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次世代スパコンの愛称は「京(けい)」 理研

引用元: 次世代スーパーコンピュータの愛称は「京(けい)」と決定|2010年 お知らせ|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所が開発実施主体となって推進している次世代スーパーコンピュータシステムの愛称が「京(けい)」に決まった。

「京」は、開発目標性能の10ペタを表す万進法の単位で、ほかの科学技術分野の名称・愛称に多く用いられているものと重複がなく、「単位」で表現するという新規性を評価したという。

理研では、「京」はもともと大きな門を表し、「計算科学の新たな門」にもつながり、歴史と未来が同居する言葉といえ、次世代スパコンは、すでに計算科学のコミュニティでは京速のコンピュータとしてなじみがあるだけでなく、日本人は漢字に意味を込め、語呂や響きを大切にすることから、「京」を選定しました、としている。

英語表記は、“K computer”となる。


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理研、YouTubeに公式チャンネル「RIKEN Channel」を開設

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引用元: 理化学研究所|トピックス|YouTube公式チャンネル「RIKEN Channel」の開設について.

理化学研究所(理研)の公式チャンネル「RIKEN Channel」がYoutubeに開設されている。

今後は「シンポジウムや講演会の模様をメインに、研究者が制作した映像なども順次動画を配信する予定」としている。

いまのところ、典型的なつまらないチャンネルで、おまけに残念ながら動画の埋め込みは「リクエストにより無効」とされている。今後の改革に期待したい。


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神経突起は毎分1回転のスピードで右ねじ回転する 回転モーターはミオシンV

糸状仮足の回転を示した模式図

糸状仮足の回転を示した模式図

脳細胞の先端が、右ねじの方向に回転することを発見|2010年 プレスリリース|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター神経成長機構研究チームの上口裕之チームリーダーと玉田篤史研究員らと、大阪大学大学院生命機能研究科の村上富士夫教授らは、脳の神経回路を形成する神経細胞の神経突起の動きを3次元的に捉えることに成功し、神経突起が時計回り(右ねじ方向)に回転していることを世界で初めて発見したと発表した。アメリカの科学雑誌『Journal of Cell Biology(ジャーナル・オブ・セルバイオロジー)』オンライン版(2月1日付け:日本時間2月2日)に掲載される。

脳の働きを担う神経回路は、多数の神経細胞から伸びた神経突起が絡み合ったもの。脳が機能を発揮するためには神経突起が標的に向かって伸長することが必要となる。

神経突起の先端部は成長円錐と呼ばれる。成長円錐はアメーバ状の領域から多数の糸状仮足が突出した構造をしており、成長円錐が前進することで神経突起を引き伸ばす。従来の研究では、培養皿にはり付いた状態の神経突起を観察していたため、平面的な運動しか捉えることができなかった。

神経突起と成長円錐の形態

神経突起と成長円錐の形態

研究グループは、ラットの脳の神経細胞を3次元的に広がるコラーゲンを含むゲル状の培地内で培養し、顕微鏡の対物レンズに向かって伸びてくる神経突起の運動を観察する事で、成長円錐の本来の動きを3次元的に捉えることに成功した。観察の結果、神経突起の先端部は右ねじ方向に毎分約1回転していた。

次に研究グループは糸状仮足が回転する分子メカニズムを解析した。糸状仮足の内部にはアクチン線維の細胞骨格があり、それによって糸状仮足は細長い形態を保持している。成長円錐には、アクチン線維を動かす数種類のモーター分子が存在する。中でもミオシンVが、アクチン線維を回転させるモーターであると推察されていた。そこで研究グループは、成長円錐が持つミオシンVの働きを阻害する変異型ミオシンVの遺伝子を開発し、この遺伝子を組み入れた神経細胞では糸状仮足の回転が止まることを証明した。これにより、ミオシンVが、糸状仮足を回転させるモーターの役割を担うことが確かとなった。

