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Popular Science Node
1999/08/24 Vol.009
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◆CONTENTS:

[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ

[Guest Column]
超弦理論 (I)(by 田口善弘)
竜脚類の復元画制作プロセスについて(by 小田隆)

[Event]
「21世紀の科学技術と理科教育」公開シンポジウム

[Website]
トルコ大地震

[from editor's diary] 編集人のウェブ日記から

[from editor]


[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ

やはり「node」というコンセプトからすると、もっともっとURLを紹介すべきではなかろうか、と考え、編集人のウェブ日記などから適当にURLを紹介し、ダイジェストのニュースとします。実際にはニュースでもなんでもないのですが、便宜上「ニュース」としておきます。


▼「21世紀の社会と科学技術を考える懇談会」の意見募集
http://www.sta.go.jp/shimon/cst/kondan21/comment.htm

▼平成10年度「2000年代の科学技術系人材育成事業に関する調査」報告書
http://jhfsp.jsf.or.jp/shinko/pro/2000/contents.htm
その総論。
http://jhfsp.jsf.or.jp/shinko/pro/2000/outline.htm
 博物館ページのほとんどはアクセスを集めるのに失敗しているという報告。

▼平成11年版厚生白書
http://www.mhw.go.jp/wp/index.html

▼石川県畜産総合センターにいるクローンウシに発情行動。
 クローンウシ2世誕生に期待が。

▼科学技術庁、「こども科学技術白書」を刊行することを決定。12月刊行。

▼NASDAスペースパーソンNo.28
 H-IIAロケットを支える中枢部「アビオニクス系」のしくみと役割
http://spaceboy.nasda.go.jp/Spacef/sp/j/spacep_j.html

▼すばる望遠鏡に超高感度ハイビジョンビデオカメラを取り付け撮影した天体画像
http://www.nao.ac.jp/Subaru/hdtv/hdtv.html
 国立天文台から。

▼東京大学地震研究所地震予知情報センター トルコ地震特集
http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/topics/turkey/index-j.html
 トルコ地震についてはWebSiteのコーナーでも。

[Guest Column]

◇超弦理論 (I)(by 田口善弘)

田口善弘さんのサイエンスコラムです。本誌連載第6回目。


【超弦理論 (I)】

ポピュラー・サイエンス・ノードの読者の方から「超弦理論を解りやすく説明してくれ」という注文を受けてしまった。はっきり言って無理な注文である。第一に、僕は大体、物理学科の教員だが超弦理論を全く理解していない。第二に、超弦理論を解りやすく説明出来る人などいない(と、森山さんも言っていた)。

よって、今回のコラムはこれでおしまい....というわけにも行かないので努力しよう。きっと、これを読んでいる人の中には「プロ」の人もいるわけだろうし、あまりにも間違っている場合はきっと叱責のメイルが頂けるだろうと信じている。そんなメイルを頂いたら、必ず訂正版をお送りする、ということで御勘弁頂こう。

さて、そもそも、なんで超弦理論など考えたいのだろうか?これはなかなか難しい質問である。超弦理論が合っていようが間違っていようが、きっと我々の日常生活には関係ない。にも関わらず、超弦理論を非常に多くの物理学者が一所懸命研究している。それはなんでだろうか?

物理学と言う学問は、基本的に世界をなるべく少ない数の規則で説明したい、という強い動機を持っている。なぜ、そうなのか、というのは難しいが、多かれ少なかれどんな人間でも規則は数が少なくて、簡単な方がいい、と思ってはいると思う。例えば、「歩行者は道の右側を歩きましょう」というルールと「歩行者は、道路交通法において『車両』と定義されている車両から見て、その道の同じ側を対面方向に移動しなくてはならない。なお、この規則は車両が走行していない場合でも、有効である」というルールで、後者のほうがいい、という人はあまりいないだろう。簡単に言ってしまえば、物理学の歴史とは、後者を前者に言い替えるための絶え間無い努力の歴史である。

