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東大 先端研と富士通、スパコンでがんの再発・転移治療薬の開発へ

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ニュース(詳細) | 東京大学 先端科学技術研究センター.

東京大学 先端科学技術研究センター(先端研)と富士通株式会社は共同で、がんの再発・転移治療薬の開発に活用するスーパーコンピュータシステムを構築し、2010年8月1日より稼働を開始させたと発表した。

世界で初めて、がん細胞の一部である抗原(タンパク質)と抗体(タンパク質)との相互作用を分子動力学によりシミュレーションし、人工抗体の設計を行う。この手法ではIT創薬で一般的なコンピュータを活用した低分子とタンパク質との相互作用のシミュレーションと比較すると、約10倍の量の計算が必要となるため、短期間でシミュレーションを行えるスーパーコンピュータを導入した。

システムは富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX922 S2」によるPCクラスタ型のスーパーコンピュータ。300ノードで構成し、理論ピーク性能は38.3テラフロップス(1テラフロップスは毎秒1兆回の浮動小数点演算速度)。先端研における、がんの再発・転移を治療する「ゲノム抗体医薬品」設計のためのコンピュータシミュレーションに活用される。

最先端研究開発支援プログラム「がんの再発・転移を治療する多機能な分子設計抗体の実用化」のための研究開発は、先端研の児玉龍彦教授が中心となって推進しているプロジェクトで、ゲノム解読成果を基にしたがんの「ゲノム抗体医薬品」を、コンピュータシミュレーションを駆使することで設計し、臨床試験・治療を開始することを目指している。

抗体医薬品の研究開発には、

・1990年代からの動物実験により作った抗体医薬品をヒト型化し人間に適用できる抗体をつくる第一世代、

・2000年代からのがんに直接作用して放射線などによって治療できる抗体をつくる第二世代

があるが、今回の研究開発は、

・スーパーコンピュータによるシミュレーションを活用して抗体医薬品の基本構造の設計を行い、将来、日本で発生率の高いがん(肺、大腸、胃、肝臓、膵臓、前立腺、乳腺)や、再発・転移した進行性がんに対しても副作用の少ない画期的な第三世代

の抗体医薬品による治療ができることを目的としている。

このシステムの活用により、従来の実験による研究開発プロセスでは3〜4年間かかっても実現が難しいとされていた人工抗体の設計を、わずか数ヶ月で行えることを目的としているという。また将来は、この成果を元に、次世代スーパーコンピュータ(京速コンピュータ「京」)を活用して、さらに多くの抗体医薬品の開発を行うことを目指す。


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Ube3a遺伝子は大脳皮質回路の臨界期終了後の成熟に必須 母親由来の染色体異常が引き起こす「アンジェルマン症候群」の原因遺伝子

母性染色体異常が引き起こす神経発達障害の原因遺伝子の働きを解明|2010年 研究成果|独立行政法人 理化学研究所.

カリフォルニア大学サンフランシスコ校のマイケル・ストライカー(Michael Stryker)教授と、理研 脳科学総合研究センターシナプス機能研究チームの佐藤正晃研究員(前カリフォルニア大学サンフランシスコ校博士研究員)らは、母親由来の染色体の異常が引き起こす神経発達障害「アンジェルマン症候群(精神発達遅滞、言語障害、歩行失調、痙攣(けいれん)、頻繁に笑うなどの独特の行動をはじめとした神経発達障害。有病率は約1万5千人に1人で、日本ではアンジェルマン症候群の新生児が年間約70人生まれている計算になる)」の原因遺伝子「Ube3a」が、大脳皮質機能の可塑性とその後の成熟に必須であることを、アンジェルマン症候群のモデルマウスを用いた研究で明らかにした。アメリカ科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)』2010年3月23日号に掲載された。

研究チームは、母性染色体上のUbe3a遺伝子を欠損したマウスを用いて、大脳皮質にある視覚野の可塑性を、神経活動に伴う脳の代謝変化を画像化する「内因性シグナル光学イメージング(神経活動に伴う脳の代謝変化を検出することで、活動した脳の部位と活動の大きさを画像化する技術)」という手法で調べた。