この糸状仮足の回転運動が原因で、神経突起は右に曲がりながら伸びることもわかった。

神経突起は右曲がりに伸びる。(A)脳組織を培養皿(水色)の上に乗せて液体培地(紫)で培養したことを示す模式図。培養皿にはり付いた神経突起は右に曲がりながら伸びていく。(B)実際に(A)の方法で培養したラット脳組織の顕微鏡写真。脳組織から伸びた多数の神経突起は右に曲がっている。

神経突起は右曲がりに伸びる。(A)脳組織を培養皿(水色)の上に乗せて液体培地(紫)で培養したことを示す模式図。培養皿にはり付いた神経突起は右に曲がりながら伸びていく。(B)実際に(A)の方法で培養したラット脳組織の顕微鏡写真。脳組織から伸びた多数の神経突起は右に曲がっている。

神経突起が伸びるメカニズムを解明することは、胎生期の神経回路の構築や経験依存的な神経回路の再構築の仕組みを理解する上できわめて重要だという。例えば、糸状仮足が右ねじ方向に回転することで、左脳と右脳で神経突起が同一方向に曲がると、神経回路は左右鏡像ではなく非対称になる。

左脳と右脳のいずれの神経細胞でも、神経突起が右ねじ方向に回転していたことから、神経突起の右ねじ方向への回転は、脳の左右非対称性を生み出す新たなメカニズムであると推察できるとしている。

今後、糸状仮足の回転を止める変異型ミオシンVの遺伝子を組み入れた実験動物を作製することで、糸状仮足の回転と左右脳の機能分担のかかわりを調べることもできる。また、糸状仮足を逆方向(左ねじ方向)に回転させる変異型ミオシンVの遺伝子を設計することも理論的に可能であることから、糸状仮足が逆回転する実験動物を作製して解析することで、脳科学分野におけるまったく新しい概念が創出されることが期待できるという。

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理研、分子1つ1つを再現する細胞シミュレーション法を開発 次世代スパコンで細胞丸ごとシミュレーションを目指す

分子1つ1つの運動まで再現する細胞シミュレーション法を開発|2010年 研究成果|独立行政法人 理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所(理研)基幹研究所 生化学シミュレーション研究チームの高橋恒一チームリーダーとオランダの原子分子物理研究所のピーターレイン・テンウォルデ教授らは、細胞内に存在する分子1つ1つの運動まで精密に再現する細胞シミュレーションの要素技術の開発に成功したと発表した。アメリカ科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America: PNAS』2月9日号に掲載されるに先立ち、1月25日の週にオンライン掲載された。

新たな計算手法は「enhanced Greens Function Reaction Dynamics(eGFRD)法」と呼ばれるもので、これは、これまでは年単位で必要だった計算時間を数日以内に短縮できる計算手法だという。この新技術を国産の細胞シミュレーター「E-Cell」の次世代版に搭載し、神戸に建設中の「次世代スーパーコンピュータ」で活用することで、細胞丸ごとシミュレーションを目指すという。細胞のがん化や幹細胞の分化の予測と制御などに貢献できる成果だとしている。

従来の細胞シミュレーションでは、細胞内の分子1つ1つの運動を考慮せず、分子間の相互作用を回路図のように表現し、分子の数の増減だけを扱う「ネットワークモデル」や、細胞内の場所による平均的な濃度の違いを表現する「濃度平均場モデル」といった手法が主流だった。一方、観察技術の急速な発展で、1分子単位のゆらぎや運動が生命機能に重要な役割を果たしていることが明らかになっていた。シミュレーションにおいても生体分子1つ 1つの運動まで考慮に入れた「1分子粒度」の手法が求められていた。

しかし、従来の1分子粒度の手法である「ブラウン動力学」を用いて、細胞丸ごとの規模で精度よくシミュレーションを行うには、ごく簡単な場合でも年単位の膨大な計算量が必要だった。逆に現実的な時間で計算を終えようとすると、大きな計算誤差を許容することとなり、不正確なシミュレーションを行ってしまうのが問題とされていた。