後者を前者に置き換えるには「車両は道の左側を走行する」というごく単純な事実が解ればいい。それと同じように、物理学ではいくつかの単純な事実が解ることにより、複雑なことが簡単なことに変わって来た。例えば、ニュートンが出て来るまでは宇宙の運動と地上の運動は全く別のものだったが、わずか数行で書ける簡単なルールの発見のおかげで、それらは同じものであることが解った。つまり、りんごと月は同じルールに従って、動いている、というわけだ。

超弦理論も、ちょうど同じような必要性から研究されている。そこで目指されているのはいろいろな力の統一、という奴だ。今の我々は電気の力は磁気を生み出し、磁気の力は電気を生み出す、ということを知っている(モーターや発電機を考えて欲しい)。そういう意味では、電気と磁気は同じものの別の面に過ぎないわけだ。しかし、ちょっと前までそんなことはちっとも当り前のことでは無かった。物理学の進歩によって、磁気と電気と言う別のことを一つの「ルール」で書けるようになったのだ。

我々のいる世界には電気と磁気以外にもいろいろな力がある。例えば、重力とかだ。しかし、今のところ、電気から磁気を、磁気から電気をつくり出すように電気や磁気から重力をつくり出したり、あるいはその逆をしたりすることはできない。しかし、ひょっとしたら、それらは同じものの別の面かも知れない。もし、そうなれば、重力と電気と磁気を別々に勉強しなくてもたった一個の「ルール」を勉強すれば全部解るようになるかもしれない(りんごと月をいっしょに考えることができるように)。そして、そんな可能性の一つの候補が超弦理論なのである。

超弦理論ではどういうやり方で電気と磁気と重力と(そしてその他の力を)一緒に考えることができるのだろうか?簡単に言えば、「今の宇宙では絶対あり得ない程、高エネルギーの状態の時には、電気や磁気は重力(およびその他の力)といっしょだった」と思うのだ。エネルギーが高い、というのは、物理屋のジャーゴンだがつまりは、エネルギーが満ち満ちていて、そこらじゅうエネルギーだらけの状態のことだ。これは例えば、温度が信じがたい程高温であることを意味する。温度を上げて行けばどんなものもいつかは融けて液体になり、更に高温になれば気体になる。高温では鋼鉄だって気体になってしまう。こんな状態では固体など存在しない、つまり、固体という概念が存在し得ない状態になる。これとおんなじように(おんなじじゃないか)、我々が絶対みることが出来ない程高エネルギーでは電気や磁気は重力(やその他の力)と区別できない状態になる、と考える。

さて、ここまで書いて力尽きた。あとは来週ということで(もし、「プロ」からごうごうの非難が来なければ、だが)。


田口善弘(たぐち よしひろ) 中央大学理工学部物理学科/理工学研究所
http://www.granular.com/tag/index-j.html

[Guest Column2]

◇竜脚類の復元画制作プロセスについて(by 小田隆)

前回掲載した恐竜画復元の小田隆さんに再びご寄稿頂きました。


  前回の復元では、少ない証拠から、全体像を復元する作業を紹介しましたが、今回はほぼ全身の化石が残っている場合のプロセスを書いてみます。私がすべての復元画を手掛けた、「最新恐竜学」(平山廉著、平凡社新書)の中で従来に無い竜脚類の復元を試みました。この本では著者の平山廉氏と密接なコミュニケーションがとられました。気がついたことがあると、毎日のように電話やメールでやり取りをするという日々でした。
 竜脚類の代表的な属である、アパトサウルスについて書きます。

 アパトサウルスの復元でも気をつけたのは、まず原典にあたるということです。ただし、実際にアメリカまで行って本物を取材する余裕はありませんでしたし、これほど巨大になると実物から得られる情報は逆に少なくなってしまいます。

 そこで有効な情報源は、原記載論文ということになります。最近の研究では写真が多用されるため、丁寧に描かれた図版は少なくなりましたが、戦前の研究では美しい図版(かなりのデッサン力があると思われます)が使われ、しかも発見されたすべての骨についての記載があります。また、多くの場合三面図になっており、立体を把握する上でもとても有効です。