その結果、生後4週目の発達時期(臨界期)に片目からの視覚経験を短期的に遮蔽(しゃへい)すると、野生型マウスは、遮蔽眼の視覚野の活動が顕著に弱まるという可塑性を示した。その一方、Ube3a母性欠損マウスは、活動の弱まる程度が低く(可塑性の度合いが小さく)なることを発見した。

また、臨界期が終了する生後6週目では、長期的に視覚経験を遮へいすると、野生型マウスは非遮へい眼の視覚野の活動が強くなるという特徴的な可塑性を示すが、Ube3a母性欠損マウスは、野生型マウスが臨界期で示したように遮へい眼の視覚野の活動が弱まることが分かった。

これらの結果から、母性染色体上のUbe3a遺伝子の機能が、大脳皮質の神経機能の成熟に必須であることが判明した。アンジェルマン症候群の主な症状である精神発達遅滞の病態解明と、その治療法の開発に役立つことが期待できるという。

「Ube3a」遺伝子は、細胞内で不要になったタンパク質に目印を付加する機能(ユビキチンリカーゼ活性)を持つタンパク質の1つをコードする。この遺伝子が欠損すると「アンジェルマン症候群」という遺伝性の神経発達障害を引き起こす。

Ube3a遺伝子は、ヒトの場合15番染色体に存在する。父母からそれぞれ受けついだ2本の染色体のうち脳では母方由来のものだけが発現する。これは「ゲノム刷り込みによる母性発現」による(全遺伝子の1%以下と推定されるごく一部の遺伝子では、一方の親由来の染色体からの発現が選択的に抑制され、他方の親由来の染色体からのみ発現が起こる。このような親特異的な遺伝子発現の抑制をゲノム刷り込みと呼ぶ)。

研究チームは「アンジェルマン症候群」の病態の一部に、Ube3a遺伝子の欠損による神経回路の発達異常がかかわっているのではないかと考え、マウスの大脳皮質にある視覚野の神経回路をモデルにして、その役割を調べた。

マウスの視覚野の生後発達とその後の成熟は、視覚中枢同士の規則正しい神経細胞の結合の形成や、視覚経験が回路の精緻(せいち)化に影響を及ぼす臨界期の開始と終了など、複数の過程が生後1週から6週にかけて一定の順番で進む。また、これらの過程が遺伝的プログラムと視覚経験の相互作用によって起こるために、視覚野の神経回路は脳の生後発達を詳細に調べるために極めて有用なモデルとなっているという。

マウスは生後4週目になると、視覚野が顕著な感受性を示して発達する臨界期という時期を迎える。このときの視覚野のUbe3aタンパク質の発現を調べると、野生型マウスの神経細胞では主に細胞核に強い局在が見られた。

だがUbe3a母性欠損マウスの神経細胞では、父性染色体上のUbe3a遺伝子は正常であるにもかかわらず、Ube3aタンパク質の発現がほぼ完全に消失していました。この結果は、ヒトの脳で報告されているのと同様に、マウスの視覚野でも、Ube3a遺伝子が母性染色体から発現していることを示す。

図1 マウス視覚野におけるUbe3aの母性発現。(A)一対のUbe3a遺伝子の片方を欠く(ヘテロ欠損)母マウスと野生型父マウスの交配により、母親由来の染色体上のUbe3a遺伝子を欠いた母性欠損マウスが得られる。(B)野生型マウスとUbe3a父性欠損マウスの視覚野の神経細胞では、細胞核染色で染まる核(青の丸い部分)の場所に、Ube3aタンパク質の存在(緑の丸い部分)が観察される。一方、Ube3a母性欠損マウスでは、この Ube3aタンパク質が消失し、核の部分が黒く抜けて見える。

図1 マウス視覚野におけるUbe3aの母性発現。(A)一対のUbe3a遺伝子の片方を欠く(ヘテロ欠損)母マウスと野生型父マウスの交配により、母親由来の染色体上のUbe3a遺伝子を欠いた母性欠損マウスが得られる。(B)野生型マウスとUbe3a父性欠損マウスの視覚野の神経細胞では、細胞核染色で染まる核(青の丸い部分)の場所に、Ube3aタンパク質の存在(緑の丸い部分)が観察される。一方、Ube3a母性欠損マウスでは、この Ube3aタンパク質が消失し、核の部分が黒く抜けて見える。

