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Popular Science Node
1999/07/13 Vol.004
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◆CONTENTS:

[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ

[Guest Column]
◇ゴム弾性(by 田口善弘)

[Event]
第14回地球環境研究者交流会議
通商産業省工業技術院研究所 第4回全国統一公開
通信情報総合展示会「COM JAPAN 1999」
『宇宙ふれあい塾'99』 9月12日(日) 小・中学生対象
第39回生化学若い研究者の会 夏の学校

[Website]
01:サイエンスチャンネル

[from editor's diary]

[from editor]


[Digest]
◇科学関連ニュースいろいろ

やはり「node」というコンセプトからすると、もっともっとURLを紹介すべきではなか ろうか、と考え、編集人のウェブ日記などから適当にURLを紹介し、ダイジェストの ニュースとします。実際にはニュースでもなんでもないのですが、便宜上「ニュー ス」としておきます。


▼七夕関連のHP集(横浜こども科学館、天文民俗学ページ)
http://www.city.yokohama.jp/yhspot/ysc/izumo/tanalink.html
 もう終わっちゃいましたけど。でも8/7日が七夕のところも多いですよね。

▼科学哲学のMLが出来たそうです。「ウィーンサークルML」
http://www.grace.ne.jp/eve/katetu/index-ml.htm

▼もう一つMLを。環境自由大学 青空メーリングリスト
http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/bluesky.html

▼ソーラーカー・レース鈴鹿 Dream Cup'99
http://www.yomiuri.co.jp/solar/frontpage/frontpage.html
 来月六日〜八日の三日間、主催:読売新聞社ほか、特別協賛:本田技研工業

▼「電子の目」人工網膜チップ実用化進む
http://www.yomiuri.co.jp/bitbybit/bbb07/970701.htm

▼ディープインパクト計画
http://www.nao.ac.jp/nao_news/mails/000273
 国立天文台のニュースから。ネーミングもそうですが、ミッションそのものも面白そうです。

▼AIBO関係 公開特許 一覧
http://member.nifty.ne.jp/aibo/aibo/sonypat/index.htm
アイボオーナーのページの一つ、Robopet Laboratory ( http://member.nifty.ne.jp/aibo/ )から。
 なかなか興味深いです。

▼Sign Up for Mars!
http://spacekids.hq.nasa.gov/2001
NASAのプロジェクトで、Mars Surveyor 2001に搭載するCD‐ROMに無料で名前を載せてくれるそうです。火星に名前を送りたい人はどうぞ。

▼上野動物園に「両生爬(は)虫類館」が完成したそうです。
 総工費は約20億円、20日開館予定。

[Guest Column]

◇ゴム弾性(by 田口善弘)

かつてMacUser誌やメルマガなどで「インタラクティブ・サイエンス・コラム」を連載、現在も諸々でご活躍なさっている田口善弘さんにご寄稿頂きました。 田口さんの科学コラムは知ってる人はみんな知ってるように、面白いです。9月頃まで定期的にご寄稿頂けるとのことなので、お楽しみ下さい。


【ゴム弾性】

久保亮五という高名な物理学者がいた。故人である。ノーベル賞を取るところまで行かなかったので普通の人は知らないだろう。しかし、平成という元号を決定した委員会の委員でもあった(きっと理系としての意見を求められたのだろう)くらいの権威者だったらしい。彼が若かりしころ書いた名著に「ゴム弾性」という本がある。50年ほど前に出された本で当時、彼は若干27歳だったという。1996年に裳華房という主に専門書ばかり出している本屋(といってもポピュラーサイエンスシリーズという一般向けのよい科学入門書も出してはいるが)から復刻された。

実はいまだにまだ読んでないのだが、それほどの大物理学者が27歳にして本まで書きたくなるほどゴム弾性とは大事なテーマだったのだろうか? だって、たかがゴムである。

大事かどうかは知らないが、ゴムの弾性は結構、おもしろい。例えば、普通の物質は熱すると膨張するが、ゴムは熱すると縮む。普通の物質はこんなことはない。例えば、空気。空気を熱すれば膨張して軽くなる(この原理を応用したのが熱気球)。硬い鋼鉄も熱すれば膨張する。鉄道のレール、つなぎ目がすこし空いていると思うけれど、これは夏の高温でレールが膨張して長くなってもぶつからないようにすき間が空けてあるのだ。

これの裏返しにすぎないけれど、ゴムはひっぱって伸ばすと熱くなる。これも空気とは逆の性質。なんでこんなことが起きるのか?

