Popular Science Node 1999/09/07 Vol.011 |
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◆CONTENTS: |
[Digest]
◇科学関連やじうま
[Column]
遺伝子操作で「賢い」マウス
[New Books]
雑誌『海洋と生物』123号
[Event]
「健康日本21地方シンポジウム」について
東レ科学振興会“よくわかる生命科学の新しい展開”
[Website]
Mainichi INTERACTIVE 科学環境ニュース
[from editor's diary] 編集人のウェブ日記から
[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ |
いままで「科学関連ニュースいろいろ」としていたのですが、あまりにニュースじゃないので「科学関連やじうま」としてみました。
▼食品衛生調査会バイオテクノロジー特別部会の開催について
http://www.mhw.go.jp/houdou/1108/h0827-1_13.html
▼21世紀におけるハイテクベンチャー企業支援策のあり方に関する調査 科学技術庁
http://www.sta.go.jp/policy/seisaku/90826.html
▼文字の幾何学的特徴を利用した手書きと活字の判別技術を開発
〜 手書きと活字が同頻度の帳票でOCRの処理速度が2倍に 〜 富士通研究所
http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/flab/News/1999/Aug/26.html
▼NECのパーソナルロボットR100
http://www.incx.nec.co.jp/robot/
▼JEMの開発状況 「きぼう」のエアロック機能試験
http://jem.tksc.nasda.go.jp/iss_jem/jem/develop_status_07.html
▼NASDAプロジェクト最新情報 先端技術実証ロケットプロジェクト
http://yyy.tksc.nasda.go.jp/Home/Projects/J-I_UP/index_j.html
▼遺伝子操作で「賢いマウス」。プリンストン大によるプレスリリース
http://www.princeton.edu/pr/news/99/q3/0902-smart.htm
▼太陽の活動が活発化
http://science.nasa.gov/newhome/headlines/ast31aug99_1.htm
▼Cassini Imaging Central Laboratory for Operations (CICLOPS)
http://ciclops.lpl.arizona.edu/
土星探査機カッシーニ画像データを公開するサイト
▼ハッブル宇宙望遠鏡、「銀河のメヌエット」を捉える
http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1999/31/index.html
◇【遺伝子操作で「賢い」マウス】 |
プリンストン大学のJ・Z・チェンらが「NMDAレセプター」の一部を前脳で多く造るように遺伝子操作されたマウスが、非常に高い学習・記憶能力を持つようになったと『nature』誌に報告し、大いに話題を呼んでいる。
NMDAレセプターとは何なのか、簡単に解説する。
NMDAレセプターは興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸依存性のイオンチャネルの一つである。つまりグルタミン酸に結合し、神経細胞を興奮させる働きを持つ。NMDAとはN−メチル−D−アスパラギン酸の略称。
このレセプターが、記憶に深く関与しているのではないかということは以前から言われていた。
記憶の素過程の一つとして考えられている現象に、長期増強(LTP)がある。長期増強とは海馬のシナプスで、短期間に何度も活動電位が発生するとシナプスの伝達効率が向上する現象を指す。
何がLTPを起こすのかというのは現在研究が行われているところであり、その細部は定かではない。ただ、意見が一致しているのはシナプス後細胞へのCa2+の流入、その後それがシナプス前細胞へ何らかのシグナルを送っているのだろうということである。
で、Ca2+の流入させるイオンチャンネルとして働くのがNMDAレセプターなのである。また、NMDAレセプターを刺激するとNOが放出されることが分かっている。そのNOがシナプス前細胞に働きかけ、LTPが起こるのではないかというのが一般的な考え方である(ただし、これには異論もあるようだ。Ca2+の流入についてNMDAレセプターがどの程度の寄与率なのか疑問が投げかけられているようである)。
今度の報告によると、やはりNMDA受容体は記憶・学習に深く関与している「キースイッチ」だ、ということになる。
早速、痴呆などの治療に応用できるのではないかという声があがっているが、人間への臨床応用はまだ先のことになるだろう。
なおNMDA受容体は脳卒中による細胞死にも関与している。卒中発作による細胞死を、NMDA受容体遮断薬で防ぐことができるのだ。これは、細胞を興奮させるNMDA受容体をブロックすることで、グルタミン酸の放出による細胞の興奮を抑え、それによって細胞の負荷を減らせるためであると考えられている。当然、NMDA受容体遮断薬は、脳卒中治療薬としても研究されている。
▼詳細情報
「賢いマウス」の話のプリンストン大によるプレスリリースは
http://www.princeton.edu/pr/news/99/q3/0902-smart.htm
Natureの元記事は、
http://www.nature.com/server-java/Propub/nature/401025A0.abs_frameset
http://www.nature.com/server-java/Propub/nature/401063A0.abs_frameset
にそれぞれあるので参照されたい。
◇New Books |
出版社・著者らからの新刊案内をそのまま流します。
