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Popular Science Node
1999/10/19 Vol.017
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◆CONTENTS:

[Digest]
◇科学関連やじうま

[Column]
1999年ノーベル賞

[New Books]

[Event]
鳥取大学創立50周年記念特別企画フォーラムのお知らせ
エデュテイメント2000京都
AIBO EXPO ’99
ワールド・バード・カウント
第33回 東京モーターショー1999

[Website]
Science Xitalk(サイエンス サイトーク)

[from editor's diary] 編集人のウェブ日記から

[from editor]


[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ

▼地球の人口が60億人を突破と発表、国連

▼今年度ノーベル賞決定
http://www.nobel.se/announcement-99/

▼ISS/きぼうにおける研究シナリオ・利用戦略へのご意見募集
http://jem.tksc.nasda.go.jp/utliz/doc11.html

▼第7回衛星設計コンテスト最終審査会の一般公開について
http://yyy.tksc.nasda.go.jp/Home/Press/Press-j/199910/eisei_991012_j.html

▼「IARC-NASDA情報システム及び衛星データを利用する北極圏研究」
 公募研究提案の審査結果について
http://www.esto.or.jp/iarc/

▼毛利宇宙飛行士への質問大募集!!
http://jem.tksc.nasda.go.jp/shuttle/sts99/mohri_question.html

▼1999年の「しし座流星群」広報文章、国立天文台
http://www.nao.ac.jp/pio/leo/

▼JCO事故時における那珂研究所のモニタリングデータ 科学技術庁
http://www.sta.go.jp/genan/jco/jco91008.html

▼「NASDA NEWS」10月号
http://yyy.tksc.nasda.go.jp/Home/News/News-j/215index.htm

▼ルナ・プロスペクターの衝突で水は観測されず
http://science.nasa.gov/newhome/headlines/ast13oct99_1.htm http://www.lunarimpact.com/

▼IKONOS衛星による画像データを公開、日本スペースイメージング株式会社
http://www.mitsubishi.co.jp/jsi/

▼Hubble Heritage Project's First Anniversary 惑星状星雲の写真
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1999/35/pr-photos.html

▼理科の社会教育ネットワークML
http://www2.hamajima.co.jp/~nisiki/rikanet/

[Column]

◇1999年ノーベル賞

先週、今年のノーベル賞の発表がありました。
10月11日には医学生理学賞にアメリカ・ロックフェラー大学のギュンター・ブローベル教授(63)が受賞決定。翌12日には物理学賞がオランダ・ユトレヒト大学のヘラルデュス・トホーフト(トフーフト)教授(53)とマルティニュス・フェルトマン名誉教授(68)に。化学賞はアメリカ・カリフォルニア工科大のアハメド・ズバイル教授(53)がそれぞれ決定しました。

というわけで、ノーベル賞の季節がやってきました。「たかがノーベル賞」と言われることも多いようですが、「されどノーベル賞」というのも間違いないところ。そこで今回は今年のノーベル賞について。ちょっと荷が重いのですが。


まず、医学生理学賞ですが、これは細胞内のタンパク質の移動メカニズム解明における貢献に与えられたものです。この話は刊行されたばかりのレビュー集『細胞内物質輸送のダイナミズム』シュプリンガー・フェアラーク東京にも出ていますので、それを参考にしながら、ごく簡単にまとめてみます。

細胞内には数多くのタンパク質があり、それらはぞれぞれリボソームと呼ばれる細胞内小器官で合成され、それぞれ適所に運ばれます。

1970年代前半、ブローベルはタンパク質のN末端に付いている疎水性アミノ酸のクラスターを「シグナル配列」と名付け、これが郵便物の番地のような役割を果たしているという「シグナル仮説」を提唱しました。これは正しいことが分かったのですが、以下のようなものです。

蛋白合成に伴い、ペプチド鎖がリボソーム上で伸びていくに連れ、リボソームからシグナル配列が露出します。するとシグナル認識粒子というRNA-タンパク質複合体が結合し、ペプチド鎖合成中のリボソームを小胞体上に運びます。