さて、一般に、空気とか鉄とかはみな原子とか分子のような、小さな粒子で出来ている。温度が上がるということはこの粒子の運動が激しくなることを意味している。例えば、粒子を小さなネズミと考えて、みれば解りやすい。温度が高いときはネズミが元気なのであっちこっち走り回る。で、体積が大きい。温度が下がると元気が無くなって身をよせあうので体積は小さい。じゃあ、なぜ、ゴムの場合はこれが逆転するのか?

ゴムは、普通の物質とちがって、粒子じゃなくてヒモのあつまりなのだ。長いヒモがお互いに絡まりながらいっぱい集まったのがゴムなのである。このヒモもまた、先程の粒子がつながったものだ。だから、ネズミのアナロジーで言えば、ゴムは一本の長いヒモでつながったネズミ達ということになる。さて、ネズミが一本の長いヒモでお互いにつながれていたらどうなるか?その場合、ネズミが好き勝手にいろいろな方向に動こうとすると、かえってお互いを縛りあってしまい、あんまり広がれないことが解るだろう。むしろ、元気がなくてじっとしている方が一列に並んでヒモが伸びてい られる。これが温度があがるとゴムが縮む理由なのだ。

これはまた同時になぜゴムに「弾性」があるかという理由にもなっている。元気であっちこっち動きまわりたいと思っている一列につながれているネズミ達を無理矢理ひっぱって一列にしておくのは大変だろう。手を離した途端、紐はすぐに「縮んで」しまうのに違いない。

僕らの身の回りにごく普通にある物質にもこんな仕組みが隠れている。

関連リンク:
▼裳華房:
http://www02.so-net.ne.jp/~shokabo/
▼その筋の権威による「ゴム弾性」の書評:
http://www.stat.cse.nagoya-u.ac.jp/~masao/gomuDansei.html
▼ゴムのおはなし:
http://www.kinugawa-rubber.co.jp/KINU1/gom-frame.html

田口善弘(たぐち よしひろ) 中央大学理工学部物理学科/理工学研究所
http://www.granular.com/tag/index-j.html

◇Event

科学に関するイベント情報などを収集して告知します。
告知したいイベント主催者は編集人までメールを。

◇第14回地球環境研究者交流会議開催のお知らせ
  http://www-cger.nies.go.jp/species2000.html
 平成11年7月14−16日
 場 所 つくば国際会議場(仮称)

◇通商産業省工業技術院研究所 第4回全国統一公開 (7/30(金)9:30〜17:00)
  http://www.aist.go.jp/TRAO/koukai/

◇通信情報総合展示会「COM JAPAN 1999」
  http://www.comjapan.gr.jp/

◇『宇宙ふれあい塾'99』 9月12日(日) 小・中学生対象
http://yyy.tksc.nasda.go.jp/Home/Press/Press-j/199907/
spaceday_990709_b_j.html

◇第39回生化学若い研究者の会夏の学校のお知らせ

生化学若い研究者の会では、下記の要領で恒例「夏の学校」を開催いたします。皆様
振るってご参加下さい。詳細は生化学若い研究者の会ホームページ
 http://www.seikawakate.com/
をご覧下さい。

      御質問,お問い合わせは下記までよろしくお願いします.
      夏の学校事務局長:臼井健悟
      〒501-1193 岐阜県岐阜市柳戸1-1
      岐阜大学農学部生物資源利用学科遺伝子工学研究室
      Tel:058-293-2909 E-mail: kengo719@cc.gifu-u.ac.jp


   1. 日程:1999年7月31日(土)〜8月2日(月)

   2. 会場:定光寺自然休養林内
      愛知県労働者研修センター
      〒489-0001 愛知県瀬戸市平町78番地
      Tel: 0561-48-2611 Fax: 0561-48-3146

   3. 概要: 夏の学校は 生化学若い研究者の会の すべての支部の人々を会する,
      年一度の全国規模のイベントです. 2泊3日の合宿形式で行なわれます. 講師
      22名による13の「分科会」,「研究交流会」,そして「シンポジウム」等の企
      画を用意しております(文末参照).

   4. 費用
       参加費:学生7000円,一般11000円
       生化学若い研究者の会年会費:3000円
       宿泊費:7000円/1泊(3食付),全参加で14000円(2泊)
       保険料:500円

           (注)宿泊費,保険料は,当日受付でお支払い願います. なお,受付で
           一度入金された代金は一切返却できませんので 御注意下さい.