 私はこれまでの竜脚類の復元には、しっくり来ないものを感じていたのですが、まずは感覚で始めるのではなくロジカルな手作業から始めることにしました。

1.原記載論文を20分の1程度になるように縮小コピーをとり(横から見た図です)、骨をひとつづつナイフで切り離していきました。この時順番が狂わないように整然と並べていきます。

2.一度にすべての骨の位置を決定し、並べることは非常に難しいので、椎骨(背骨を含む、首から尻尾まで)を並べていきます。このときに関節が無理なく繋がる位置を、慎重に選択していきます。この作業を雑にすると、復元姿勢が微妙に違ってきます。

3.椎骨だけ並べたものの角度を決定するのですが、この時に当然ながら前肢と後肢の長さがおおきな影響を与えます。
 後肢については、骨盤と椎骨が仙骨と言う骨で繋がっているので、位置は決定的です。この高さを中心にシーソーのように角度を微調整します。

4.前肢の位置で問題になるのは、肩関節は自由度があるため、椎骨とはまったく関節していないということです。
 この位置を決めるのは、ある種センスのようなものなのかもしれませんが、あくまでもロジカルにすすめます。(でも、センスのような気がする)

5.アパトサウルスの椎骨は強靱な靭帯によって、つり橋のように水平を保っていたと思われます。
 その場合神経棘突起(椎骨の上に突き出した、筋肉や靭帯の付着する突起)の一番高い部分を中心に、前後に緩やかに傾斜をつけると考えられます。
 その角度に椎骨が保たれるように、前肢の位置を決定します。

6.今回の復元で大きな発見があったのは、頭骨の関節する角度です。頚椎の頭骨につながる関節が水平面を向いているのに、頭骨の後頭顆(頚椎と関節する突起)は、垂直に突き出しています。これではとかげのように頭をつけようとしても、関節が脱きゅうしてしまいます。そこで頭骨の口が真下を向くように関節させてみました。
 この角度で無いと、頭骨を関節させることはできません。また、脳から出る中枢神経の角度から見ても、非常に自然であることが確認されました。彼等は口を真下に向けて、鼻腔を正面に開いていたのです。

7.恐竜は爬虫類であるので、四肢の関節には大量の軟骨が付着していたと思われます。このためほ乳類などに比べると、とても緩い状態でしか関節しません。そのため、多くの復元姿勢が生まれることになります。
 そこで、化石から分かることだけで無く、生態についても想像力を羽撃かせていく必要があります。

 全身が分かっている恐竜でも、復元には様々な説、可能性があります。博物館などで実際に観察してみると面白いと思います。
 博物館にあるものや、本に描かれているものが、必ずしも正解でないということを理解してください。

 古生物の復元には、まだまだ多くの可能性と、未知の世界が広がっています。


     小田 隆(おだ・たかし)  d-oda@mx2.nisiq.net

 略歴:1969年三重県に生まれる。東京芸術大学大学院修了。
    1996年に恐竜化石の組み立て、レプリカ制作に携わったことから、古生物の復元アートの制作を始める。
    代表的な仕事に、岐阜県荘川村、石川県白峰村での復元画制作。
    佐賀県立宇宙科学館の「タイムトンネル壁画」の原画制作。
    フリーの画家、イラストレーター。

◇Event

科学に関するイベント情報などを収集して告知します。
告知したいイベント主催者は編集人までメールを。

◇「21世紀の科学技術と理科教育」公開シンポジウム 8/26、大阪国際交流センター
  http://adw3.aist-nara.ac.jp/EVENT/mssympo/1.html

◇Website トルコ地震

今回はトルコ地震に関するURLを。
「地震」という自然現象と「震災」という災害は分けて捉えるべきものである。
地震予知と防災を分けて捉えるべきであるのと同様に。
だが現実問題としては、そんなことばかり言っていられない。


▼東京大学地震研究所地震予知情報センター トルコ地震特集
http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/topics/turkey/index-j.html

▼NHKボランティアネット トルコ大地震関連情報
http://www.nhk.or.jp/nhkvnet/spot/turkey99/
 募金先一覧などがあります。

