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Popular Science Node
1999/10/12 Vol.016
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◆CONTENTS:

[Digest]
◇科学関連やじうま

[Column]
畑からプラスチック

[New Books]
『世界の究極理論は存在するか』――多宇宙理論から見た生命、進化、時間

[Event]
東北大学金属材料研究所 一般公開
ICC ビエンナーレ

[Website]
東海村 ウラン燃料加工施設 臨界事故

[from editor's diary] 編集人のウェブ日記から

[from editor]


[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ

▼エウロパには硫酸の氷原が広がっている(JPL)
http://photojournal.jpl.nasa.gov/cgi-bin/PIAGenCatalogPage.pl?PIA02500

▼JPL Picture Archive : Galileo images of Io
http://www.jpl.nasa.gov/pictures/io/

▼太陽放射が気象に与えている影響を調べるトリアナ(Triana)衛星
http://triana.gsfc.nasa.gov/home/

▼渦巻き銀河の成長の秘密はバルジにあるかもしれない(ハッブル宇宙望遠鏡)
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1999/34/pr-photos.html

▼天王星と海王星はダイアモンド鉱山(CNN)
http://www.cnn.com/TECH/space/9910/01/space.diamonds.reut/index.html

▼高解像度の画像でも、火星の古代の海岸線が見つからない
 MOC Image Tests of the Mars Ocean Hypothesis
http://mars.jpl.nasa.gov/mgs/msss/camera/images/grl_99_shorelines/index.html
HIGH-RESOLUTION IMAGES SHOW NO EVIDENCE OF ANCIENT OCEANS ON MARS
http://www.msss.com/press_releases/shorelines/

▼HLA(ヒト白血球抗原)の遺伝子型はAIDSの進行に影響を与える(nature BioNews)
http://www.naturejpn.com/newnature/bionews/pe/hla.html

[Column]

◇畑からプラスチック

nature BioNewsに、 生物工学:プラスチックを生み出す植物
http://www.naturejpn.com/newnature/bionews/bionews991006/bionewsj-991006f.htm という記事が掲載されています。

これは、「ラウンドアップ」という農薬で有名な巨大農薬メーカーにして、最近は遺伝子組み替え食品でいろいろと話題を振りまいているモンサント社(http://www.monsanto.com/)が、生分解性プラスチックに加工することが可能な、PHBVというポリマーを生産する遺伝子組み替え植物(セイヨウアブラナ)を作り出すことに成功したというものです。

日本経済新聞社・三菱総合研究所編『大予測 21世紀の技術と産業』日本経済新聞社によると、モンサントは、1997年9月からイギリス・リバプール公害にある工場で「バイオポール」という生分解性プラスチックの試験生産を開始したとあります。(該当記事は http://www.nikkei.co.jp/topic3/sansan/eimi068313.htmlでも読めます)。

それによるとモンサントが現在作っている生分解性プラスチックは、小麦を原料とし以下のような過程で作られるそうです。
 1)小麦からブドウ糖を抽出、
 2)それを「アルカリゲン・ユートラファス」という微生物を利用して高温発酵
 3)微生物が備蓄栄養分として作る液状のプラスチック原料を取り出し
 4)乾燥させて粉末→プラスチック
こういう過程を経て製品にされるそうです。
(なお日本モンサントが作っていたバイオポールの説明ウェブサイト http://www.biopol.com/ というのがあるのですが、アクセスできませんでした)

今回の研究は、このいかにも面倒な過程をすっ飛ばし、直接植物に作らせてしまおうという目算のもとに行われたのでしょう。

詳細は上記URLを見ていただければいいのですが、もともと細菌が持っていた遺伝子を導入したということです。しかもポリマーを産む代謝経路を作り上げるために、複数の遺伝子を入れて組み替えたという、素人が聞いても、非常に技術的レベルが高い成果であったようです。