研究グループは、細胞丸ごと規模での1分子粒度モデルを実現するために、粒子反応拡散計算手法「enhanced Greens Function Reaction Dynamics(eGFRD)法」を開発した。この手法は、ブラウン動力学法よりも飛躍的に性能が向上するだけでなく、原理的には系統誤差が生じないという優れた特性を持っているという。

従来の手法では、細胞内のすべての分子を少しずつ動かし、そのたびに分子と分子の衝突が発生するかどうかを判定し、化学反応をシミュレーションしていた(図1左)。この時、どの位置、どの時点で分子の衝突が起こるのかをいかに精密に計算できるかがシミュレーションの精度と直接関係するため、小さな時間間隔で非常に多くの計算を繰り返す必要があった。

だが「eGFRD法」では、分子を少しずつ動かすのではなく、ある分子がほかの分子に邪魔されることなく自由に動ける範囲「保護領域」を設定し、分子が保護領域に入って何秒後に抜け出るかを計算する(図1右)。そして、この計算を多数の分子に別々に(非同期に)適用する。2つの分子が近くにある時は、分子が2つ入った保護領域の中で、分子の運動と反応を一度に計算する。これにより、一度に進めることができる時間間隔を拡大させることができ、計算量が大幅に減り、飛躍的に計算時間を短縮できた。

また、分子が保護領域に入って出るまでにかかる時間(第一通過時間)や反応が起きるまでにかかる時間を、基礎物理方程式の厳密解を直接用いて計算するため、原理的には系統誤差の無いシミュレーションが可能になり、シミュレーションの精度も大幅に向上した。

図1 従来の計算手法とeGFRD法との比較。eGFRD法では、分子が自由に運動できる保護領域を設定するため、一度に大きな距離を進められる。

図1 従来の計算手法とeGFRD法との比較。eGFRD法では、分子が自由に運動できる保護領域を設定するため、一度に大きな距離を進められる。

また、研究グループは「eGFRD法」を「MAPキナーゼ(MAPK)」のシミュレーションに適用した。MAPKは、細胞表面で受容した情報を処理し、細胞核内の遺伝子発現機構に引き渡す役割を持つ細胞内情報処理分子。1つのMAPK分子は2つのリン酸化部位を持ち、その両方のリン酸化部位が「MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)」という酵素分子によってリン酸化(二重リン酸化)されると活性化して、下流に情報を伝える。

MAPKが情報を伝達する際には、主に「段階的応答」、「超敏感応答」、「二重安定応答」の3つの応答様式のいずれかで行うと考えられている。「段階的応答」では、細胞表面の受容体分子が受け取った信号を遺伝子発現系にそのまま受け渡す。「超敏感応答」では、受け取る信号から雑音を取り除き、オンかオフかのデジタルな信号に変換して遺伝子発現系に渡す。「二重安定応答」では、デジタル化に加え、過去の信号の種類によって現在の応答を変化させるため、MAPKは記憶素子として働くことができると考えられている。

研究グループは、MAPKの二重リン酸化を、従来の「ネットワークモデル」と、今回可能になった分子1つ1つの運動を考慮する「1分子粒度モデル」の2つの手法で計算し、結果を比較した(図2)。すると、従来のネットワークモデルが「二重安定応答」を予測するケースであっても、1分子粒度モデルではそれが消失する場合があることを発見した。

図2 MAPK系のシミュレーション(EはMAPKK、SはMAPK、Pはリン酸基)。MAPKの二重リン酸化を、空間中の分子の運動を考慮しないネットワークモデルと、空間を考慮した1分子粒度モデルで計算し、結果を比較した。

図2 MAPK系のシミュレーション(EはMAPKK、SはMAPK、Pはリン酸基)。MAPKの二重リン酸化を、空間中の分子の運動を考慮しないネットワークモデルと、空間を考慮した1分子粒度モデルで計算し、結果を比較した。