▼Yahoo! Japan トルコ地震関連
http://news.yahoo.co.jp/Full_Coverage/Turkey/

▼JICA トルコ国西部地震災害救済 国際緊急援助隊救助について
http://www.jica.go.jp/jdrt/jdrt1999turkey/Index.html

▼赤十字国際ニュース
http://www.sphere.ad.jp/redcross/in/index.htm

▼トルコ共和国大使館トルコ政府観光局 大地震に関する情報
http://home.turkey.or.jp/ja/wnew/eq.html

▼日本建築学会災害委員会 1999年8月17日トルコの地震
http://www.sharaku.nuac.nagoya-u.ac.jp/turkey.html

◇from editor's diary http://www.moriyama.com/diary/

編集人のウェブ日記から、ある一日を適当に抜粋します。


99.08.15 曇りときどき晴れ

▼終戦記念日である。
▼ペプシが売り上げを急増、7月はシェア2割にせまる勢い(7月だけかもしれませんが)。朝日新聞によると例のボトルキャップが8月下旬からは1.5Pペットボトルにもう一回つくそうだ。
▼宇宙年齢はどうも130億くらい、というのが最近の流れのようですが、研究者の間ではどう言われているんでしょうか。
▼『所さんの目がテン』をいつものように見る。テーマはひまわり。最近は小さいひまわりが人気らしいのだが、僕はやっぱり太くてでかい茎の上に一個だけバーンとでっかい花のついたひまわりが好きだなあ。
科学面では千葉県立博物館の方が答えていたが、ひまわりがなぜ夜のうちに東へ「向き直る」のかは分かってないのだそうな。どうにかして太陽が出る方向を「覚えて」いるのだろうが。なお日中の首振りはオーキシンの分泌量とそれに伴う成長の差による。
で、例によって戦時中に作られていたというヒマワリコーヒーを再現したり、ヒマワリの茎から紙を作ったりしていた。いいなあ、こういうの。この番組は、たぶんいま放送されている番組の中では一番正しい科学番組のような気がする。でもひまわりの種って、なんかチョコレートっぽい味がするよね。俺だけ?
▼『特命リサーチ200X!』は多重人格の話。日本の精神医学界では「そんなものはない(解離性障害の一症例であって人格が複数なんてのは本質ではない)」ということになっていると思うんですが、いまはどうなんでしょうねー。もし「ない」ということになっているんなら、学会として否定して欲しいもんですが。ていうか、とにかくはっきりさせて欲しいなあ、と思う。でないと一般と医者との間の距離はどんどん開いていくでしょう。ただでさえ、精神医学の世界って、いわゆる「俗説」とそうでないものの区別がつきにくいのに。
▼確かに、これは読みふけってしまう。『
「姉の日記」より 』。
▼富士通、パソコン用CD-ROMソフトから撤退。
▼文部省、2000年度から学級崩壊対策用にチームティーチング導入へ。教員OBを活用する。

http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.99.08.htm#diary.99.08.15 より

◇from editor

まぐまぐが夏休みだった間、編集人もお休みを取らせて頂きました。
というのはウソで、単に発行が休みだっただけだったりします。

今回、前回に続いて再びイラストレーターの小田隆さんにご寄稿いただきました。
なお、前回お届けした小田隆さんによる復元画は、毎日新聞の7/31日の記事
http://www.mainichi.co.jp/news/journal/photojournal/archive/199907/31/31-02.html
で見ることができます。

弊誌では相変わらず科学に関する寄稿をお待ちしております。 ではでは、今後ともよろしくどうぞお願い申し上げます。



Popular Science Node Vol.009 1999/08/24発行 (配信数:3,869部)
発行・編集人:森山和道(moriyama@moriyama.com, フリーライター)
【独断と偏見のSF&科学書評】ホームページ:http://www.moriyama.com/
本誌ホームページ:http://www.moriyama.com/popular_science_node/
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なお編集人の独断で認めない場合もありますので予めご了承下さい。


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