NetScience Interview Mail 2004/01/22 Vol.262 |
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【粟崎健(あわさき・たけし)@東京大学 分子細胞生物学研究所 細胞機能情報研究センター・高次構造研究分野】
研究:昆虫の神経発生
研究室ホームページ:http://jfly.iam.u-tokyo.ac.jp/lab/
○昆虫が幼虫から蛹を経て成虫になると、幼虫のときとは食べ物はもちろん、行動様式も全く変わってしまいます。芋虫が羽を生やしていきなり空を飛び、これまで食べたことのないものを食べ、生殖活動を行うようになります。蛹のときに、昆虫の脳ではいったい何が起こっているのでしょうか。おそらく、ダイナミックな神経系の再編成が行われているに違いありません。それは昆虫だけの特別な性質に過ぎないのでしょうか。そんな疑問を抱えて、昆虫の変態時の神経系の様子から、神経系の不思議に迫ろうとする粟崎健さんに話を伺いました。
これまでにも本誌では昆虫に関するインタビューをたびたび行ってきました。合わせて読み直して頂ければ幸いです。(編集部)
…前号から続く (第9回)
○僕が現象として興味があるのは−−たとえばイマジナル・ディスクがありますよね。それに神経は投射されてるんですか。幼虫のときから。 ■イマジナル・ディスクは原基っていうんですけど。神経の出来方について−−この場合感覚神経ですけど、一番よくわかっているのは複眼原基についてです。 ○教えてください。
■そもそも複眼は、複眼原基っていうのから作られるんですが、これが幼虫の時にすでにあるんですよ。そいつらがだいたい蛹になる前くらいから分化をはじめて、将来、成虫の眼、複眼になるんです。 ○へー。
■そのときにできた奴から順番に神経を−−オプティック・ストープっていうのを通して伸ばしていく。その先には、視葉っていう、視覚中枢があるわけです。 ○なるほど。
■だから複眼原基でモルホジェネティック・ファロウっていうのが動くと同時に、視葉でも分裂の波が動いていくんですよ、脳のなかで、です。 ○ふーん。 ■だから最初はイマジナル・ディスクには神経は繋がってないんですね。そういう意味では。できて、伸ばして繋がっていくというのが正確な答えです。 ○目しかあまり分かってないんですか。 ■うーん、脚も多少は分かっているけども、やっぱり自分で伸ばしていくんだと思う。最初から繋がっているというよりは、神経細胞が生まれて、その細胞が、ガイダンス様のことをして中枢に繋がっていくんだと思う。
○僕が粟崎さんの研究を見つけて面白いなと思った点がいくつかあって。
■お見せしましょうか。(脳切片のプレパラートを見ながら) ○ええ。
■そこはちょっと難しいよね。しかも脳にいっちゃうと、何やってるか分からない。少し壊してもこいつらは故障するよね。脳の構造が違うということは分かるけども、脳の機能がどう違ったかということは、そこを突くような実験はなかなかできない。 ○でも脳というか神経回路の面白いところは、形=機能になっているところなんじゃないですか。 ■うーん、そうかなあ。いや、分からないね。キノコ体はなんでこんな形で嗅い学習と記憶を制御できるのなんて言われると、分からないよね。なぜこんな形してなければいけないんだろうね。
○神崎先生は全部マップを作ると仰ってましたけどね(笑)。 ■嗅覚系(olfactory)はね、いまショウジョウバエでも、もの凄い勢いでやってるんですよ。電気生理はできないできないと言いながらも、バッタの電気生理やってた人たちも入ってきているし。行動の研究はイマイチだけど、匂いが嗅げてる嗅げてないとか、匂い情報処理の仕組みに関しては、ショウジョウバエではもうここ1,2年でおそろしいくらい増えているんですよ。 ○なるほど。匂いはやっぱりやりやすいんですか。分子で分かってるから……。
■嗅い情報の需要については、マウスとかと同じで、嗅細胞が「糸球体」っていうのに投射していて構造的に調べやすいんですよ。 ○ふーん。
■でも、それが行動でね、行動とどう関連しているか、それを理解するのは難しいよね。
○粟崎さんご自身が今後やっていきたいことはどういうことですか。 ■僕はたぶん神経発生をずっとやっていくと思います。 ○神経発生。
■もともとやっぱり発生に興味があって、どうやって形が作られるの、というのに興味があったんです。 ○はい。
■分かってきたというのは語弊があるかもしれないけど、ある意味の根本的なメカニズムの、ある種のことは何となく分かってきた。 ○なぜ神経回路の発生なんですか。 ■やっぱりねえ、分かってないことが多すぎる。しかも、一つの挫折は、僕の歴史にあるんだけど、最初はセル・フェイト(cell fate)っていうのが大事だと思っていたんです。 ○セル・フェイト? ■発生運命のことです。細胞が、神経細胞も含めて、どうやって決まった細胞に分化していくかってこと。でもそのときは、神経伸びるっていうことを意識しなかった。 ○ん?
