Popular Science Node 1999/10/05 Vol.015 |
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◆CONTENTS: |
[Digest]
◇科学関連やじうま
[Column]
東海村・ウラン燃料加工施設 臨界事故
[New Books]
『認識と情報 リレー講義録・総合人間学を求めて1』
[Event]
国際先端技術メッセ'99
学習院大学理学部 創立50周年記念講演会
緯度観測百年記念事業特別講演会「宇宙と地球のハーモニー」
[Website]
東海村 ウラン燃料加工施設 臨界事故
[from editor's diary] 編集人のウェブ日記から
[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ |
▼多目的な検査に対応できるX線透視撮影システムの発売について 東芝
http://www.toshiba.co.jp/about/press/1999_09/pr_j2201.htm
▼ライフサイエンス推進事業部を新設〜バイオ関連ビジネスを本格的に開始〜 日立
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/9909/0927b.html
▼地球環境保全新活動計画「OKIエコ・プラン21」策定 沖電気
http://www.oki.co.jp/OKI/Home/JIS/New/OKI-News/1999/09/z9946.html
▼地球フロンティア研究システム、インド洋におけるエルニーニョ現象を発見
http://yyy.tksc.nasda.go.jp/Home/Press/Press-j/199909/frontier_990916_j.html
▼NTT InterCommunication No.28 ロボットの生態系 対談 浅田稔+佐倉統
http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ic028/html/065.html
▼JEM「きぼう」のバンパ高速衝突試験
http://jem.tksc.nasda.go.jp/iss_jem/jem/develop_status_09.html
▼子供向けの通信白書
http://www.kids.mpt.go.jp/
▼BBCによる恐竜の壁紙
http://news.bbc.co.uk/hi/english/static/sci_tech/specials/dinosaurs/default.stm
▼講談社サイエンティフィクホームページ開設
http://www.kspub.co.jp/
▼Mars Climate Orbiter失敗の原因は単位ミス
http://www.flatoday.com/space/today/093099g.htm
▼パイオニアの軌道から新天体発見か
http://news.bbc.co.uk/hi/english/sci/tech/newsid_460000/460095.stm
◇東海村・ウラン燃料加工施設 臨界事故 |
9/30日におきた東海村・ウラン燃料加工施設臨界事故については、言うまでもなくネット上でも大いに話題になりました。
私が入っているMLのほとんど全てでも話題に上り、同時に、多くの個人メールが舞い込み、私自身も多数のメールを書きました。何がどうなっているのか、できるだけ知りたかったからです。
ですが結局、実際に自分で取材していないので、このメルマガで新たに付け加えるべきことはほとんどありませんし、事態の本格的な調査が始まったいま、憶測で何か言うべきでもないと思います。
様々な情報に関しては、ウェブサイトをいろいろ回ってみて、探してみて下さい(URLなどは下記「ウェブサイト」欄参照)。大手マスコミではあまり触れられなかった科学関連のこと(放射線の知識など)も、ウェブサイトの上には散在しています。
ただ一つだけ何か言うとすれば、正確な情報を迅速に入手するにはどうすれば良いのか、という問題において、今回の事故はまた大きな課題を残したということです。
たとえば今回、起きたのはいったいどのくらいの規模のどんな事故で、現場はどのような状況なのか、漏れたのはいったい何なのかといった報道の基本中の基本さえ押さえられず、何がなんだか、さっぱり分からない状況が続きました。それは現場、そして中央の行政の対応の混乱に直結しました。
いや、今でも分からないというのが私の実感です。いったい現場はどうなっているのでしょうか。何が起きたのでしょうか。今日になって、土嚢で遮蔽された転換試験棟の風景がTVに映っていましたが、まだ現場は放射線のレベルが高く、とても人が入れるような状況ではないようです。
このように、もちろん、こういう事故の場合イケイケでただ突っ込んでいく報道スタイルがいいわけではないし、実際にそういうスタイルが取れるわけでもありません。ですが、放射線と放射性物質の区別くらいちゃんと付けて報道することは可能だったはずです。いいかげん、全てを放射能という言葉でひっくくって報道するのはやめるできではないかと思います。
その一方で、現場で作業していた人はフィルムバッジと呼ばれる被曝センサーすらつけておらず、臨界という言葉の意味も知らなかったそうです。マスコミなどが取材する場合、フィルムバッジの結果は後から現像確認され、問題なかったかどうかちゃんとわざわざ通知されると聞いています。それほど基本的なことなのです。
このことは、どうやら多くの原発で働いている人たちの間でも驚きをもって捉えられたようなのですが、それが実状だったのであり、(過去形ではなく現在もおそらく)実状なのだということを、いろいろな面から、よく考える必要がありそうです。
「臨界」という言葉に代表されるように、とにかく原子力関連には分かりにくい言葉が多すぎます。たとえば今回の事故が起こったときにプルサーマル用の燃料が到着しました。プルサーマルというのは「プルトニウムのサーマル利用」という言葉の略称ですが、非常にわかりにくい言葉です。こんな言葉がいっぱいある。
言うことはないと言いながら、いつまででも続けてしまいそうですので、ここらでやめます。つい今さっきも、仕事先からかかってきた電話でこの話をダラダラとしてしまいました。
実に色々な面で、なんとも言えない気分にさせられる事件であり、なおかつ、そういう言葉で片づけてはいけない事故であると思います。
◇New Books |
出版社・著者らからの新刊案内をそのまま流します。