MAPKをリン酸化する酵素であるMAPKKが、1つ目のリン酸化部位をリン酸化してから、次のリン酸化部位をリン酸化することができるようになるまでには一定の時間(緩和時間)がかかる。例えば、MAPKKは、リン酸化を行うためのリン酸基をATP分子から受け取り、リン酸基を渡したATPはADPになる。MAPKKが次のリン酸化を行うためには、ADPを離し新しいATPの供給を受けなければならない。今回のシミュレーションにより、緩和時間が短い場合には、「二重安定応答」が消失することが分かった(図3)。同様に、「超敏感応答」が「段階的応答」に変化する場合があることや、刺激に対するMAPKの二重リン酸化の速度がこれまでの予測よりも速く、MAPKの拡散速度に反比例する場合があることも分かった。

従来のネットワークモデルは、生体分子1つ1つの運動を考慮せず、分子が衝突し、反応を起こす確率が均一であるとする「化学マスター方程式」理論に基づいている。今回の分子1つ1つの運動を考慮した「eGFRD法」を用いたシミュレーションにより、MAPKが情報伝達を行う「超敏感応答」や「二重安定応答」などの応答様式の発生条件が、これまでの理論とは大幅に異なる場合があることが分かった。これまで、MAPKの反応機構においては実験結果と理論とが必ずしも一致しないことが謎とされていた。今回の成果によりMAPKの反応機構の解明が一層進むことが期待できるという。

図3 MAPKシミュレーションの結果。酵素の緩和速度が速くなると、MAPKの二重安定応答が消失する場合がある(赤丸)。

図3 MAPKシミュレーションの結果。酵素の緩和速度が速くなると、MAPKの二重安定応答が消失する場合がある(赤丸)。

今回の成果により、「eGFRD法」を用いれば特定の分子にターゲットを絞れば在来の計算機でも細胞丸ごと規模でのシミュレーションが可能であることが分かった。「eGFRD法」を細胞シミュレーター「E-Cell」の次世代版に搭載し、次世代スーパーコンピュータで活用することで、細胞内に存在する多くの種類の分子の同時シミュレーションや、多数の細胞からなる組織のシミュレーションへ道を開くことになるという。

具体的には、複数の情報伝達経路同士の相互作用(クロストーク)の影響や、細胞内の分子の混み合い方(分子混雑)が及ぼす影響、また細胞同士が信号分子を交換してコミュニケーションを行う様子など、さらに高度なシミュレーションが実現する可能性がある。最終的には、細胞のがん化の機序の解明を通じて創薬へ貢献できたり、幹細胞(万能細胞)の分化の予測と制御を通じて再生医療の実現へとつなげられると期待される。

さらに、研究グループでは、この技術を有用微生物の設計に適用すれば、環境問題やエネルギー問題の解決の糸口を見いだす可能性もあるとしている。

「臨界期」が終了した後でも変化する神経細胞群を発見 理研

二光子励起カルシウムイメージングの方法(左上)と結果の一部  左下:臨界期を過ぎた生後50日から57日まで右目を遮蔽したマウスの大脳皮質視覚野のイメージング。皮質表面から深さ165μmの面。白は興奮性細胞、緑は抑制性細胞、赤はグリア細胞を示す。  右上:枠内の拡大図。  右下:各細胞の遮蔽眼および非遮蔽眼に与えた光刺激に対する反応。ピンクの縦帯(光刺激を与えた時間を示す)に一致した上への振れが反応。番号は上のイメージング拡大図の細胞番号に該当する。右下のスケールは横が5秒、縦が10%の蛍光強度変化を示す。

二光子励起カルシウムイメージングの方法(左上)と結果の一部 左下:臨界期を過ぎた生後50日から57日まで右目を遮蔽したマウスの大脳皮質視覚野のイメージング。皮質表面から深さ165μmの面。白は興奮性細胞、緑は抑制性細胞、赤はグリア細胞を示す。 右上:枠内の拡大図。 右下:各細胞の遮蔽眼および非遮蔽眼に与えた光刺激に対する反応。ピンクの縦帯(光刺激を与えた時間を示す)に一致した上への振れが反応。番号は上のイメージング拡大図の細胞番号に該当する。右下のスケールは横が5秒、縦が10%の蛍光強度変化を示す。

