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乳児型ロボットと子供型学習・発達ロボットを開発 浅田共創知能システムプロジェクト

6月11日、JST戦略的創造研究推進事業ERATO型研究 浅田共創知能システムプロジェクトは、「乳児型ロボットと子供型学習・発達ロボットを開発」と題して成果発表を行った。

浅田共創知能システムプロジェクト」は、ロボットを作ることを通して人間の知能創発の過程やメカニズムの理解を進め、新しいロボットの設計論の構築を行うことを目指した「認知発達ロボティクス」のプロジェクトである。これまでに子供型ロボットの「CB2」を使った運動学習メカニズムの研究、アンドロイドを使った対人認知メカニズムの研究などを発表してきた。

浅田共創知能システムプロジェクトの研究の枠組み

浅田共創知能システムプロジェクトの研究の枠組み

記者会見には、研究統括の大阪大学大学院工学研究科教授の浅田稔氏、プロジェクトグループリーダーの東京大学大学院情報理工学系研究科教授の國吉康夫氏、同じく大阪大学大学院基礎工学研究科教授の石黒浩氏らが出席。子供型ロボット「M3-Kindy」と、乳児型ロボット「Noby(Nine-month Old Baby、9ヶ月相当ヒューマノイド)」が紹介された。



・乳児の感覚運動をシミュレートするロボット「Noby」

乳児型ロボット「Noby」は、乳児の感覚運動を精密にシミュレートする認知行動発達研究の実験装置を目指したロボット。生後9ヶ月児の身体、感覚運動特性に極力近づけ、人間乳児との対比や同等環境での行動実験が可能だとしている。なお生後9ヶ月は運動機能や認知機能が共に劇的に変化する時期で、成長速度は鈍化する一方で知能が発達する時期だという。

30自由度、カメラ×2、タッチセンサー、マイク、スピーカーなどを、9ヶ月児の平均サイズのなかに詰め込んでいる。全身は柔らかく、600点の触覚センサーが張られており、身体を動かしたときに赤ちゃんが全身で何を感じているか知ることができるという。

また、実際の筋肉骨格系に運動特性を近づけるために、通常のモーターを使った関節とは違ってフリーな状態や関節堅さが変えられるようになっている。モーターの配置も工夫されており、身体の重量バランスを赤ちゃんに近づけている。全身の体内LAN通信は、リアルタイム性の高い独自の通信システムを採用しているという。

全身は赤ちゃんの柔らかい体の動きを再現できるようにしている。例えば実際の赤ちゃんの動きを計測してロボットを動かすことで、感覚と運動の統合による脳の発達過程を調べたりできるという。またロボットは視角から画像処理で動きや色、顔の情報をとって、どのくらい目立つか、前に見たことがあるかなどから総合的に判断して、新規なものを探索していくようになっている。これもまた赤ちゃんの発達過程をなぞったものだ。

実際のデモでは大人とのふれあいや、ジェネラルムーブメントなどのデモが行われた。


個体間の相互作用による社会性の発達研究を行うためのロボット「M3-Kindy」

大阪大学の石黒浩教授は、認知発達研究のための普及型プラットフォームとして、「CB2」をより簡便にしたロボット「M3-Kindy」について解説した。「Noby」が個体ベースの認知発達研究を主な目的としているのに対し、個体間の相互作用による社会性の発達研究を行うためのロボットだ。そのため運動性能を重視して既存のモーターを使い、コストを下げ、認知発達研究用に汎用的に必要だと考えられるような機能を盛り込み、ロボットの専門知識がなくても使いこなせるロボットとして開発したという

身長は5歳児平均に近い約108cm、重量約27kg。全身の自由度は42で、顔の表情も眉や口角などが動く。カメラ、マイク、全身に109個の触覚センサーなどをもつ。バッテリーやコンピュータも内蔵し、自律で動くことができる。

デモでは浅田教授に腕をひかれて出てきたあと、横たわった状態から起き上がり、ふりむいてはいはいするといった動きが紹介された。

「人見知り」など子供と大人による社会的相互作用の研究を行うこともできるという。

なお3月に発表された赤ちゃんロボット「M3-Neony」と集団コミュニケーションロボット「M3-Syndy」は、ヴイストン社から研究者向けに販売されている。

同日、午後には公開シンポジウムのかたちでプロジェクトの成果発表が行われた。内部構造設計、環境設計、時間的発展の構造といった観点で人間と環境の計算モデルを作り、新たな人間理解を目指す研究について4人のグループリーダーが講演した。成果として、胎児の発達シミュレーション、人工筋肉を使ったはいはいする赤ちゃんロボット、脳と身体図式の関わり、音声模倣や共同注意の研究などを示した。


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赤ちゃんロボット「M3-neony」と集団コミュニケーションロボット「M3-synchy」を開発 阪大ほか

赤ちゃんロボット「M3-neony」(上)と集団コミュニケーションロボット「M3-synchy」(下)

赤ちゃんロボット「M3-neony」(上)と集団コミュニケーションロボット「M3-synchy」(下)

赤ちゃんロボットと集団コミュニケーションロボットを開発−認知発達研究の普及型ヒト型ロボット・プラットフォームを実現−.