   5. 参加申し込み方法 次の二つの手続きに大きく分かれます.
         o 申し込み用紙への記入と送付、またはメール及びホームページ上からの
     オンライン登録   
         o 参加費+年会費の送金
      申し込みはこの両方が確認された時点で完了とします. 詳しくは夏の学校
      ホームページをご参照下さい。
      http://www.seikawakate.com/natu/natu.html
      ホームページが閲覧できない場合は、上記問い合わせ先までご連絡下さい。

      #できるだけ、申し込みはホームページのほうからお願いします。

   6. 申し込み期間 1999年7月16日(金)
   人数に余裕がございますので、団体での参加も歓迎いたします。
      参加申し込み頂いた方には,要旨集を発送致します.

   8. シンポジウム、分科会招待講師一覧

   1) シンポジウム「コレカラノ生命科学ヲカンガヘル」
     講師 
     堀田凱樹先生(国立遺伝学研究所)
     堀内 嵩先生(基礎生物学研究所)
     柳田充弘先生(京都大学)

   2) 分科会 全13分科会、講師22名

   1. 美しく、どこかミステリアス、、、−−−植物−−−
           講師 
           石川雅之先生 (北海道大学農学部 助教授)
           柿本辰男先生 (大阪大学大学院理学研究科 助手)
           平山隆志先生 (理化学研究所 研究員)

   2. 立体構造から分子機能を 覗いてみよう!
           講師
     緒方一博先生(神奈川科学技術アカデミー、横浜市立大学医学部構造生物学研究室)
           樋口芳樹先生(京都大学大学院理学研究科化学専攻)

   3. たんぱく質輸送の謎に迫る
      -PDIファミリー蛋白質の発現と機能-
           講師
           佐賀信介先生 (愛知医科大学病理学第二講座)

   4. 老化研究と線虫C.elegans の挑戦
           講師
           石井直明先生(東海大学医学部分子生命科学助教授)
           木村幸太郎先生(名古屋大学生命理学分子神経生物学ポスドク)

   5. シグナル伝達研究の最前線
           講師
           澁谷浩司先生(基礎生物学研究所 発生生物学研究系形態形成部門)
           久本直毅先生(名古屋大学理学部 生体応答論)

   6. プログラム細胞死の 分子機構の解明に学ぶ、「研究におけるブレークスルー」とは?
           講師
           須田貴司先生(金沢大学医学部がん研究所分子標的薬剤開発センター教授)
           三浦正幸先生(大阪大学医学部神経機能解剖助教授)
           恵口 豊先生(大阪大学大学院医学研究科遺伝子学・助教授、
                  科学技術振興事業団戦略的基礎研究「脳を守る」辻本グループ)

   7. 癌研究・・・ゲノム工学的アプローチと細胞周期制御機構の解明からのアプローチ・・・
           講師
           押村光雄先生(鳥取大学・医学部・生命科学科・細胞工学講座)
           豊島秀男先生(東京都臨床医学総合研究所・腫瘍生化学研究部門)

   8. 個体発生と系統発生-動物 の体造りに関わる遺伝子と進化-
           講師
           相澤慎一先生(熊本大学・医学部・遺伝発生医学研究施設)

   9. 高次脳機能part1
           講師
           三品昌美先生(東京大学医学部)

   10. 高次脳機能part2
      PET / in vitro PET による高次脳機能・脳特異的代謝の解析
           講師 
     渡辺恭良先生(大阪バイオサイエンス研究所神経科学部門) 

   11. ニューロンの織りなすシンフォニー
      神経回路形成の仕組みに挑む
           講師
           平田たつみ先生(遺伝学研究所・脳機能研究部門)
           白崎竜一先生(大阪大学大学院基礎工学研究科脳科学講座)

   12. 細胞って何だろう?
           講師
           富田勝先生(慶応義塾大学 環境情報学部)
           滝沢温彦先生(大阪大学 理学系研究科)

   13. 環境・廃棄物問題への視点
      〜タコ壺的発想からシステム的思考へ〜
           講師
           松田智先生(静岡大学・工学部・物質工学科)

      日本の生物学の第一線を担う講師がこれだけ揃うのも滅多にない機会かと思います。是非ご検討下さい。

◇Website

この欄では、私が時折訪問するウェブサイト、ポピュラーサイエンスという面でも優れた内容を持つウェブサイトを勝手に紹介する。
日本語で書かれたポピュラーサイエンスのサイトは確かに数少ない。
だが、数少ないなりにはあるのだ。