脳発達の「臨界期」が終了した後でも変化する神経細胞群を発見|2010年 プレスリリース|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 大脳皮質回路可塑性研究チームは、大脳視覚野の抑制性神経細胞が、生後の脳発達の「臨界期」終了後も可塑性を保持していることを発見した。マウス大脳皮質視覚野の抑制性神経細胞が生後の脳発達期にある「臨界期」を通り越してしまい光反応性変化が起きないと思われていた成熟期に到達しても、片目遮蔽実験で変化を起こした。また、抑制性細胞は両目に与えた光刺激に対しともに良く反応する「両眼反応性」を強く示すが、興奮性神経細胞は片目反応性の方が顕著で従来報告どおり「臨界期」終了後は可塑性をほとんど示さないことが分かった。科学雑誌『Journal of Neuroscience』(1月27日号)に掲載される。

ヒトを含む多くのほ乳類の大脳皮質視覚野神経細胞は、幼若期に片目を一時的に遮蔽すると、その目に対する反応性を失い、開いていた目だけに反応するよう変化する。このような変化は「臨界期」と呼ぶ生後発達の一時期にしか起きないと報告され、脳機能発達の「臨界期」を示す例として注目されてきた。

研究チームは、生きたままの動物の大脳皮質視覚野で、多数の神経細胞の活動を同時に観察することのできる「二光子励起カルシウムイメージング法(脳の比較的深い部分から空間解像度の高い画像が得られる二光子励起走査顕微鏡を使い、多数の細胞の活動をカルシウム蛍光強度の変化によって観察する方法)」を活用し、抑制性細胞が緑色蛍光を発する遺伝子改変マウスで、興奮性細胞と抑制性細胞を区別して片目遮蔽効果を観察した。

「臨界期」を過ぎた生後50日目と55日目のマウスの右目を7日間遮蔽した後、視覚野の興奮性細胞と抑制性細胞がどちらの目に強く反応するかを記録した結果、「臨界期」終了後に片目遮蔽をした場合も、抑制性細胞は、遮蔽眼に対する反応が悪くなり、可塑性を保持していることを発見した。

この抑制性細胞が、「臨界期」終了後も可塑性を保持していることは、従来の「臨界期」の概念に修正を迫る成果で、乳幼児の早期教育の意義を考える場合に、重要な示唆を与えると考えられるという。

また、なぜ興奮性細胞が可塑性を喪失しているのに、抑制性細胞が可塑性を保持しているのか、この両細胞の違いを追及することによって可塑性保持のメカニズム解明が進むと考えられる。ほかの脳領域の「臨界期」後の可塑性を解明し、成人における学習を促進する手がかりを得ることも可能になるという。

シロアリの腸内共生原生物とバクテリアは遺伝子をやりとりして高効率なバイオマス糖化システムを実現している 理研

日本で最も広く分布するヤマトシロアリ(左上)とその共生原生生物群

日本で最も広く分布するヤマトシロアリ(左上)とその共生原生生物群

シロアリ腸内共生系の高効率木質バイオマス糖化酵素を網羅的に解析|2010年 研究成果|独立行政法人 理化学研究所.
理研 基幹研究所 守屋バイオスフェア科学創成研究ユニットの守屋繁春ユニットリーダー、同工藤環境分子生物学研究室の戸高眠ジュニア・リサーチ・アソシエイト(現株式会社豊田中央研究所)、井上徹志協力研究員(現 学校法人香川学園 宇部環境技術センター)、斎田佳奈子 研修生(現熊本県産業技術センター)、大熊盛也副主任研究員(現 バイオリソースセンター微生物材料開発室長)、工藤俊章主任研究員(現 国立大学法人 長崎大学教授)、オーストラリア連邦科学産業研究機構のミカエル・レンツ(Michael Lenz)教授、米国ノースカロライナ州立大学のクリスティーヌ・ナレパ(Christine Nalepa)准教授らの研究グループは、シロアリの腸内共生系の高効率木質バイオマス糖化酵素を網羅的に解析して、バクテリアから共生原生生物への遺伝子水平伝播が、高効率糖化システムを実現している仕組みを明らかにした。食糧と競合しない強力なバイオマスリソース利用基盤技術として実用化も期待されるという。アメリカの科学雑誌『PLoS ONE』オンライン版(1月8日付)に掲載された。