■神経としての分化運命が決まれば全て決まるだろうって思ってたんです。 ○なるほど。 ■だけどよくよく考えたら、そいつが神経線維をね、ちゃんとした場所に伸ばしていけるのかとか、AとBが違う方向に軸索を伸ばして行く仕組みがよく分からない。そういうわけで「軸索ガイダンス」ってことに興味を持って、さっき言ったtrioとかをやっていたわけです。 ○ふむ。
■だけどガイダンスをいくらやっていても、こんなに細かい神経回路ちゃんと作れないだろうと思い始めたんです。トータルで、見ると、脳の中の複雑なネットワークの形成って何も分かってないんだよね。で、それは興味あるなあと思って……。 ○……。 ○次号へ続く…。
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◇『コンセント、抜けてます。 SE、ハッカー、一般ユーザーの日常と非日常』(栗林 彰/秀和システム)
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◇裳華房 自然科学系の雑誌一覧−最新号の特集等タイトルとリンク−
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2/18日〜20日、東京国際フォーラム
◇JAXA シンポジウム『月で拓く新しい宇宙開発の可能性と日本』
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◇朝日 ハッブル望遠鏡、07年に寿命? NASAが補修見送り
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◇朝日 イラクの次は火星で特需?新宇宙戦略にハリバートンの影
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◇読売 コンピューターのミス、6人の腎臓移植が後回しに
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◇毎日 インフルエンザ脳症 一部の解熱剤、子供には使わないで
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◇毎日 体感温度の調節で快適に−−始まる校舎のエコ改修
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◇毎日 基幹通信網:5年以内に容量不足 危機回避に総務省が研究会
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200401/16/20040116k0000m040153000c.html
◇毎日 16活断層、30年内に地震の可能性−−調査研究推進本部、観測を強化
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◇毎日 液晶画面:世界初、酸化亜鉛の「透明導電膜」実用化 高知工大
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200401/13/20040113k0000m020025001c.html
◇日本工業新聞 文科省、がん治療の研究支援で専門機関
http://www.jij.co.jp/news/bio/art-20040113195008-ISIXHKDAJO.nwc
◇日本工業新聞 PDAがTV電話に、富士通研が新ソフト技術
http://www.jij.co.jp/news/soft/art-20040112195749-OFRISYQQMR.nwc
◇日経 ICタグ実用化、200企業と機関が共同実験
http://it.nikkei.co.jp/it/sp/ictag.cfm?i=2004011307479wf
◇共同 臍帯血、3割生かされず
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/0113saitaiketsu.html
◇神戸新聞 阪神・淡路大震災特集
http://www.kobe-np.co.jp/sinsai/
◇東京新聞 展示の目玉に凍結マンモス 来年3月開幕の愛知万博
http://www.tokyo-np.co.jp/00/detail/20040117/fls_____detail__025.shtml
◇japan.internet.com 使っていないところ Foot-Click 足で踏んで操作できるボタン
http://japan.internet.com/busnews/20040119/7.html
◇MYCOM PC Web CES2004レポート 「未来を作る」MITメディアラボも出展、業種や産業の連携による相乗効果
http://pcweb.mycom.co.jp/articles/2004/01/16/ces/
◇BizTech トリインフルエンザ:高病原性H5N1はヒト感染で多臓器不全引き起こす
http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/med/leaf?CID=onair/medwave/tpic/286057
◇BizTech 近畿経済産業局など、ロボット関連技術のシーズ発表会を開催
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/ntec/286078
◇BizTech deCODE社とSimons財団、自閉症遺伝子の探索を開始
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/medi/285268
◇BizTech 「大学発ベンチャー614社」――文科省調査
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/gen/285481
◇Medwave “トクホ長者”誕生、総医研がマザーズに上場、時価総額は788億円に
http://medwave2.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf?CID=onair/medwave/a027/284921
◇HotWIRED 昆虫の視覚システムを模した「目」を持つ超小型無人航空機
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040119301.html
◇HotWIRED 真の目的は「シャトルと宇宙ステーション計画廃止」か――米国の新宇宙開発計画
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040119302.html
◇HotWIRED 月や火星に米国の覇権?――米国の新宇宙開発計画に懸念
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040119203.html
