Popular Science Node 1999/11/09 Vol.020 |
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◆CONTENTS: |
[Digest]
◇科学関連やじうま
[Book Review]
書評再録 『遺伝子組換え植物の光と影』
[New Books]
『深海に挑む』
『アインシュタインとボーア ―相対論・量子論のフロンティア―』
雑誌『生物の科学 遺伝』11月号
[Event]
「地球観測巡回セミナー/巡回教室」開催のお知らせ
視覚と空間認知への総合的アプローチ委員会2シンポジウム
しし座流星群」インターネットライブ中継
[from editor's diary] 編集人のウェブ日記から
[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ |
▼向井宇宙飛行士、スペイン皇太子賞を受賞! NASDA
http://jem.tksc.nasda.go.jp/topics/1999/1022.html
◇「カシオ科学振興財団」が平成11年度助成内容を決定
http://www.casio.co.jp/company/zaidan/1999naiyou.htm
◇日経BPの検索サイト「Find'X」、新規ディレクトリー「ロボット」をオープン
http://findx.nikkeibp.co.jp/
http://findx.nikkeibp.co.jp/robot_0.html
◇東京農大・岩崎説雄教授らのグループがヒトの細胞をウシの卵子に移植する実験を行っていたとして、文部省の審議会が調査に。
◇「高機能・快適」、進化するスポーツウエアの近況 繊維ニュース
http://www.sen-i-news.co.jp/1.0/page.asp?id=3367
◇葛西臨海水族園、“ハイブリッド水族館”実証実験スタート−−一般来園者を対象とした実験も予定 ASCII24
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/1105/topi04.html
◇書評再録 『遺伝子組換え植物の光と影』 |
編集人のウェブサイト http://www.moriyama.com/
から書評を再録します。
今回は『遺伝子組換え植物の光と影』の書評を再録。
遺伝子組換え植物の光と影 (山田康之(やまだ・やすゆき) 佐野浩(さの・ひろし)編著 学会出版センター 1900円) GMOだとか「BTトウモロコシ」だとか、耳慣れないおかしな農産物の名前を耳にする ようになって結構たつ。BTとは「バチルス・チューリンゲンシス」という細菌の名 前だ。この細菌が「体内に蓄積する結晶性タンパク(デルタエンドトキシン)は、鱗 翅目のある種の昆虫幼虫の消化管内では毒性ペプチドとなり、タンパク質分解酵素の 働きを阻害する。これは「幼虫の消化管内のpHがアルカリ性であることと、その中 腸上皮の特異的受容体との結合によるもの」であり、哺乳類には毒性がないという。 そのため数十年前から生物農薬として使われてきた。この遺伝子を導入し害虫抵抗性 を持たせた農作物が、いわゆるBTなんとかと呼ばれる作物である。Btワタ、Bt ジャガイモなどがある。 今まで読んだ遺伝子組み換え植物、遺伝子組み換え食品に関する本の中でもっとも 「科学的な」内容の本。淡々と書かれた論文集なのだが、非常によくまとめられてお り面白かった。植物への遺伝子導入にはどういう手法があるか、遺伝子組み換え植物 にはどのようなものがあり、どのように作られているのか、どのような安全性試験が 行われているのかといったことが分かる。図表など資料も多い。感情的な好き嫌いな らば何を言っても構わないが、遺伝子組み換え植物の科学面について語りたければ、 心情的な賛否はおいといて、まず本書を読むべきだ。 本書のタイトルは「遺伝子組換え植物」である。組換え食品ではない。遺伝子組み換 え植物といっても、そのままダイレクトに食品になるものは少ないからだ。もとも と、1996年に作られた「地球環境変動に対応する植物バイオテクノロジー第160委 員会」というグループが中心になっているので基本的には必要だというスタンスで書 かれている。また「光と影」というタイトルにはなっているものの、主に描かれてい るのは光であって影ではない。だがそれでも本書は極めて公正な態度で書かれている ように思う。少なくとも研究者達がどう考えて研究を進めているか、そしてどのよう に批判を受け止めているか分かる。万々歳イケイケだけで書かれているわけではな い。 目次を引用しておく。 1.持続可能な社会は構築できるか 佐野浩 2.遺伝子組換え植物 1.遺伝子組み換技術の現場 大塩裕陸 2.実用化された遺伝子組換え植物 久住高章 3.安全性評価 I リスクとベネフィット 1.安全性評価の考え方 佐野浩、山田康之 2.農薬へのリスクアセスメント 松尾昌季 4.