ワイアード2月号(4.02号「情報サブウェイ」)
叩けばそこがキーボード
巷ではカルチェのラブリングが大流行。だがワイアード読者にはこっちの指輪の方が魅力的かもしれない。指にはめ、トントンと机などを叩けばそこがキーボードになる、という代物である。どうですか、お客さん?
NTTヒューマンインタフェース研究所によって開発されたこの「フィンガリング」は、<常装着型>インターフェースの一つの解答である。各指にはめたセンサモジュールで机やヒザなどを叩いた時の衝撃を検出、手首に装着した本体(写真はアンテナ部分)に送信する。送信には人間の体そのものを電線として使っている。(15)
センサの電源はコンデンサー。LEDの半分程度の電力しか消費しないので、現在のものでさえ2,3分の充電で30-40分の動作が可能だ。将来は一回の充電で終日使用可能なものを目指している。現在はまだ「ド派手なおばちゃんの指輪並みの大きさ」だが、専用チップを作れば、大幅な縮小が可能だという。
ただし、通常のキーボードとは違い複数の指の組み合わせで文字を表現するコード入力方式のため、若干のトレーニングが必要となる。開発者の福本氏によると、慣れれば200文字/分程度は打てるようになるそうだ。
もっとも力を発揮すると考えられるのは、PDAなどの入力デバイスとしての用途。福本氏は「本当に歩きながらでも使える電子手帳」を考えている。実際、これならばどこでも使えるだろう。手近な物をトントン叩けばいいのだから。他にも障害者用の入力機器や「楽器」としての使用(名前のFingeRingには、ピアノの「運指法」の意味がある)など、この「指輪」の可能性は実に広い。
FIngeRingに関する論文:http://www.acm.org/sigchi/chi97/proceedings/paper/fkm.htm
words 森山和道
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