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Popular Science Node
1999/09/14 Vol.012
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◆CONTENTS:

[Digest]
◇科学関連やじうま

[Guest Column]
摩擦 (by 田口善弘)

[from Reader]
マックス・プランク研究所によるブラックホールの衝突のシミュレーション

[New Books]
『エスチャリーの生態学』

[Event]
ノバルティスライフサイエンスフォーラム99

[Website]
週刊医学界新聞

[from editor's diary] 編集人のウェブ日記から

[from editor]


[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ

いままで「科学関連ニュースいろいろ」としていたのですが、あまりにニュースじゃないので「科学関連やじうま」としてみました。


▼キャラクタが感情をこめて合成音声で話す『WebMessenger』を開発, NTT
―親しみやすく訴求力のあるマルチメディアコンテンツの作成を支援―
http://www.ntt.co.jp/news/news99/9909/990910.html

▼ISS搭乗宇宙飛行士候補者の基礎訓練 月間基礎訓練レポート8月号
http://jem.tksc.nasda.go.jp/astro/ascan/ascan_rep9908.html

▼受精卵クローン牛の食用出荷について(岩手県畜産課)
http://www.pref.iwate.jp/magazin/ushi/index.html

[Column]

◇【摩擦】(by 田口善弘)

田口善弘さんのサイエンスコラムです。本誌連載第8回目。


【摩擦】

先週はお休みしてしまいました。申し訳ない。とはいうものの、これを始めたときに予告したように、後期の講義が始まったら、こんなことしていられないかもしれない、というのはあるのですが。

今日は摩擦の話をしよう。と言っても、例によって私は摩擦の専門家ではない。摩擦はどういうわけか高校の物理の教科書にまで載っているので、なんとなく身近な話題の様に感じているかもしれないけれど、実はあんまり良く解ってない話である。

だから、いまでも科学の最先端として摩擦の研究をやっている人達はいるわけで(工学としてやっている人はもっといっぱいいる。機械工学においては摩擦との戦いは一大テーマである)、今回はそんな中から一つお話をしようというわけだ。

僕の知合いの一人も、ちょっとまえに摩擦の実験をやった。彼がやったのは、直径が0.1ミリ前後のガラス玉を2ミリくらいの厚さで敷き詰めた上に置いた板を板バネでひっぱったらどうなるのか、という実験だった。この実験はなんだかとっても、奇妙である。普通、我々が問題にしている摩擦の場合、摩擦面に「ガラス玉が敷いてある」ということはまず無いわけだし、そんな変わった条件で摩擦の研究なんかしても一体、普通の摩擦とどう関係するのか解らないし、大体、そんなの摩擦の研究だと言えるのかどうかさえ怪しい。

ところが、実に不思議なことに結果から言うとこのガラス玉実験はどうやら典型的な摩擦実験になっていたようなのだ。例えば、ワイパーの調子が悪いときにワイパーが振動してずりずりやな音がすることがあるが、ああいう運動は摩擦をともなった滑べりにおいて典型的な運動なのだが、このガラス玉実験でもそういう運動が見られた。

その他、細かいことをいうときりが無いのでやめておくけれど、いかにも人工的なこのガラス玉実験はいろんな意味で普通の摩擦と似ていることが解って来た。勿論、普通の摩擦の場合に、ガラス玉あるいはそれに相当するものが、摩擦面にあるわけではない。しかし、同じ現象が見られるということはきっと普通の摩擦面でもガラス玉に相当する何かがあるに違いない。それが解れば摩擦についての理解がぐんと進むことも考えられる。

これに関連してちょっと面白かったのは、先週、ある大学の地球惑星科学科のセミナーでこの話を紹介したときのことだ。ぼくはてっきり、このガラス玉の実験を摩擦の実験として紹介すると、「現実はそんなじゃないよ」とか言って怒られるのだとばかり思っていた。ところが、意に反して、地球惑星科学の分野ではそういう方向に話がいきつつあるのだ、ということで非常に納得できる、と言われてしまってちょっととまどった。

地球惑星科学の重要な一分野として地震の研究があるが、地震の研究に関連して非常に大切なのが断層の研究である。断層とはまさに、地盤と地盤がこすれあっているところなので摩擦に違いはないのだが、最近は地盤どうしが直接こすれあっているのではなく、間に細かい岩のかけらとかが入ってこすれている、というモデルになっているのだということだった。それがこのガラス玉の摩擦実験によく似ているのだ、という。

こうやって、摩擦のモデルとして始まったガラス玉の実験が実は地震の研究に結び付いて行ったりすることもある。こういうのが科学のおもしろいところだ。

関連リンク:
摩擦 in Yahoo
http://search.yahoo.co.jp/bin/search?p=%CB%E0%BB%A4


田口善弘(たぐち よしひろ) 中央大学理工学部物理学科/理工学研究所
http://www.granular.com/tag/index-j.html

[from Reader]
◇マックス・プランク研究所によるブラックホールの衝突のシミュレーション

マックス・プランク研究所によるブラックホールの衝突のシミュレーション
http://www.mpg.de/news99/news38_99.htm
のCGがウェブにありました。

私がウェブ日記で「誰か解説してくれ」と呼びかけたところ、
 高橋 慎(FebruaryMarch)さん
http://www06.u-page.so-net.ne.jp/jf6/febmarch/
と、
 東京大学大学院総合文化研究科/宇宙地球科学教室の吉田 慎一郎さん
http://valis.c.u-tokyo.ac.jp/~yoshida/index-j.html
のお二人からメールを頂戴しました。

