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「スピン流」を使って絶縁体に電気信号を流すことに成功 東北大学 発熱によるエネルギーロスなし

スピン流

絶縁体に電気信号を流すことに成功 省エネデバイスに新展開 | 受賞・成果等 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-.

東北大学金属材料研究所の齊藤英治教授らは、慶應義塾大学 大学院理工学研究科修士課程2年の梶原瑛祐(ようすけ)氏、東北大学金属材料研究所の前川禎通 教授と高梨弘毅 教授、FDK社との共同で、電子のスピンを用いて絶縁体に電気信号を流す方法を発見した。イギリスの科学雑誌「Nature」3/11日号に掲載される。

通常、絶縁体には電気は流れない。だが電気信号をスピンに変換して「磁性ガーネット結晶」と呼ばれる絶縁体へと注入し、絶縁体中を「スピンの波」として伝送して再び電気に変換することによって、絶縁体中も電気信号を伝送できることを発見した。

しかも絶縁体の中をジュール熱の発生なしに信号を流せるため、発熱によるエネルギーロスの問題を根本的に解決しうる。よってこの電気信号伝送は、省エネルギー技術へも応用できるという。

電子は「電荷」と「スピン」の2つの性質を持つ。これまでのエレクトロニクスでは電荷を利用して来たが、今回の研究では、スピンを使うことで「スピン流」という形で絶縁体にも電気信号を流すことができることを利用した。

絶縁体である磁性ガーネット薄膜の高品質表面に2つの白金(Pt)電極薄膜を付けて精密な電気測定を行い、一方の白金電極に流した電流が絶縁体を介して、離れたもう一方の白金電極に電圧を発生させることを発見した。この電気信号伝送は、磁場を加えることで容易にスイッチオン・オフする。

この現象は、白金電極中の電流が「スピンホール効果」と呼ばれる固体中の相対論効果によって電子スピンの流れ(スピン流)を生み出し、これが磁性ガーネット中をスピンの波として伝わり、このスピンの波がもう一方の白金電極中でスピンホール効果により電圧に変換されたものと考えられるという。磁性ガーネットなどの磁性を持った絶縁体は、電流は通さないがスピンの波は通す物質であることがポイントだとしている。


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地球外核の対流構造に円筒状の帯状流を発見 地球シミュレータ

外核内の対流構造。北極側から見た赤道面上の、渦度の回転軸方向成分を表す。赤が正、青が負の値を示している。(a)は低粘性モデルの場合。対流構造はある距離まで、動径方向に細長く伸びた、空間スケールの小さいシート状の構造を示す(実線の矢印部分)が、そこから対流構造が大きく変化し、経度方向に沿った構造が卓越した、空間スケールの大きい構造が形成されている(破線の矢印部分)。(b)より粘性が高い場合のモデル。a.で見られるような、2重対流構造は見られない。

外核内の対流構造。北極側から見た赤道面上の、渦度の回転軸方向成分を表す。赤が正、青が負の値を示している。(a)は低粘性モデルの場合。対流構造はある距離まで、動径方向に細長く伸びた、空間スケールの小さいシート状の構造を示す(実線の矢印部分)が、そこから対流構造が大きく変化し、経度方向に沿った構造が卓越した、空間スケールの大きい構造が形成されている(破線の矢印部分)。(b)より粘性が高い場合のモデル。a.で見られるような、2重対流構造は見られない。

プレスリリース<JAMSTECについて<独立行政法人海洋研究開発機構.

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球内部ダイナミクス領域の宮腰剛広研究員と国立大学法人神戸大学大学院工学研究科の陰山聡教授らは、地球シミュレータを用いた計算機シミュレーションにより、地球外核の新しい対流構造を発見したと発表した。

これまでに分かっていたシート状の形をした動径方向の流れ成分が卓越する構造よりもマントルに近い領域で、ほとんど経度方向(西向き)の成分しかもたない帯状の流れが卓越する構造。地球磁場生成のメカニズムの解明に向けた基盤的なシミュレーション研究として大きな一歩であると言えるという。2月11日付けの英国科学雑誌ネイチャーに掲載された。

地球表面から深さ約3000km〜5000kmの部分は外核と呼ばれ、数千度で溶融状態になった流体鉄が主な成分と考えられており、対流していると考えられている。地球は磁場を持っているので、流体鉄がその中を対流運動によって動くと電流が流れる。その電流が元々ある磁場を強めるように流れれば、このサイクルを繰り返す事で磁場は散逸されず維持出来るようになる。地球外核内で起電力を発生させ地球磁場を維持する機構の事を「地球ダイナモ」と呼ぶ。

地球ダイナモの詳しいメカニズムはよく分かっていない。特に地球外核は粘性率が低く、流体運動をシミュレーションしようとすると、より高い解像度が要求されるので、計算の困難さは飛躍的に増大しているのが現状だという。

