主人公ハップは短期記憶人。違法に他人の夢や記憶を一時的に預かる人間だ。事件は一人の女の記憶を預かったところから始まった。記憶内容は殺人。このままじゃ犯人にされてしまう! 記憶を相手に戻そうとするハップだが、ハップに恨みを持つ警官やら、そっくり同じ外見をしたなぞのダークスーツ軍団、別れた女房などが次々と出現、トラブルと死体と銃弾が転がり続ける。
こう書くとなんだか普通の話みたいだな。だがそもそもサイバーっぽく始まった話があっという間にファンタジーになるとは僕は予想もしていなかったし、また謎の男の正体が、まさか○○○だと言われるとは予想もできなかったし、さらに…となるとは全く見当もつかなかった。
作中、あちこちで興を添えるのが、しゃべり、自分たちで勝手に歩き回る家電製品達。ハップの目覚まし時計なんて、僕の頭の中では完全に鳥山明の描くあの時計のイメージだったんだけど、著者はいったいどういうイメージだったんだろ。
作者は『スペアーズ』の人。この人、基本的にリミックス屋さんみたいだな。素材を開発することはできないんだけど、それをリミックスして料理することはできる、そんな感じの人みたいだ。