本誌が内容を保証するものでも書評でもありません。単なる書籍広告欄です。
あくまでご参考にどうぞ。
新刊案内を流したい編集者・著者は編集人まで。
◇京都大学学術出版会 新刊案内 【タイトル】認識と情報(リレー講義録・総合人間学を求めて1) 【著 者】有福孝岳(編) 【発行・発売】京都大学学術出版会 【ISBN】4-87698-082-9 【出版年月】1999年10月 【ページ数】xii+227 【判 型】A5 【本体価格】1800円(税別) 1999年4月、京都大学で始まったユニークなリレー講義「総合人間学を求めて」を 再現。現代における「認識と情報」をめぐって、人間科学と自然科学の出会いの可 能性を、8人の講師が熱く論じ合う。 ****目次**** 開講に当たって(有福孝岳) 第1部 人間科学からの「認識と情報」 第1講 伝える情報から浸る情報へ(杉万俊夫) 1常識の確認 2常識の再検討 3常識を越えて 第2講 言葉と認知のダイナミックス(山梨正明) 1言葉と認知のプロセス 2参照点とターゲット 3スキャニングと空間認知 4むすび 第3講 経験の成立──人間と物との出会い(有福孝岳) 1経験とは何か──経験の一般的意味 2カントにおける経験 3認識と経験──超越論的立場 4経験と判断 5経験の本質と純粋悟性の原則 6経験の成立──人間と物との根源的出会い 第2部 自然科学からの「認識と情報」 第4講 ものの見える仕組み(船橋新太郎) 1同じ絵なのに違うものが見える 2ばらまかれた黒点の中から図が浮かび上がる 3ものの見える仕組み 4ボトム・アップからトップ・ダウンへ 第5講 エントロピーと情報(冨田博之) 1エントロピーの法則 2熱とエントロピー 3確率とエントロピー 4情報とエントロピー 5まとめ 第6講 計算機と認識(櫻川貴司) 1理論計算機科学とは何か 2プログラミング・パラダイム 3計算機と認識 第3部 総合人間学的「認識と情報」を求めて 第7講 観察と理解(冨田恭彦) 1物語理解 2観察の理論負荷性 3矛盾回避・再説 4全体論的科学観 5絶対性の強迫観念 第8講 社会的な相互行為の認識論(菅原和孝) 1行為空間としての社会 2行為の記述と「わかること」 3説明と了解 4場の構造とパフォーマンス 5因果連鎖からの解放 6人間の会話の構造 7経験の岩盤 8生得的な行動と社会 9決意としての「進化論」 最終講 総合人間学的「認識と情報」を求めて ・座談会(杉万俊夫・山梨正明・船橋新太郎・櫻川貴司・冨田恭彦・有福孝岳) ・誌上参加(冨田博之・菅原和孝) 閉講にあたって(有福孝岳) |
なお編集人による新刊科学書評は http://www.moriyama.com/ にアップされています。
◇Event |
科学に関するイベント情報などを収集して告知します。
告知したいイベント主催者は編集人までメールを。
◇国際先端技術メッセ'99 10/27〜29 神戸国際展示場2号館 http://www.andor.co.jp/hotnews/hot/990930.html ◇学習院大学理学部 創立50周年記念講演会 http://www.gakushuin.ac.jp/~sci-www/sc50.html ◇緯度観測百年記念事業特別講演会「宇宙と地球のハーモニー」 http://www.miz.nao.ac.jp/100th.html
◇Website |
今回は特別編。
東海村 ウラン燃料加工施設 臨界事故に関するURLです。
▼朝日新聞の特集 東海村臨界事故
http://www.asahi.com/paper/special/tokai/index.html
▼読売新聞の東海村放射能漏れ事故
http://www.yomiuri.co.jp/tokaimura/
▼科学技術庁の 東海村ウラン加工施設事故情報
http://www.sta.go.jp/genan/jco/jco.html
▼放射線医学総合研究所
http://www.nirs.go.jp/index.htm
その「(株)JCO作業員の被ばくに関する緊急医療状況について」のページ
http://www.nirs.go.jp/report/jco/index.html
その「放射線Q&A」ページ
http://www.nirs.go.jp/qa/html/index.html
▼KEKの放射線安全の手引き
http://ccwww.kek.jp/info/housha/contents.html
その「暮らしの中の放射線」
http://ccwww.kek.jp/info/kurashi/contents.html
▼東海村ウラン加工施設(JCO)における事故について、厚生省におけるこれまでの対応及び今後の対応
http://www.mhw.go.jp/houdou/1110/h1001-1_7.html
▼原子力資料情報室 東海ウラン再転換施設での臨界事故について
http://pub.jca.apc.org/mirror/cnic/news/tokai_critical/index.html
▼東海村
http://www.net-ibaraki.ne.jp/as-tokai/
▼茨城県
http://www.pref.ibaraki.jp/
▼「エナジーカード」による
http://www.gns.ne.jp/eng/cael/database/encard/index.htm
チェレンコフ光の解説
http://www.gns.ne.jp/eng/cael/database/encard/card2/cd17_1.htm
▼(財)原子力安全技術センター
http://www.nustec.or.jp/menu2.html
◇from editor's diary http://www.moriyama.com/diary/ |
今週はジェー・シー・オーの話ばかり書いていたので省略します。
http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.htm
◇from editor |
今週は、『脳の世紀』や『日本生物物理学会公開シンポー 進化・蛋白・情報 ー』など講演会をいくつか聞きに行ったので、その感想でも書こうかと思っていたのですが、両者がたいして面白くなかったことと、それよりも何よりも、やはり大事件が起きてしまったことから予定を変更しました。
弊誌では相変わらず科学に関する寄稿をお待ちしております。 ではでは、今後ともよろしくどうぞお願い申し上げます。
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