大阪大学 大学院工学研究科の浅田稔教授らは、人間とロボットの認知発達研究のための普及型ヒト型ロボット・プラットフォームとして、赤ちゃんロボット「M3-neony(エムスリー・ネオニー)」と、集団コミュニケーションロボット「M3-synchy(エムスリー・シンキー)」を開発したと発表した。

「M3」はManmade (Wo)man(人造人間)に由来する。neonyは新生児(neonate)に、synchyは複数のロボットの同調(synchronize)による 円滑なコミュニケーションをイメージした。

ロボットを用いた人間の認知発達メカニズムの理解に用いるための研究プラットフォームとしてのヒト型ロボット。ヒト型であり、運動性能と感覚機能を備えたロボットであり、ロボットに関する専門知識が少ない研究者でも容易に扱えることが大きな特徴だとしている。汎用モーターや制御マイコンを採用したことで、保守性と開発容易性を備え、ロボットへの専門知識が少ない研究者でも容易に実験することが可能だという。

「M3-neony」

赤ちゃんロボット「M3-neony」は、赤ちゃんの発達過程でみられる「身体バブリング(赤ちゃんの発達過程でみられる運動学習の1つ。体をランダムに動かすことで筋肉の動きや身体部位の構成との関係性を認識し獲得していくこと。音声バブリングにちなんで、このように呼ばれる)」による運動学習や、身体接触を伴う介助による学習などを研究することが可能だという。

2007年と2008年のロボカップ世界大会のヒューマノイドリーグで優勝したVstone社を中心とした「TeamOsaka」の「VisiON-4G」を元にしたロボットで、身長は人間の新生児と同程度の大きさの約50cm、重量約3.5kg。22個のモーター、頭部に2個のカメラ(CMOS 30万画素)と2個のマイクロフォン、胴体に2軸ジャイロと3軸加速度、全身に90個の触覚センサーを持つ。

既存の小型ヒューマノイドと比べると、豊富なセンサーを持たせたことを特徴としている。バックパックはあるものの、高性能モーター(最大トルク41kgf・cm、回転速度0.14s/60°)により、乳幼児の複雑で強力な動きを模倣させることが可能だという。

各種センサーは乳幼児の知覚をなぞらえており、顔や物体、音声、接触などを認識させて身体バブリングによる運動学習や、身体接触を伴う養育者の介助に基づく学習など、さまざまな認知発達研究ができるという。

「M3-synchy」

集団コミュニケーションロボット「M3-synchy」は、複数のロボットと人間の間の言語的・非言語的コミュニケーションを研究することが可能で、特に視線行動によるコミュニケーション実現に適した機能を備えているという。

身長約30cm、重量約2.3kgの車輪移動型の小型ロボットで机上で使える。17個のモーター、頭部に広角レンズ付きCCDカメラ(33万画素、水平画角約120度)1、マイクロフォン2、出力装置としては全身に15個のLEDと、胴体部にスピーカーを持つ。

身振りや表情(視線と口の動き)、LEDによる頬の紅潮、スピーカーによる発話のほか、カメラとマイクロフォンによる顔や物体認識、音声認識などが可能。

これまでの卓上用の小型ロボットと比較すると、眼球に3自由度、首に3自由度、腰に2自由度と、非言語コミュニケーションに重要な自由度を豊富に持っているとしている。

言語的・非言語的な様式によるコミュニケーション、特にアイコンタクトなどの視線行動による集団コミュニケーションを実現することで、社会的コミュニケーション能力の学習・発達などの研究を行えるという。

ロボットの動作はWindowsPC上のモーションエディタによって作成する。OSはない。デバイスのアクセスに特殊なドライバなどを必要としないため、ユーザーが自由な環境でモーターの制御およびセンサー情報処理プログラムを開発することができるため、研究者それぞれの研究目的に合わせた学習プログラムの設計が可能だとしている。

動画は、
47ニュース 大阪大が赤ちゃん型ロボット開発
で見られる。

また、浅田氏らの研究に興味がある方は、
インプレス「Robot Watch」に掲載された

人・ロボットの社会的発達を研究するための子供型ロボット「CB2」
〜「浅田共創知能システムプロジェクト」を訪ねて
http://robot.watch.impress.co.jp/cda/column/2007/08/03/584.html

も合わせてご覧頂ければ幸いである。

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