シロアリは枯れた植物を食べてセルロースを糖類に分解する昆虫で、非常に効率良く木質バイオマスを分解している。研究グループはシロアリの腸内に生息する共生原生生物が持つセルロースを分解する酵素「セルラーゼ」群の遺伝子をすべての下等シロアリ腸内共生系のメタトランスクリプトーム解析によって網羅的に取得。詳細に解析した。

その結果、シロアリ腸内共生系での高効率なバイオマス糖化システムの実現には、シロアリ腸内微生物複合系(シロアリ腸内共生系)のバクテリアと、共生原生生物間の遺伝子水平伝播が関係していることを明らかになった。特にコア酵素のうちGHF 5は、分子進化学的な解析の結果、バクテリアから水平伝播で共生原生生物へ移ったことが分かったという。つまり、シロアリの持つ高効率のバイオマス糖化システムの確立には、シロアリ腸内の濃密な微生物複合系での遺伝子の生物間移動が重要だったといいうことになる。

この研究で得た酵素遺伝子は、従来型の酵素の5〜10倍もの活性がある。今後、食糧問題と拮抗しないセルロース系バイオマスの利用において、シロアリの持つセルラーゼ群は重要なリソースとなることが期待できるという。

昆虫を操るバクテリア (シリーズ共生の生態学)

著者/訳者:石川 統

出版社:平凡社( 1994-09 )

定価:

単行本 ( 230 ページ )

ISBN-10 : 4582500315

ISBN-13 : 9784582500318



乾燥耐性を誘起する植物ホルモン・アブシジン酸のトランスポーターを発見 理研

過剰発現植物体の表現型解析

過剰発現植物体の表現型解析

乾燥耐性を誘起する植物ホルモン「アブシジン酸」の輸送因子を発見|2010年 プレスリリース|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所(理研)植物科学研究センター機能開発研究グループの黒森崇研究員、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授らは、乾燥耐性能を付与する植物のストレス・ホルモン「アブシジン酸(ABA)」の輸送因子(トランスポーター)の1つ「AtABCG25」を発見した。米国科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA』オンライン版に1月18日の週に掲載される。

植物は、乾燥状態になると気孔を閉じて水分の蒸散を防ぐ。この気孔閉鎖は、植物ホルモン・アブシジン酸の働きによる。アブシジン酸に関わる細胞内での事象については多くの研究が行われて来たが、細胞間でのアブシジン酸のやり取りや、生体内でのアブシジン酸の移動の実態に関しては、ほとんど知られていなかった。

研究グループは、実験モデル植物であるシロイヌナズナを使って、アブシジン酸の機能に関係する新しい変異体を選別して解析した。その結果、アブシジン酸の感受性が高まる変異体の原因遺伝子AtABCG25を同定し、この遺伝子がコードするタンパク質AtABCG25が、細胞の内側から外側へアブシジン酸を運び出す機能を持つトランスポーターであることを初めて突き止めた。植物が外的環境の変化に対応して、能動的にアブシジン酸を細胞外へ運び出す精巧なメカニズムを持っていたことを示す成果だという。

また、AtABCG25を通常より多く発現させた変異体を作ったところ、この変異体では葉からの水分蒸散が40%程度抑えられていることが分かった。アブシジン酸の生体内での輸送や移行の制御により乾燥耐性植物の作出が可能であることが分かったことにより、有用な植物育種の新しい手法を生み出すことが期待されるという。