本誌が内容を保証するものでも書評でもありません。単なる書籍広告欄です。
あくまでご参考にどうぞ。
新刊案内を流したい編集者・著者は編集人まで。
◇雑誌『海洋と生物』123号(1999年8月号)特集「遺伝的多様性の利用と保全」 本体1,400+税 生物研究社 http://www.bonanet.or.jp/~aquabiol/aquabiol.html 自然界では常に種の分化が起きており,現在みられる生物群は非常に多様である。 同時に,人間の手による養殖,種苗生産の結果は,自然界に次々と放たれている。 これらは今後,自然界にどう影響してゆくのだろうか。生物の多様性につながる, 種の分化,交雑,確立とともに,最新のデータを交えて論じた。 <特集目次> 魚介類の遺伝的多様性とその評価法 遺伝的多様性と育種 遺伝学的にみたヌマエビの「種」 太平洋島嶼におけるトカゲの定着,隔離,および種分化 テナガエビ属の種と地域個体群の分化 交雑と保全 <連載> 日本産エビ類の分類と生態 日本産コンブ類の分類と分布 海洋における 一次生産のモデル化 汽水産多細胞藻類の分類と形態 イセエビの生活史 |
なお編集人による新刊科学書評は http://www.moriyama.com/ にアップされています。
◇Event |
科学に関するイベント情報などを収集して告知します。
告知したいイベント主催者は編集人までメールを。
◇「健康日本21地方シンポジウム」について http://www.mhw.go.jp/houdou/1109/h0902-1_11.html ◇東レ科学振興会“よくわかる生命科学の新しい展開” 9/22 17:30〜 有楽町 http://www.toray.co.jp/kagaku/info_7.html
◇Website |
▼Mainichi INTERACTIVE 科学環境ニュース
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/science/index.html
毎日新聞のオンライン版は、科学関連ニュースは別立てでページ構成されている。
内容項目は以下のとおり。
環境
地域から地球へ〜環境面〜、
医療・生殖・生理学
臓器移植
循環社会を築くために
宇宙・天文
物理・化学・原子力
生物・バイオ・地球科学
科学技術政策
以上のように項目分けされ、それぞれ一ヶ月分のニュースがまとめられている。
これで総覧できれば、一般向け科学ニュースのポータルとして使えるのだが、残念だがそれはできない。できれば改善してもらいたいところである。
だが現状でもバックナンバーも閲覧できるので、極めて便利なウェブサイトである。
◇from editor's diary http://www.moriyama.com/diary/ |
編集人のウェブ日記から、ある一日を適当に抜粋します。
99.09.01http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.99.09.htm#diary.99.08.01 より
▼仙台方面の人は必見、脳ボランティア募集。
http://www.aoba.tao.go.jp/main_3.html
さあ、君も科学に貢献するのだ(笑)。「入れ墨をしている方」が「色素に金属が含まれるため」ダメ、というのは面白い、色々な意味で。
▼ドリーの話がふたたび。ドリーの細胞中のミトコンドリアDNAは、未受精卵を提供した羊のものであるらしいとNatureジェネティクスに発表されたそうである。
http://www.naturejpn.com/newnature/ngenframes/summaries/wk1_summary1.html
要するに乳腺細胞を提供した「親」と全く同じではないということなのだが、じゃあそれはどう違っているのかというところが知りたいなあ。
▼サイエンストピックス収録。せっかくなので餌取さんに、技術ジャーナリズム─科学ジャーナリズム─医学ジャーナリズムの不思議な関係について話を伺う。この3者は近しい関係にありながら、あまり交流がないという話。
▼ascii24から。ユビキタス情報化社会とは?−−“電子情報技術長期戦略シンポジウム”開催。
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/1999/0831/topi02.html
▼紀伊国屋書店ifeelから特集、「いま、家をつくるということ」。
http://www.kinokuniya.co.jp/05f/d_01/tokushu.html
うちの読者に興味がありそうなのは, 池内了「家づくりのインフォームド・コンセント」かな。
http://www.kinokuniya.co.jp/05f/d_01/tokushu/tokushu06.html
基本的に『わが家の新築奮闘記』の話だけど。
▼Apple、G4Macintoshを発表。黒と銀色の筐体。うーん、かっこいい。しかも超速いらしい(最高4Gflops,平均で1Gflopsという)。いまの僕には宝の持ち腐れだが。
http://www.apple.com/
▼hotwiredから。「マイクロソフト社幹部の予言「紙の本は消える」」。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/3008.html
◇from editor |
今回、ウェブサイトでは毎日新聞のページをご紹介しました。
新聞に出ていることは知っている人には確かに食い足らないと思いますが、それでも意外と他分野のことは知らない人が多いのではないでしょうか。科学の世界でも「タコツボ化」が懸念されています。せめて新聞に掲載されるニュース記事くらい、目を通しておきたいものです。
弊誌では相変わらず科学に関する寄稿をお待ちしております。 ではでは、今後ともよろしくどうぞお願い申し上げます。
本誌ホームページ:http://www.moriyama.com/popular_science_node/ *本誌に関するご意見・お問い合わせはmoriyama@moriyama.comまでお寄せ下さい。 |
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