◇HotWIRED 脳とコンピューターを直結するインターフェースが現実に
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040116301.html
◇HotWIRED 50年前から続く月面基地への夢
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040116302.html
◇HotWIRED 透明なガラス窓が、テレビやコンピューター画面に変身
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040116303.html
◇HotWIRED インドの『シンピューター』、ITUのプロジェクトで採用へ
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040116208.html
◇HotWIRED ブッシュ大統領の「新宇宙計画」――月面基地や火星への有人飛行も視野に
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040115301.html
◇HotWIRED ナノテクが新たな有害物質を生む?――最新電子顕微鏡が明かすナノ粒子の素顔
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040115302.html
◇HotWIRED 多くの携帯機器を格納し、太陽電池で充電できるジャケット
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040115305.html
◇Nature BioNews 医学 :プリオンは記憶に関係している? 記憶にかかわるタンパク質がプリオン型に変化
http://www.appliedbiosystems.co.jp/website/SilverStream/Pages/pg33A1.html?NTNEWSCONTENTSCD=78967
◇Nature BioNews 政策 :輸血と変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 献血適格者の絞込みで不足する輸血用血液の有効利用
http://www.appliedbiosystems.co.jp/website/SilverStream/Pages/pg33A1.html?NTNEWSCONTENTSCD=78970
◇Nature BioNews 医学 :幹細胞の「若さ」を保つ方法 フィーダー細胞なしでの培養に手がかり
http://www.appliedbiosystems.co.jp/website/SilverStream/Pages/pg33A1.html?NTNEWSCONTENTSCD=78969
◇IT Pro いまどき人工知能について書く理由
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20040115/1/
◇ITmedia 宇宙でも活躍するJava、火星探査車を動かす
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0401/16/news028.html
◇ITmedia RFIDネットワークの運営をVeriSignが担当
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0401/14/news036.html
◇ITmedia 「水道哲学」こそ松下流ホームネットワークの極意
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0401/10/news003.html
◇ITmedia 色で変化を伝える情報デバイス――MIT系の新興企業が開発
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0401/13/news028.html
◇ITmedia CESで見つけた無名のユニーク製品
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0401/13/news007.html
◇ITmedia ハイテク大手、在庫管理支援プロジェクトを競って展開
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0401/13/news022.html
◇ITmedia 急接近する自動車とケータイ
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/0401/13/news001.html
◇バンダイ 『ドラえもん・ザ・ロボット』2004年3月下旬発売 我が家に「ドラえもん」がやってくる! 〜バンダイが贈る対話型エンターテインメントロボット〜
http://www.bandai.co.jp/releases/J2004011401.html
◇NTTデータ RFIDを利用し、宅配手荷物と航空手荷物のワンストップサービス「手ぶら旅行」を実現! e-タグ実証実験への参加について
http://www.nttdata.co.jp/release/2004/011600.html
◇富士通研究所 電子ペーパー材料でコピー用紙と同等の表示品質を実現
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2004/01/16.html
◇原沢製薬 赤ちゃんの泣き声分析器"Why Cry"(ホワイクライ)
http://www.cgi1.net/~ssa00914/text/whycry_set.html
◇AstroArts 初期宇宙の銀河はすでにかなり成熟していた! ブラックホールの影響か?
http://www.astroarts.co.jp/news/2004/01/15gemini/index-j.shtml
◇CNN 無人探査車「スピリット」、火星に降り立つ
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200401150023.html
◇科学技術者のための総合リソースガイド・NetScience
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基本的には一行告知ですが、情報が少ないときにはこういう形で掲示していきます。
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発行人:株式会社サイネックス ネットサイエンス事業部【科学技術ソフトウェアデータベース・ネットサイエンス】 編集人:森山和道【フリーライター】 |
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