また、このUbe3a母性欠損マウスの視覚野の機能が臨界期にどう発達するかを調べた。具体的には、生後4週目に片目を数日間閉じて視覚経験を遮蔽したときの可塑性の度合いを、マウスの脳部位の神経活動を画像化できる「内因性シグナル光学イメージング」を用いて調べた。

図2 内因性シグナル光学イメージングによる視覚野活動の画像化。(A)麻酔下のマウスに視覚刺激を提示し、視覚野表面の画像を赤色照明下でCCDカメラにより連続的に取得する。(B)マウス視覚野(上図の灰色部分)の表面画像(下左図)と、視覚刺激提示中に取得した画像を数学的に解析して得られる視覚反応画像(下右図)。反応が強いほど、活動した脳の領域が黒く表現される。この技術により、長さ約1mm、幅約0.5mmの小さなマウスの視覚野の活動を画像化することができる。

図2 内因性シグナル光学イメージングによる視覚野活動の画像化。(A)麻酔下のマウスに視覚刺激を提示し、視覚野表面の画像を赤色照明下でCCDカメラにより連続的に取得する。(B)マウス視覚野(上図の灰色部分)の表面画像(下左図)と、視覚刺激提示中に取得した画像を数学的に解析して得られる視覚反応画像(下右図)。反応が強いほど、活動した脳の領域が黒く表現される。この技術により、長さ約1mm、幅約0.5mmの小さなマウスの視覚野の活動を画像化することができる。

野生型マウスの視覚野は、臨界期に片眼からの視覚経験を短期間(4日間)遮蔽すると、遮へい眼に対する視覚野の活動が弱くなる「眼優位可塑性」という可塑性を引き起こす。しかし、Ube3a母性欠損マウスでは、この眼優位可塑性の度合いが野生型マウスに比べて約28%と著しく減少していた。このことは、母性染色体のUbe3a遺伝子欠損によって、視覚野の神経回路の適応性を大幅に失ったことを示している。

図3 Ube3a母性欠損マウスの視覚野における臨界期可塑性の障害。(A) 内因性シグナル光学イメージングで測定した臨界期の視覚野の反応。野生型マウスでは4日間の片眼遮へいによって遮へい眼の反応の強さが弱くなるが(臨界期可塑性)、Ube3a母性欠損マウスではこの減弱がほとんど起こらない。(B) それぞれの眼に対する視覚野の反応の強さの相対的な比を計算すると、野生型マウスでは、4日間の片眼遮蔽後にこの比が非遮蔽眼方向に大きく変化するが、Ube3a母性欠損マウスでは、この変化は28%と小さい(可塑性の度合いが小さい)。この差は片眼遮蔽を14日まで延長しても存続する。

図3 Ube3a母性欠損マウスの視覚野における臨界期可塑性の障害。(A) 内因性シグナル光学イメージングで測定した臨界期の視覚野の反応。野生型マウスでは4日間の片眼遮へいによって遮へい眼の反応の強さが弱くなるが(臨界期可塑性)、Ube3a母性欠損マウスではこの減弱がほとんど起こらない。(B) それぞれの眼に対する視覚野の反応の強さの相対的な比を計算すると、野生型マウスでは、4日間の片眼遮蔽後にこの比が非遮蔽眼方向に大きく変化するが、Ube3a母性欠損マウスでは、この変化は28%と小さい(可塑性の度合いが小さい)。この差は片眼遮蔽を14日まで延長しても存続する。

次に、臨界期終了後の視覚野の発達の様子を調べた。研究チームは以前の研究で、野生型マウスが臨界期を終了する生後6週に、より長期間(7日間)片眼を遮蔽することで、非遮蔽眼に対する視覚野の活動が増強する「成体眼優位可塑性」を報告していた(臨界期後でも片眼遮蔽の期間を長くすれば、程度は小さくなるが明らかな眼優位可塑性が起こる現象)。