小胞体の上には膜貫通タンパク質で構成された膜透過装置があります。リボソームはこの膜透過装置に直接結合し、翻訳を続けながらペプチド鎖を小胞体の中に送り込みます。こうして、つまり組立てながら穴を通すという方法でタンパク質は膜を透過し、それぞれ必要な場所へと行くことができるのです。

もちろんこれで終わりではなく、膜透過装置を通じて送り込まれたペプチド鎖は伸びて行くとともにシグナルの切断や糖鎖の付加などを受け、機能するように加工されていきます。


次に物理学賞ですが、これは「非可換ゲージ理論のくりこみ可能性」と呼ばれる、統一理論に関する功績なのですが僕にはちんぷんかんぷんなのでパス…と行きたいのですが、いちおうトライだけしてみます。

1958年〜1971年頃、ゲージ場理論によって「弱い力」と「電磁気力」を統一しようという試みが行われていました。67年、グラショウ、サラム、ワインバーグの3人は、電磁力を伝達する光子と「弱い力」を伝達するW粒子(ウィーク・ボゾン)の共通性に目をつけました。エネルギーが十分高くなるとW粒子は光子と同じく質量をもたなくなってしまうのです。これによって上記3人は電弱統一に成功、79年、実験的裏付けもないのに3人はノーベル賞を受賞しました。

ですが、この理論は発表と同時にさっさと受け入れられたわけではありません。この電弱理論は1954年に公式化された「ヤン-ミルズ理論」と呼ばれるものを使っていました。これは後に「ゲージ理論」とも呼ばれるようになるのですが、これには、これまでの理論にはない「対称性」がありました。対称性とは、ある操作をしても変わらない、というものですが、ややこしいので省略します。とにかく、これを使ってワインバーグやサラムは電弱統一を図ったのです。

ところが、大きな問題がありました。これまでのW粒子理論も繰り込み不可能だったのですが、これもまた繰り込み不可能であろうとみんなが思っていたのです。これが「ヤン-ミルズ理論」が発表されて20年もほったらかしにされていた理由でもあります。

そのような状況の中、当時24歳の大学院生だったトホーフトが登場したのです。1971年のことです。トホーフトは、ヒッグスによっていくらか進展を見せていたヤンーミルズ理論は繰り込み可能であり、「弱い力」の理論に適合するということを示したのです。
30年間続いたW粒子にまつわる発散の問題は彼の手によって終わりを遂げ、躍進期が到来したのです。

ミチオ・カク、ジェニファー・トンプソンは共著書『新版 アインシュタインを超える』講談社ブルーバックスの中でこう言っています。

「ゲージ理論が繰り込み可能だというこの証明が、物理学の世界に火山の爆発を起こしたといっても誇張ではない。1860年代のマックスウェル以来初めて、自然界の基本的な力のいくつかを統一できる理論が生み出されたのだ」(170ページ)

また同著によればトホーフトは計算のダブルチェックの結果を得たときのことを、このように回想しているそうです。

「そのテスト結果は1971年7月に手に入った。プログラムの出力はずらりと並んだゼロの列だった。本当にあらゆる無限が抹消されたのだ」

これがさらに、量子色力学、さらには超ひも理論へと繋がる基礎となったのです。


次。化学賞。これは化学反応を起こしている一瞬をレーザーを使って観測する方法を開発したことに与えられた賞です。一瞬というのはどのくらいかというと、1000兆分の1秒。フェムト秒と呼ばれる世界です。

どういうことかというと、レーザーの光を、一瞬だけ物質にあて、そこで動きを止めて観察するのです。それによって1000兆分の1秒の世界で起きる化学反応を、まさに一過程一過程ごとに追うことができるようになったのです。

電子が一個飛んだとか飛ばないとかいった世界で行われている、光合成の研究などでも使われているものだと思いますが、これについては本当によく知らない、というか情報が手に入らなかったのでパス。


手抜きですが、以上です。
なお授賞式は12月10日、ストックホルムで行われます。
それぞれの賞には790万スウェーデン・クローナ(約1億700万円)が贈られるそうです。

