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電子書籍時代には優秀なフリーの編集者や営業が求められる
2月 11th
Miyukick a lemon bomb: 電子書籍時代の編集者.
2月8日になりますが、佐々木俊尚さん(http://www.pressa.jp/)というジャーナリストが『電子書籍時代の編集者』というタイトルで、各社の編集者を対象に、タブレット、電子リーダー登場の意味と今後の予測についてお話しをされました。
という話。アメリカでの実例の話はなるほど参考になります。
電子書籍時代になると、今の紙の編集時代にも存在している、いくつかの問題が顕在化してくると思います。電子書籍になると紙屋(印刷屋ではありません)さんが困ることは間違いありませんが、たしかに、一部の編集者/編集社も困るだろうなと思います。いわゆる「出版社がやっていることは中抜きなのか」問題です。
出版社って、「中抜き」ビジネスなの?
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2010/02/post-0a70.html
出版社がやっていることは、単なる「中抜き」ではありません。編集の仕事は重要です。校閲やデザイン、営業の人たちもいます。彼らはみな、仕事をしています。逆にいえば彼らの仕事を経ずに出版されたテキストの質は、その分、下がります。私も、電子書籍・電子雑誌時代になっても、やはり優秀な編集者の方と一緒に仕事をしたいと思ってます。
私のところにも、ときどき直接、冊子編集のような部分の仕事も含めた依頼がくることがあります。ですが私は、それらに対しても原則として、編集者の人と一緒であれば受ける、という形で仕事をしています。原稿に対して客観的に、かつ有効なコメントをつけてくれたり、ペースメーカーのような役割を果たしてくれる編集さんは、換えがたい貴重な存在です。
閑話休題。電子書籍の話に戻ります。
ただしそれは、出版社の人たちが皆さん、ちゃんと仕事をしているという前提の話ですね。
著者の仕事に投資をしてくれない出版社や、あまり仕事してない編集、営業、校閲などは、単なる「中抜き」をしている人たちだと見なされても仕方ありません。そういう人たちならば一緒に仕事しなくても良い、と考える著者たちもいるんじゃないでしょうか。
出版業界というところは不思議なところで、学生たちには人気の業界です。そんな業界なのだから、中にいる人たちはモチベーションが高いに違いない、と思うのが普通だと思いますが、現状は残念ながら、必ずしもそうなっていません。
実際に、原稿をろくに読まない編集者が出版業界には多数います。ろくに校閲もされてない本も、少なからず見受けられます。書き下ろし単行本だと取材経費も基本的に著者持ちです。印税10%をもらっても交通費くらいにしかなりません。そもそも印税率そのものも低下中です。
書店営業を全くしてくれない出版社は非常に多いんじゃないでしょうか。本は書店で売っているものなんですが、そもそも書店に並べてもらうようにお願いしてくれないのであれば、出版社から出す意味がありません。「ISBNさえ取れればいいんじゃないの」と思う著者はだんだん増えているかもしれません。電子書籍時代になると、「出版」のイニシャルコストが下がると考えられていますので、その可能性は高いと思います。
私個人は、フリーランスの編集、校閲、営業、そしてそれらのマッチングサービスがこれからは必要とされるだろうなと考えています。「本を書きたい、出したい」と考えた著者の手助けをするエージェントの集団です。
もちろん、それらが「出版社」という形であっても構いません。そのほうが、引き受けた仕事をこなす「責任」面では安心ですしね。ですが、必ずしも会社組織である必要もないと思うのです。いや、会社組織であっても、「会社のなかの個人」を直接指名して仕事をする、仕事をしたいという人が現状も多いのが出版業界ですが、これからはその傾向がますます強まることになるのではないでしょうか。
現在も、編集や校閲にはフリーランスの人が少なくありません。彼らの多くはこれまでの人脈で仕事をしていると思いますが、それらをより効率よく結びつけられるシステムがあれば良いなと思います。「個人」で仕事するということと、これは矛盾する面がありますが、単なる機械的マッチングだけではなく、口コミも使ったソーシャルネットワークのような仕組みが必要になるのかもしれませんね。
電子書籍時代に、一番大きな変化が求められるだろうなと思うのは、営業です。電子書籍時代になるとおそらく、これまで以上に流通チャネルの力が大きくなります。ここは佐々木氏が言っていることに全く同感なんですが、ネット上では、知られていないものは存在しないのも同然です。知られるためには営業しなければなりません。既に大勢のファンがいるような有名な著者や、一定数が毎年さばける大学の先生のような人たちを除けば、無名の著者が有料テキスト販売で稼ぐのは至難の業です。それを助ける営業には、これからは「プロモーター」のような、仕掛人としての能力も必要とされるかもしれません。

最近この手のやり方で大成功したのが言うまでもなく『フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(クリス・アンダーソン/NHK出版)ですね。『フリー』は無料でダウンロードできるということやイベントなどで話題を呼びましたが、あれは要するに、営業宣伝費にけっこうお金をかけたということでしょう。それが、今のウェブにぴったりマッチして、あたった。そんなところでしょう。
「フリー」オフィシャルサイト
http://www.freemium.jp/
そして、もう一つ大事なことがあると思います。ここでは編集、校閲、営業、著者とそれぞれを分けて述べましたが、実際には、それぞれの職種の人が、職種に囚われすぎないことが重要だろうと思っています。編集は編集しかしない、営業は営業しかしないというのではなく、編集もできれば営業もできる、そういう「個人」がこれからは、より強く強く求められていくのではないでしょうか。
結局のところ、優秀な「個人」は生き残るだろうということです。ただし会社組織が持つかどうかは分からないし、既存システム崩壊の過程で、うっかり、本来優秀な人も巻き込まれて倒れてしまうかもしれない。そうはならないように事態が動いていけばいいのですが。
まあ、分かりませんけれどね。これからどんな変化が起きるのか、起きないのか。意外とゆっくりとしか変化しかしないかもしれませんし。
地人書館
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