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力学的に細胞全体が変形すると細胞核も変形する 流れに曝された内皮細胞内部の変形の様子を可視化
3月 25th

流れに曝された内皮細胞内部の変形の様子を世界で初めて可視化
—細胞の“力”への応答メカニズムの解明へ.. | 受賞・成果等 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-.
東北大学大学院医工学研究科の佐藤正明 教授,工学研究科 坂元尚哉 助教、工学研究科大学院生で日本学術振興会 植木洋輔 特別研究員らの研究グループは,血流を模擬した流れの中に曝された内皮細胞の断面像をリアルタイムに可視化し,変形挙動を観察することに世界で初めて成功したと発表した。
細胞の「力」に対する応答メカニズムを明らかにし,血管病理の解明や再生医学の発展に貢献することが期待されるという。アメリカ速報誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」誌オンライン版で公開された。
血管の最も内側の面(内腔面)は,内皮細胞と呼ばれる細胞の層によって覆われている。この細胞は,血液と組織中の物質透過性の制御や、管径の調節など重要な機能を多数持っている。また動脈硬化症や動脈瘤といった血管疾病の発生にも関わっている。
内皮細胞は血液に直接接触するために,血液の流れによって生じる「せん断応力」という力学的な刺激に絶えず曝されている。
これまでの研究で、せん断応力が内皮細胞の様々な機能や遺伝子発現に影響を与え,血管疾病の発生にも密接に関わっていることが明らかになりつつあった。細胞が力を感知する上で「メカノトランスダクション」と呼ばれる力学的な刺激から生化学的な反応への変換過程が近年注目を集めており、いくつかのタンパ
ク質分子などが、メカノトランスダクションを担うセンサーとして機能していることが分かっている。
しかし、せん断応力を負荷された内皮細胞においては,細胞のどの位置に存在するどの種類のセンサーに、どのぐらいの大きさの力が負荷されているのかという情報が不足していた。
今回の研究では、機械工学的な見地から「せん断応力を負荷された内皮細胞はどのように変形しているのか」という基本的なポイントに着目した。
生きた培養内皮細胞にせん断応力を負荷しながら共焦点レーザ走査型顕微鏡を用いた断層観察を行って、細胞の変形挙動をリアルタイムに観察した結果、細胞全体だけでなく、細胞核もせん断変形挙動を示していることが分かった。このことから、従来は一般的に細胞核は細胞質よりも硬いと信じられていたが、実際には周囲の細胞質と同程度の軟らかさであり、細胞表面または細胞底面と細胞核の間には、機械的な接続が存在することが示唆された。
また、細胞核の変形や細胞核への伝わる力が遺伝子発現に影響を及ぼすことが考えられていることから,細胞核自身が流れ刺激に対するセンサーとして機能している可能性も示唆される。
さらに,この断層像から画像相関法や有限要素法を用いて,細胞内の変形量を定量的に解析した結果、従来の試験方法で得られた細胞の硬さから推定するよりも,実際には細胞がより大きく(最大で10倍ほど)変形することが明らかになった。今回のこの結果は、これまでにない力学的かつ定量的情報であり,今後の内皮細胞のせん断応力に対する応答メカニズム解明を大きく前進させることが期待されるという。
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