【関連リンク】

▼1999年ノーベル賞
http://www.nobel.se/announcement-99/

▼The Nobel Prize Internet Archive
http://www.nobelprizes.com/

▼The Electric Nobel Museum Project
http://www.nobel.se/enm-index.html

▼米Yahoo!のノーベル賞特集
http://fullcoverage.yahoo.com/fc/World/Nobel_Prize/

おまけ
▼ノーベル賞(自然科学部門)の国別受賞者数
http://www.sta.go.jp/policy/99data/na13.html

◇New Books

出版社・著者らからの新刊案内をそのまま流します。
本誌が内容を保証するものでも書評でもありません。単なる書籍広告欄です。
あくまでご参考にどうぞ。
新刊案内を流したい編集者・著者は編集人まで。



今回はありません。

なお編集人による新刊科学書評は http://www.moriyama.com/ にアップされています。


◇Event

科学に関するイベント情報などを収集して告知します。
告知したいイベント主催者は編集人までメールを。


◇鳥取大学創立50周年記念特別企画フォーラムのお知らせ 11月13日
  http://www.cjrd.tottori-u.ac.jp/cjrd/past/foramu_50.html

◇エデュテイメント2000京都
  http://www.kyoto-one.ad.jp/edutainment/

◇『AIBO EXPO ’99』 10/30〜31 東京都港区北青山3丁目6-1 HANAE MORIビル 5F
  http://www.world.sony.com/robot

◇ワールド・バード・カウント
  http://www.wnn.or.jp/wbc/

◇第33回 東京モーターショー1999
  http://www.motorshow.or.jp/


◇Website

この欄では、ポピュラーサイエンス関連の優れたウェブサイトを勝手に紹介する。 日本語で書かれたポピュラーサイエンス・サイトは確かに少ない。 だが、少ないなりにはあるのだ。


▼Science Xitalk(サイエンス サイトーク)
http://www.tbs.co.jp/radio/xitalk/index-j.html
TBSラジオで毎週土曜日 23:00〜24:00にオンエアされている科学トーク番組。らしい。というのは私も聞いたことないのである。是非一度聞いてみようと思いつつ、今回はウェブのみご紹介する。

聞き手はジャーナリスト・日垣隆。 10月のテーマは「愛を科学する」ということで、ラインナップは以下のとおり。山元大輔 (やまもと・だいすけ 早稲田大学教授、行動遺伝学、神経生物学)榎本知郎 (えのもと・ともお 東海大学助教授、動物行動学、解剖学)、 松井豊 (まつい・ゆたか 筑波大学助教授、社会心理学)松本元 (まつもと・げん 理化学研究所ディレクター、脳科学)。放送されたものは簡単な要約がウェブサイトでも読めるようになっている。

どんな内容か具体的に知らないまま言うのもなんだが、こういう番組は貴重なので、末永く続くことを期待したい。なお「『Xitalk』はインターネットの『Site』と『talk』を合わせた造語」だそうである。

◇from editor's diary http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.htm

99.10.18 曇り

▼相変わらずJR路線ではコンクリート片がバラバラ落ちている模様。海砂をよく洗わずに使ったからだとか、高度経済成長期に突貫工事をしたツケが来ているとか言われている。確かにどれも合っているのだろうが、これはどういう現象なのだろうか。あまり補修しないでいたコンクリート建造物の耐用限界が来ているのだろうか。それとも、今までもバラバラ落ちていたのだが、たまたま今まで報道されなかっただけなのか。どっちなんだろう。

▼ascii24から。【'99楽器フェア レポート Vol.1】“'99楽器フェア”が開幕
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/1015/topi01.html

▼hotwiredから。環境にやさしい燃料(上)
http://www.hotwired.co.jp/news/news/3212.html
ネコの視覚の再現ビデオ。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/3213.html
こりゃいったい何なの?

http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.99.10.htm#diary.99.10.18 より

◇from editor

東海村でのJCO事故について、Natureが日本政府をボロクソに書いているそうです。 私は未読なのですが。

弊誌では相変わらず科学に関する寄稿をお待ちしております。 ではでは、今後ともよろしくどうぞお願い申し上げます。



Popular Science Node Vol.017 1999/10/19発行 (配信数:5,286部)
発行・編集人:森山和道(moriyama@moriyama.com, フリーライター)
【独断と偏見のSF&科学書評】ホームページ:
http://www.moriyama.com/
本誌ホームページ:http://www.moriyama.com/popular_science_node/
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