安全性評価 II 食品としての安全性 1.遺伝子組換え食品 佐藤文彦 2.健康と環境への安全性 橋本渉、門間敬子、村田幸作 5.安全性評価 III 生態系への影響 1.導入遺伝子による生態系の攪乱 大井和之、矢原徹一 2.導入遺伝子の拡散とその動態 山口裕文、中山裕一郎 6.市民生活の中で 1.社会的許容度 橋本昭栄 2.遺伝資源の保全と利用 渡邉和男、岩永勝 7.第2世代の遺伝子組換え植物 1.環境修復 森川弘道 2.物質生産 新名惇彦 8.結びと展望 1.「解決しなければならない問題」の解決へむけて 佐野浩、 山田康之 2.分子育種は何をすべきか 佐野浩、森川弘道 遺伝子組み換え植物が粗放栽培、粗放農業を目指しているというのは、意外な話だっ た。それだけが目標ではないだろうし、実際にそれができるかどうかはまた別問題だ ろうが。 遺伝子組み換え植物の技術は、決して食料生産の商業化のみのものではない。これか らは「代謝工学」と呼ばれる技術を使った第二世代の遺伝子組み換え植物が登場して くる。「既存の代謝経路の分断、分岐、強化、あるいは新規経路の作出」がターゲッ トになる。モンサントが作り出した生分解性プラスチックを作るナタネなどはその始 まりだろう。これからは、どんなものが登場してくるのだろうか? 期待と不安が入 り交じるが、まず情報が必要だ。 |
http://www.moriyama.com/1999/sciencebook.99.10.htm#sci.99.10.12 より
◇New Books |
出版社・著者らからの新刊案内をそのまま流します。
本誌が内容を保証するものでも書評でもありません。単なる書籍広告欄です。
あくまでご参考にどうぞ。
新刊案内を流したい編集者・著者は編集人まで。
◇『深海に挑む』 ポピュラー・サイエンス215 海洋科学技術センター理事 堀田 宏著 四六判/192頁/本体1600円+税,裳華房 http://www02.so-net.ne.jp/~shokabo/book_news.html#10.4 戦艦大和の海底調査でも知られたように,水深200m以上の太陽光 がとどかない暗黒で冷たく,高圧の海,深海.そこにはいったいど んな世界が広がっているのか.日本が世界に誇る「しんかい6500」 を始め最新鋭の潜水調査船が,この未知なる領域に挑む. 1章 地球の姿を探る 2章 深海底を探る 3章 潜って調べる 4章 深海底の人工物体を探る試み 5章 深海底に沈んだ船を探す 6章 未知の深海底の世界 7章 孔を掘って地球を知る ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ ◇『アインシュタインとボーア ―相対論・量子論のフロンティア―』 日本物理学会編 A5判/322頁/本体価格4500円+税 裳華房 ISBN4-7853-2814-2 http://www02.so-net.ne.jp/~shokabo/book_news.html#10.5 現代物理学は,20世紀初頭にアインシュタインによってつくられた 相対論とボーアによって提唱された量子論とを基礎として今日まで発 展してきた.本書は,その相対論と量子論に関連するいくつかの基礎 的かつ重要なトピックスを選び出して,それらの研究のフロンティア を,第一線の先生方が解説したものである.現代物理学の最先端を学 んでみたいと思う方々には格好の入門書といえる. 1章 物理学の進化 ―相対性理論と量子論― [前田恵一] 2章 量子力学的世界像と古典物理学 [江沢 洋] 3章 マクロな世界にも現れる量子現象 ―トンネル効果― [高木 伸] 4章 レーザー冷却された原子気体のボース‐アインシュタイン凝縮[上田正仁] 5章 光の速さを測る ―相対論入門― [霜田光一] 6章 アインシュタインの重力理論とブラックホール [前田恵一] 7章 素粒子の世界から宇宙へ [二宮正夫] 8章 ミクロな世界の法則と素粒子現象 [荒船次郎] 9章 超弦理論と量子重力 ―自然界の力を統一する― [川合 光] 10章 アインシュタインと宇宙定数 ―定常宇宙論から進化宇宙論へ―[池内了] 11章 宇宙の始まりと量子論 [佐藤勝彦] 12章 量子コンピューターと量子暗号 [井元信之] ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ ◇雑誌『生物の科学 遺伝』11月号(特大号) 本体1100円+税 裳華房 http://www02.so-net.ne.jp/~shokabo/iden.html 【特集・花と虫たちの共進化/鈴木和雄 企画】 花とその花粉を媒介する昆虫の巧妙な関係は,古くからナチュラリスト たちの興味を引いてきた.あたかも花の形にあわせてあつらえたような ハチの口吻の長さ,ランにみられる巧みな送粉システムなどは,いった いどのように進化してきたのだろう.花と虫たちの共進化−現在でも新 発見の相次ぐ,その驚異の世界にご案内しよう. <目次> 特集にあたって ハナアブ類に好まれる花たち 花形態の多様化と送粉者 ハナバチの「心」を知り尽くした花たち 熱帯林の臭い仲−糞虫によって送粉される植物 イチジクとその送粉昆虫の共生関係 −種子を食べる昆虫から種子を育てる昆虫への進化 花たちの広告戦略−花びらへの最適資源投資 |