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新しい植物ホルモンの科学 (KS一般生物学専門書)

出版社:講談社( 2002-04-11 )

定価:

単行本(ソフトカバー) ( 192 ページ )

ISBN-10 : 406153436X

ISBN-13 : 9784061534360


ダイズのゲノム解析 理研もダイズゲノム塩基配列解読後の遺伝子機能の注釈付けに貢献

ダイズゲノムの概観

ダイズゲノムの概観

引用元: 主要マメ科作物ダイズのゲノム解析に貢献|2010年 プレスリリース|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所(理研)と米国の複数の研究機関は共同でダイズゲノム解読プロジェクトを実施し、食生活や飼料に欠かせない世界の主要マメ科作物であるダイズのゲノム解析に成功した。特に、理研植物科学研究センターゲノム情報統合化ユニットの櫻井哲也ユニットリーダー、機能開発研究チームの梅澤泰史研究員および篠崎一雄チームリーダーらは、完全長cDNA(タンパク質をコードする単位だけを転写した遺伝情報分子であるメッセンジャーRNAを鋳型にして作られたDNA)配列情報を活用してタンパク質遺伝子の解析を行い、約46,000種の遺伝子同定に貢献したと発表した。『Nature』(1月14日号)に掲載された。

ダイズや、大豆の直接的な祖先種であるツルマメの染色体は2n=40(20本ずつの2セットで合計40本)で、同じマメ亜科のミヤコグサ(2n=12)やタルウマゴヤシ(2n=16)と比べ、染色体数が多く、これまで、ほかのマメ科植物との遺伝的な関連は明らかになっていなかった。作製した遺伝地図を基に解析を行った結果、ダイズは、5,900万年前と1,300万年前に全ゲノムの重複が生じ、遺伝子の多様化と欠損、そして多くの染色体の再配置が引き起こされたことが分かった。5,900万年前と1,300万年前の2度の全ゲノム重複が、現生ダイズのルーツと考えられる。

アメリカ研究グループは、発芽後3週間程度のダイズ幼植物体を用いて、ゲノムDNAの抽出、単離を行ったた。収集したゲノムDNAを約3,000塩基、6,000〜8,000塩基、35,000〜38,000塩基の3種類のサイズに断片化し、全ゲノムショットガン法によるゲノム塩基配列決定を行った結果、11億1千万塩基対と推定される全ゲノム塩基配列の約85%に相当する9億5千万塩基対以上のゲノム塩基配列を解読することに成功した。

アメリカダイズ発現遺伝子の部分塩基配列情報(EST)のほか、ダイズ完全長cDNA解析コンソーシアムが収集した完全長cDNA配列情報を活用し、ダイズゲノム上の遺伝子領域を探索した結果、46,430個の遺伝子を同定した。この同定した遺伝子の73%は、ほかの被子植物にも見られる遺伝子だった。理研のグループは、完全長cDNA情報を基に多くの遺伝子の正確な同定に大きな貢献をしたという。

植物ゲノム機能のダイナミズム―転写因子による発現制御 (Springer reviews)

出版社:シュプリンガー・フェアラーク東京( 2001-12 )

定価:

単行本 ( 256 ページ )

ISBN-10 : 4431709436

ISBN-13 : 9784431709435


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サクラの新品種「仁科乙女」 理研、重イオンビームで四季咲きサクラの品種改良に成功

新品種「仁科乙女」(2009年04月13日撮影)

新品種「仁科乙女」(2009年04月13日撮影)

引用元: 重イオンビームで四季咲きサクラの品種改良に成功|2010年 プレスリリース|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所(理研)は、仁科加速器研究センターRIビームファクトリーにある理研リングサイクロトロンが発生する炭素イオン微0無を木肌の美しいことで知られる「山形13系敬翁桜」に照射し、野外栽培では、春(4月〜7月)と秋(9月〜11月)の二季、温室栽培では、いつでも花が咲く四季咲きサクラの新品種「仁科乙女」を作出することに成功した。