■サイエンス・チャンネル インターネット放送
http://sc-smn.jst.go.jp/
科学技術振興事業団が作っているCS局・サイエンスチャンネルはインターネット上でも放送を行っている。このウェブサイトからはそのいくつかの番組をRealPlayerで見ることができる。音質も画質もメタメタだが(海外のこの手のものと比べると、もっとうまく作れるんじゃないかと思うのだが)、いちおう内容は分かる。『DATA NOW』や『サイエンス・トピックス』、『ぼくたち科学特捜隊』、『研究所最前線』などのコンテンツがあるので、テレホーダイ時間にでも一度のぞいてみてはいかがだろうか。ラジオくらいにはなる(真面目な話、音質をあげた、音声だけのヴァージョンも作ってもらいたいくらいだ)。

◇from editor's diary http://www.moriyama.com/diary/

編集人のウェブ日記から、ある一日を適当に抜粋します。


99.07.09

▼恐竜アートの描き手としては最高だと思うダグラス・ヘンダーソンのページ、 DOUGLAS HENDERSON'S EARTH HISTORY ILLUSTRATIONS http://gallery.in-tch.com/~earthhistory/index.html 。
THE GEOLOGIC TIMELINE からイラストが見られる。ちょっと小さいけど、まあしょう がないか。なぜ彼が最高かというと、描写力もさることながら、彼のイラストにはま さに生きている生物として古生物が描かれているから。恐竜など古生物が、それぞれ の時代のなかの風景として溶け込んでいるのである。ナチュラルなのだ。もちろん背 景に描かれている植生もきちんと考証されている。やっぱこうでないと、古生物アー トとは言えないと思う。ああ、ポスター欲しいなあ。でも買っても貼るところがない ぞ。
▼検索エンジンは使えない(http://www.zdnet.co.jp/news/9907/08/berst.html)、と いう話だが、確かにリンク切れは多いし、フォローしてないとこも多い(http://www.zdnet.co.jp/news/9907/08/necri.html)。だがそれでもリンク集よりはずっと使えるのだなあ。つまり、ないよりはまし(http://www.hotwired.co.jp/news/news/2714.html)、ということだ。
▼アイボに関するウェブの一つ、AIBO TOWN(http://www.mede.co.jp/aibo/)に新しくできた「みんなのAIBO日記」。その新規到着順(http://210.228.129.179/aibo/FMPro?-DB=diary.fmj&-Format=diarynew.html&-Sortfield=作成日&-Sortorder=Descend&-Sortfield=作成時間&-Sortorder=Descend&-Max=20&-Find)。
▼これはなんだか笑えるというかなんというか。Natureから、EARTH: SERIOUS MOONLIGHT(http://www.naturejpn.com/newnature/psu/psu-990707a.html)。月が地球の気温変動に効いているらしいという話。新月と満月とでは0.309度Cも違うという。まあ、地球の気温変動が本当は何によっているのかさっぱり分かってないのは古気候を見れば一目瞭然なわけだけど、これがもし本当なら、かなりびっくりな話ではあ る。
▼イギリスで、した後に飲むピルが解禁された。10%の人は吐く、という薬である。

http://www.moriyama.com/diary/1999/diary.99.07.htm#diary.99.07.09 より

◇from editor

前号でお届けしたジョイデス・レゾリューション関連の話が、今月の『サイアス』に掲載されています。各プロジェクトの担当者がそれぞれ寄稿している豪華版。というわけで興味のある方はご覧になることをおすすめします。

さて、ご覧頂いてお分かりのとおり、今回から田口善弘さんにご寄稿頂けることになりました。これで僕は手抜きができる、というわけです(笑)。というわけで他にも何か寄稿してやろうという方をお待ちしています。

前回この欄でふれたように、ソニーのロボット・アイボが出荷され届き始めました。すでに「飼い主」たちの間ではアイボ連れのオフも行われています。アイボはブルーを嫌うようにプリセットされているらしいとか、外部との接続ポートがあるとか、出てきて初めて分かった情報などもあります。ですがこれも初期設定に過ぎない。これからおそらくどんどん個性化していくことでしょう(既にしているみたいですし、そのようになっているらしいですから)。ある意味、unstructured enviromentで自律ロボットがどう個性化していくか、という壮大な実験でもありますね。少なくともこれだけ大量のロボットを実験室から家庭に持ち込んだのは初めてでしょう。というわけで楽しみ楽しみ。

ではでは、今後ともよろしくどうぞお願い申し上げます。



Popular Science Node Vol.004 1999/07/13発行 (配信数:2,587部)
発行・編集人:森山和道(moriyama@moriyama.com, フリーライター)
【独断と偏見のSF&科学書評】ホームページ:
http://www.moriyama.com/
本誌ホームページ:http://www.moriyama.com/popular_science_node/
*本誌に関するご意見・お問い合わせはmoriyama@moriyama.comまでお寄せ下さい。
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なお編集人の独断で認めない場合もありますので予めご了承下さい。


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