その一方、現時点は乾燥重量にして3%程度にしかならず、商品化への道のりは遠いとして、モンサントはプロジェクトを中止してしまったと記事はまとめられています。しかしながら生分解性プラスチックのニーズはこれから低くなるとはあまり考えられません。「生分解性プラスチックを作り出す脂肪種子をつけるセイヨウアブラナの畑が一面に広がるといった光景が現実のものになるかもしれない」可能性は、そんなに低くはないように思います。

通産省は昔、最終的には水と二酸化炭素にまで分解してしまう生分解性プラスチックのことを「グリーンプラ」という愛称で呼ぼうとか言っていたように記憶しているのですが、(道のりは遠いとはいえ)将来は本当にグリーンプラの名前がふさわしいようなものになるのかもしれません。

◇New Books

出版社・著者らからの新刊案内をそのまま流します。
本誌が内容を保証するものでも書評でもありません。単なる書籍広告欄です。
あくまでご参考にどうぞ。
新刊案内を流したい編集者・著者は編集人まで。



◇『世界の究極理論は存在するか』――多宇宙理論から見た生命、進化、時間

デイヴィッド・ドイッチュ
林 一訳

The Fabric of Reality   by David Deutsch

10月22日発売 A5判上製 336ページ
本体価格2900円  朝日新聞社

 若くして量子コンピュータの基本原理を証明し、また量子力学の多世界解釈を独自
の視点から押し進めていることで知られる物理学者デイヴィッド・ドイッチュ。その
ドイッチュが、はじめて一般読者向けに書き下ろしたのが本書である。
 「知られていることすべてを説明する万物の理論は存在しうるか、もし存在すると
すればそれはどういうものか?」という壮大なテーマのもと、ドイッチュは、宇宙論
から、万能テューリング機械と量子計算、仮想実在(ヴァーチャル・リアリティ)、
ゲーデルの不完全性定理、ドーキンスの「利己的な遺伝子」説、数学基礎論、タイム
トラベル、そしてティプラーの「オメガ点仮説」にいたるさまざまな問題を、多世界
の視点から鮮やかに解き明かしていく。そこから引き出される、驚くべき世界像と
は? 理論物理学の鬼才が従来の自然観に真っ向から挑戦し、「これほど知的な刺激
を与えてくれた本は、ホフスタッターの『ゲーデル、エッシャー、バッハ』以来だ」
(ポール・デイヴィス)と評された話題作、待望の翻訳!

なお編集人による新刊科学書評は http://www.moriyama.com/ にアップされています。


◇Event

科学に関するイベント情報などを収集して告知します。
告知したいイベント主催者は編集人までメールを。


◇東北大学金属材料研究所 一般公開 11月12日(金)- 13日(土)
  http://koho.imr.tohoku.ac.jp/young99/index.html

◇ICC ビエンナーレ 10/15日 - 11/28 NTTインターコミュニケーション・センター
  http://www.ntticc.or.jp/special/biennale99/index_j.html

◇Website

この欄では、ポピュラーサイエンス関連の優れたウェブサイトを勝手に紹介する。 日本語で書かれたポピュラーサイエンス・サイトは確かに少ない。 だが、少ないなりにはあるのだ。


▼日本ガイシ サイエンスサイト
http://www.ngk.co.jp/site/site.htm
科学雑誌『ニュートン』に日本ガイシが出している広告ページ。そのコンテンツをウェブ化したもの。中身は理科実験である。実験の説明や手順などが図や写真入りで解説されている。バックナンバーも閲覧可能で、ものづくり系が多い。

もう夏休みの宿題の季節は終わってしまったが、来年に備えてチェックしておいても悪くないかも。

◇from editor's diary http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.htm

99.10.11

▼JCOで続報。臨界事故で発生した放射性物質ヨウ素131が漏れ続けており、しかもJCOはそれを二日前から知っていたのに公表しなかったというもの。京大グループが5日に観測していたのはこれだったらしい。今日になってようやく、窓他に目張りがされた。