お二人のメールは、既に許可を得て
http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.99.09.htm#diary.99.09.09
に転載させて頂いておりますのでそちらをご覧下さい。

なお、高橋さんから頂いたメールの内容には一部間違いがあることが、既にご本人も含めていろいろな方面kらご指摘頂いていますが、高橋さんご自身の希望により、間違いは修正しておりません。
あしからずご了承下さい。

なおウェブを見に行くのは面倒だ、ここに転載しろという方もいらっしゃると思いますが、プッシュ媒体で、間違いと分かっているものを配信するのもどうかと思いますので(^_^;)。

◇New Books

出版社・著者らからの新刊案内をそのまま流します。
本誌が内容を保証するものでも書評でもありません。単なる書籍広告欄です。
あくまでご参考にどうぞ。
新刊案内を流したい編集者・著者は編集人まで。



◇『エスチャリーの生態学』D. C. McLusky:著 中田喜三郎:訳 本体3,500円+税
 生物研究社  http://www.bonanet.or.jp/~aquabiol/aquabiol.html

 Estuary −干潟を含む浅瀬,河口域,汽水域などを含む,生息環境のことです。
 これらの地域の生態系理解に好適な手引き書ができました。教科書にはもちろん,
 読み物としても最適です。
 基本的な生物のつながりや,汽水系環境の物理作用など
 実際のデータを豊富にまじえて分かり易く解説しました。
 汚染や埋め立てといった人間との関わりについても問いかけています。

 <主要目次>

 エスチャリーの環境
 一次生産者 植物の生産とその利用
 一次消費者 植食者とデトリタス食者
 二次消費者 肉食者
 エスチャリーの汚染
 エスチャリーの管理

なお編集人による新刊科学書評は http://www.moriyama.com/ にアップされています。


◇Event

科学に関するイベント情報などを収集して告知します。
告知したいイベント主催者は編集人までメールを。


◇ノバルティスライフサイエンスフォーラム99 9月29日、東京経団連ホール
  http://www.rowland.co.jp/forum/

◇Website

▼週刊医学界新聞
http://www2.so-net.ne.jp/medipro/igak/new/news/n1999dir/igaknews.htm#00
名前のとおり、これもギョーカイ新聞で一般向けではないのだが、今週はちょっと思いつかなかったので。
でも内容はかなり読み応えがあります。
特に書評欄で紹介される本は、一般人には全く用はないでしょうが、その筋の人には非常に役に立つでしょう。

◇from editor's diary http://www.moriyama.com/diary/

編集人のウェブ日記から、ある一日を適当に抜粋します。


99.09.07 一時雨

▼アイボで詐欺事件。
▼「空の色と光の図鑑」「雲のかお」などの写真家さんのウェブサイト、
SKY PAGE
http://www.fureai.or.jp/~sky/
「空には美しく不思議な現象がたくさんあります」。さすがに見事な写真だが、もっと見られると嬉しいな(わがまま)。 ▼MDMAってなんだったっけ
http://www.wbs.ne.jp/cmt/kenkei/html/drug-06.htm
と思って調べる。薬物関係の本はどうも押入の奥にいっちゃって出てこないので、ウェブを見ることにする。こんな情報があった。
3.4-メチレンジオキシ-N-メチルアンフェタミンの略称。
http://www.nicol.ac.jp/~honma/drug/dc006.html
幻覚作用を起こすアルファーメチルと塩類を合成させたもので、別名「エクスタシー」とも言う。 http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/report/kz001a25.htm
視覚、聴覚を変化させる。自我意識の強調。多幸感。性的興奮。親近感が増す。不安や不眠に悩まされる。乱用すると錯乱を起こし、腎障害、肝障害、記憶障害なども。かつては過食症の薬としても使われた。
ふーむ、非常に興味深い薬理作用ではないですか。特に「親近感が増す」っていうのが気になるなあ。いったいどんなメカニズムなのだろうか。セロトニン系を傷害するらしいけど。識者の情報を求む。
▼マスコミ同士でスキャンダル暴きが続いている。面白いからいいけどさ、もうちょっと他の仕事はないのかね。あるいは他から言われてごめんなさいするんじゃなくて自浄していくとか。

http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.99.09.htm#diary.99.09.07 より

◇from editor

前回、「遺伝子操作で「賢い」マウス」という話をお届けしましたが、あれの話を聞いてダニエル・キイスの小説『アルジャーノンに花束を』を思い浮かべた人も多いようです。
が、より近い内容──NMDA受容体の過剰発現によって賢くなったマウスが登場する小説があります。瀬名秀明『ブレイン・ヴァレー』です。
とはいってもマウスが主役ではないので、あしからず。

ちなみに上の日記に取り上げたMDMAとは全く違いますので。

弊誌では相変わらず科学に関する寄稿をお待ちしております。 ではでは、今後ともよろしくどうぞお願い申し上げます。



Popular Science Node Vol.012 1999/09/14発行 (配信数:4,530部)
発行・編集人:森山和道(moriyama@moriyama.com, フリーライター)
【独断と偏見のSF&科学書評】ホームページ:
http://www.moriyama.com/
本誌ホームページ:http://www.moriyama.com/popular_science_node/
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