「仁科乙女」の「仁科」は理研加速器の父である仁科芳雄に由来する。ピンク色の一重の可憐な花を咲かせるので、「仁科乙女」と命名した。仁科加速器研究センター 生物照射チームの阿部知子チームリーダーとサクラ育種家のJFC石井農場の石井重久氏との共同開発による成果。

重イオンビーム(原子から電子をはぎ取って作られたイオンのなかで、ヘリウムイオンより重いイオンを重イオンと呼び、これを加速器を用いて高速に加速したものが重イオンビーム)を用いた突然変異誘発法は、育種年限の大幅な短縮を可能とする日本独自の開発技術。ガンマ線やX線などの放射線照射や化学変異剤処理などの従来の手法に比べ、高生存率を示す極低線量照射でも、変異率が高いという特徴がある。

生物照射チームは、この重イオンビームを使った園芸植物の品種改良技術を開発し、これまでにダリア、ペチュニア、バーベナ、トレニア、デロスペルマ、ナデシコ、サイネリアなどで実用化し、これまでに15種類の園芸植物で市販新品種の育成に成功しました。2004 年にはサクラへも重イオンビームを照射し、黄色いサクラ「仁科蔵王」を育成、2007年に理研初の品種登録を行った。

研究グループは、2006年に山形13系敬翁桜の穂木に炭素イオンを10Gy照射し、「敬翁桜」に接ぎ木した。2007年に生育の良い枝より挿し木苗を増殖したところ、秋に高率に花が咲く系統を得た。この変異系統を温室で栽培したところ、2008年春から連続して開花し、四季咲き性を示した。また、この系統を野外で冬の寒さにさらすと4月に一斉に開花し、花数が元品種の3倍程度に増加した。理研と石井氏は共同で、農林水産省に四季咲き桜の「仁科乙女」として品種登録出願を2009年12月14日に行い、15日受理された。

花苗の増産は「生産販売組合さくら」組合員である山形県内外の生産農家で行い、販売は、仁科蔵王と同様に株式会社クリエイティブ阪急から、2010年3月に開始する予定だという。

「仁科乙女」と元品種との比較(2009年04月13日撮影)左が仁科乙女、右が敬翁桜(山形13系統)。低温にさらして4月に一斉開花させると、敬翁桜の約3倍量の花芽がつく。

「仁科乙女」と元品種との比較(2009年04月13日撮影)左が仁科乙女、右が敬翁桜(山形13系統)。低温にさらして4月に一斉開花させると、敬翁桜の約3倍量の花芽がつく。

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理研、個人レベルの遺伝子発現メカニズムの解明に向けた共同研究を開始 Complete Genomics社と協力

引用元: 個人レベルの遺伝子発現メカニズムの解明に向け共同研究開始|2010年 お知らせ|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所オミックス基盤研究領域(林崎良英領域長)と高速全ゲノム解析技術を展開するアメリカのComplete Genomics社は、遺伝子発現解析手法の高度化を目標とし、ゲノム配列の差異と遺伝子発現の多様性を個人レベルで明らかにする技術を開発するため、共同研究を1月7日から開始すると発表した。

ヒト遺伝子発現のメカニズムを明らかにするために次世代解析技術を開発し、その実用化を目指す。Complete Genomics社が数人の個人のヒト全ゲノム解析を行い、理研オミックス基盤研究領域が開発したCAGE (Cap Analysis of Gene Expression)などの遺伝子発現解析手法を用いて、個人によって異なる遺伝子情報とRNA発現に代表される遺伝子発現の複雑性を明らかにするための技術開発を行う。

ゲノム配列の差異に基づく各個人の転写産物(RNA)の解析(パーソナル・トランスクリプトーム)実施を目指す。共同研究で開発した解析技術は国内外への普及をめざし、それぞれの機関が受託解析サービスとして幅広く提供していくことも視野に入れる。

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