でやってるんでしょうか。 ○次号へ続く…。
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発行人:株式会社サイネックス ネットサイエンス事業部【科学技術ソフトウェアデータベース・ネットサイエンス】 編集人:森山和道【フリーライター】 |
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