▼エアチェックしておいた『サイエンスアイ』見る。テーマは遺伝子治療。閉塞性動脈硬化症の治療のためにHGFを入れて血管を生やす話なんだけど、日本でも人間への臨床試験が間近(来年春)だと。そういやこの話どっかで読んだぞ。確か最初にアメリカで臨床されたときは間に合わなくて足の切断に到った、でも血管は再生されてたって話だよね。既に50人以上がこの治療を受けて9割の人に効果があったそうだ。どこで読んだんだろ、と思って本を探す。いったい何で読んだんだったっけ。。。。全然おもいだせん。最近こういうのが非常に多い。無茶苦茶気になってしょうがないんだけど、誰か分かりますか(爆)? 

▼そういえば先日, Nature BioNewsに出ていたp73とGADD45のこと
http://www.naturejpn.com/newnature/bionews/bionews991006/bionewsj-991006g.htm
を日記に書いたが、昨日、吉田哲郎さんという方からメールを頂戴、ご教授頂いた。
大学時代は東大医科研でfos,junといった核内癌遺伝子の機能解析、発現制御を、製薬企業でそこらへんをターゲットにした抗がん剤の(探索)研究に従事していたという本職の方である。

曰く、GADD45は「p53により転写活性化される下流遺伝子としては多分最初に、1992年に発見されたものです。PCNAなどと結合し、DNAの複製・修復に関与すると考えられてきました。PCNAなどと結合し、DNAの複製・修復に関与すると考えられてきました」とのこと。今回の論文は、それをマウス個体で示したということであるんだそうな。

一方p73は1997年くらいの発見で、発見当時は探しても見つからなかったp53関連遺伝子がついに見つかったということで、やはり業界内では衝撃だったそうである。その後p51という遺伝子を東北大の井川俊太郎氏が発見し、現在p53ファミリーはこの3つで構成されているそうである。で、p73の機能についてはまだ今ひとつ不明だが、p53のようにいろんなガンに関わっていることはなさそう、ということになっているらしい。

なお『PNE』の99年2月号に井川洋ニ『がん抑制遺伝子p53ファミリー研究の最近の進展』というレビューがあり、また今月末に出るMolecular Medicine(中山書店)には吉田さんがお書きになった「p53を標的とした癌治療」というレビューが掲載されるとのこと。

吉田さん、どうもありがとうございました。ここで改めて御礼。

そういや『実験医学』のp53特集号にもp51の話とか出てましたね。やっぱここでも読んだけど忘れている現象発生。自分でまとめ記事でも書けば覚えているのかもしれんが、読んだだけだと右から左だー。

▼こういうメールを頂くたびに、この日記──本当にその日に起こったことをただ並べているだけの「日記」なのだが──をいろいろな方が読んで下さっているのだなあと思うと同時に、こういう、人と人の人的資源がもっともっと効率的に繋がれば、色々と世の中面白くなるんじゃいなのかなあ、もったいないなあと思う。

と、いうのが<ポピュラー・サイエンス・ノード>に「ノード」と付けた理由の一つだったりするのだが、既に息切れ気味(笑)。

http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.99.10.htm#diary.99.10.11 より

◇from editor

何か書きたいことがあったような気がするのだが忘れた。健忘症かも。JR西日本とJR四国でY2Kがらみの事故があったというのが結構衝撃的でしたが。

今週号からメールのタイトル部分を変えました。振り分け機能を使っている方々にはご面倒をおかけしますが、よろしくどうぞお願い申し上げます。

弊誌では相変わらず科学に関する寄稿をお待ちしております。 ではでは、今後ともよろしくどうぞお願い申し上げます。



Popular Science Node Vol.016 1999/10/12発行 (配信数:5,170部)
発行・編集人:森山和道(moriyama@moriyama.com, フリーライター)
【独断と偏見のSF&科学書評】ホームページ:
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本誌ホームページ:http://www.moriyama.com/popular_science_node/
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