なお編集人による新刊科学書評は http://www.moriyama.com/ にアップされています。
◇Event |
科学に関するイベント情報などを収集して告知します。
告知したいイベント主催者は編集人までメールを。
◇「地球観測巡回セミナー/巡回教室」開催のお知らせ 宇宙開発事業団 http://yyy.tksc.nasda.go.jp/Home/Press/Press-j/199910/seminar_991020_j.html ◇視覚と空間認知への総合的アプローチ委員会2シンポジウム −視覚と運動を通して空間を把握する− 12/21 けいはんなプラザ http://www.keihanna-plaza.co.jp/research/eye/index-j.html ◇しし座流星群」インターネットライブ中継 11/17〜19日 http://www.live-leonids.org/
◇Website |
この欄では、ポピュラーサイエンス関連の優れたウェブサイトを勝手に紹介する。 日本語で書かれたポピュラーサイエンス・サイトは確かに少ない。 だが、少ないなりにはあるのだ。
堀場製作所のホームページは何がどこにあるか分からないくらい色々なコンテンツがある。
SENSORIUMのページには、「おもしろ分析図鑑」「pHの不思議」「波の不思議」「X線物語」「モニタリングアース」「ちいさな科学の巨人たち」「歴史を変えた科学の小道具」などの科学コンテンツがある。
曰く、「計測の科学の楽しさをおもしろおかしくお伝え」するというもの。一つのウェブにまとめられてはいるものの、中身はそれぞれバラバラ。それが逆にヴァーチャル博物館のような雰囲気を醸し出している。
◇from editor's diary http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.htm |
99.11.04 曇りhttp://www.moriyama.com/diary/1999/diary.99.11.htm#diary.99.11.04 より
▼手書きスケッチによる3次元モデリングシステム Teddy
http://www.mtl.t.u-tokyo.ac.jp/~takeo/research/teddy/teddy-j.htm
五十嵐 健夫氏による。
http://www.mtl.t.u-tokyo.ac.jp/~takeo/Welcome-j.html▼EVIDENCE OF FIRST PLANET ORBITING A PAIR OF STARS
http://bustard.phys.nd.edu/MPS/
いままでSF映画にしか登場してなかったものがついに発見された。
動画
http://bustard.phys.nd.edu/MPS/97-BLG-41/97blg41.html
でもこのムービーなんだかよくわからんぞ。▼もう一度月の氷を狙って観測。今度ぶつかってくれるのは獅子座流星群
http://science.nasa.gov/newhome/headlines/ast03nov99_1.htm
なるほど。一方で米空軍は被害に備えて対応準備だそうな。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/3291.html▼これが火星表面に落ちたフォボスの影。がんばれMars Global Surveyor。
http://mars.jpl.nasa.gov/mgs/msss/camera/images/11_1_99_phobos/index.html▼人獣共通感染症(Zoonosis)連続講座。
http://www.primate.gr.jp/yamanouchi/index.html
Primate Forumから。
http://www.primate.gr.jp/main-j.html
ていうか、このPrimate Forumってどういうものなの?
非常に立派なコンテンツなんだけど、問い合わせだそうにもメールアドレスもないぞ。
◇from editor |
弊誌では相変わらず科学に関する寄稿をお待ちしております。 ではでは、今後ともよろしくどうぞお願い申し上げます。
本誌ホームページ:http://www.moriyama.com/popular_science_node/ *本誌に関するご意見・お問い合わせはmoriyama@moriyama.comまでお寄せ下さい。 |
新刊書籍情報・イベント告知情報ほか各種情報の掲載について
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