研究グループは独自に考案した「インヤン格子(球を合同な二つの部分(「イン」と「ヤン」)に分け、それらを別々に計算し、相補的に組み合わせることで球全体を解くという格子系。野球の硬球が二つの合同な布を組み合わせて作られているのと似ている)」という新しい計算格子を使用し、地球シミュレータを用いて、これまでで最も高解像度で地球ダイナモの計算機シミュレーションを行った。

その結果、これまでたくさんの円柱状の渦の集まりになると考えられていた地球外核の対流構造は、カーテンのように薄いシート状であることが明らかになっていた。

今回、さらに高解像度シミュレーションを行った結果、外核の対流構造はシート状のものだけでなく、特徴の違う2種類の流れから成る2重対流構造を形成する事が分かった。

外核の中でも内核により近い領域では、動径方向の流れ成分が卓越し、細い上昇と下降運動が交互に並ぶ流れ(3次元的にはシート状の流れ)が形成されるのに対し、マントルにより近い領域では、経度方向の流れ成分が卓越し、西向きの帯状流れが形成される事が分かった(図2)(3次元的には、帯状の流れが南北に一様に形成されているという、円筒状の構造になる(図3)。

図2. 低粘性モデルの場合の、流れ場の様子。特徴の異なる2種類の流れから成る2重対流構造が形成されている。(a)北極側から見た赤道面上の流れの様子を、色のついた矢印の集合で表したもの。中心の白い球は内核。(b) a.での白い実線枠内を拡大したもの。マントルに近いこの領域では西向きの経度方向の流れが卓越している事が分かる。(c) a. の破線枠内を拡大したもの。内核に近いこの領域では、動径方向の向きの流れが卓越している。

図2. 低粘性モデルの場合の、流れ場の様子。特徴の異なる2種類の流れから成る2重対流構造が形成されている。(a)北極側から見た赤道面上の流れの様子を、色のついた矢印の集合で表したもの。中心の白い球は内核。(b) a.での白い実線枠内を拡大したもの。マントルに近いこの領域では西向きの経度方向の流れが卓越している事が分かる。(c) a. の破線枠内を拡大したもの。内核に近いこの領域では、動径方向の向きの流れが卓越している。

図3. 対流の3次元構造。図の上方向が北極側を、下方向が南極側を表す。赤と青の面はそれぞれ、渦度の回転軸方向成分の正、負の値の等値面を表す。図1aの、赤、青に対応している。図1で赤道面で見ると細く絞られた流れに見えていたものが、3次元的には回転軸方向に構造がほとんど変化しない、薄いシート状の流れになっている事が分かる。黄色い線は流線を表す。シート状流の外側では経度方向の流れ(帯状流)が卓越し、シート流をぐるりと取り囲むような流れが形成されている事が分かる。シート流と同様に、回転軸方向には流れ構造はほとんど変化せず、3次元的には円筒状の帯状流が形成されている。

図3. 対流の3次元構造。図の上方向が北極側を、下方向が南極側を表す。赤と青の面はそれぞれ、渦度の回転軸方向成分の正、負の値の等値面を表す。図1aの、赤、青に対応している。図1で赤道面で見ると細く絞られた流れに見えていたものが、3次元的には回転軸方向に構造がほとんど変化しない、薄いシート状の流れになっている事が分かる。黄色い線は流線を表す。シート状流の外側では経度方向の流れ(帯状流)が卓越し、シート流をぐるりと取り囲むような流れが形成されている事が分かる。シート流と同様に、回転軸方向には流れ構造はほとんど変化せず、3次元的には円筒状の帯状流が形成されている。

また、マントルにより近い領域は空間スケールの大きい流れが支配的であるのに対し、内核に近い領域ではスケールの小さい流れが支配的であり、かつ流れが大きく、強いダイナモ(発電機)作用が生じることが分かった。このような帯状の流れを伴う2重対流構造は、今回行った低粘性の領域において特に顕著に現れてくることも分かった。

地球磁場は、太陽からの荷電粒子の高速流(太陽風)や、宇宙線と呼ばれる高エネルギー粒子が地球の大気に直撃するのを防ぐ役割も果たしており、地球環境と密接な関係がある。地球表層環境とマントル活動、マントル活動と地球中心の流体核(外核)はお互いの境界を通じて関係し合っており、地球内部の動的挙動(ダイナミクス)を統一的に理解する上でも外核の挙動の解明は重要だという。今後は、地球中心核にある対流運動だけでなく、それらの運動とマントル活動がどのように関係し合っているかなど、地球内部の動的挙動(ダイナミクス)の解明に向けて研究を進めていくとしている。

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