しかし、Ube3a母性欠損マウスではこの「成体眼優位可塑性」が見られず、むしろ臨界期に見られる「眼優位可塑性」のような遮蔽眼の視覚野の活動の減弱がゆるやかに起こった。

このことは、母性染色体のUbe3a遺伝子が欠損すると、臨界期終了後の視覚野の発達の段階でも、その可塑性が臨界期終了以前の未熟な状態にとどまってしまうことを示す。つまり、母性由来のUbe3a遺伝子が、大脳皮質視覚野の機能の成熟に必須な役割を持つと結論づけることができたとしている。

図4 臨界期終了後のUbe3a母性欠損マウスの視覚野の可塑性。(A)内因性シグナル光学イメージングで測定した臨界期終了後の視覚野の反応。(B)野生型マウスでは7日間の片眼遮へい後に非遮蔽眼の反応の増強が見られるが(成体眼優位可塑性)、Ube3a母性欠損マウスではこの特徴が見られず、むしろ臨界期の可塑性のように遮へい眼の反応が減弱し続ける。

図4 臨界期終了後のUbe3a母性欠損マウスの視覚野の可塑性。(A)内因性シグナル光学イメージングで測定した臨界期終了後の視覚野の反応。(B)野生型マウスでは7日間の片眼遮へい後に非遮蔽眼の反応の増強が見られるが(成体眼優位可塑性)、Ube3a母性欠損マウスではこの特徴が見られず、むしろ臨界期の可塑性のように遮へい眼の反応が減弱し続ける。

さらに、Ube3a母性欠損マウスの視覚にかかわる脳領域間の結合の様子を調べると、生後1週目に形成される眼から視床への神経結合と、視床から大脳皮質視覚野への神経結合はほぼ正常だった。

しかし視覚野内の神経回路の構造に着目し、生後4週目のマウス視覚野を緑色蛍光タンパク質でラベルして、第5層の神経細胞の棘突起密度を調べると、Ube3a母性欠損マウスの神経細胞では、細胞体から上方向に伸びる樹状突起上の棘突起密度は正常だったが、水平方向へ伸びる樹状突起上の棘突起密度が野生型マウスに比べ減少していた。

これは、Ube3a母性欠損マウスでは、脳の領域間の回路の大まかな配線は保たれているものの、視覚野内の局所的な神経回路の結合に異常があることを示している。

図5 Ube3a母性欠損マウスの神経細胞の棘突起。(A) 視覚野の神経細胞の模式図。(B)(A)の点線部分の拡大写真。Ube3a母性欠損マウスでは細胞体から水平方向に伸びる樹状突起上の棘突起が減少していた。

図5 Ube3a母性欠損マウスの神経細胞の棘突起。(A) 視覚野の神経細胞の模式図。(B)(A)の点線部分の拡大写真。Ube3a母性欠損マウスでは細胞体から水平方向に伸びる樹状突起上の棘突起が減少していた。

今後は、Ube3aタンパク質の欠損によってなぜ神経回路の発達に影響が及ぶのかを調べる。また障害を回復させる働きをもつ薬物や遺伝子を探索する。


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クロマグロのゲノム配列の概要解読に成功 (独)水産総合研究センター

クロマグロ

独立行政法人水産総合研究センター.

独立行政法人水産総合研究センターは東京大学、九州大学と共同で、世界で初めてクロマグロの全ゲノム塩基配列の概要を解読することに成功したと発表した。

クロマグロは合計48本の染色体を持ち、DNA全体の大きさは約8億塩基対。個体の特徴を示すDNA情報(マイクロサテライトDNA配列)を8万6千個発見した。

今後は、今回得たクロマグロのDNA情報をベースに系群判別、産地判別などに有効なDNA情報を発見し、さらには、優良種苗の選別や育種といった技術の開発へ展開させていくとしている。


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アブラムシのゲノム解読に成功 理研ほか

アブラムシ

世界的な農業害虫「アブラムシ」のゲノム解読に成功|2010年 プレスリリース|理化学研究所.

理研基幹研究所 宮城島独立主幹研究ユニットの中鉢淳ユニット研究員、宮城島進也独立主幹研究員および基礎生物学研究所の重信秀治(JSTさきがけ専任研究者)らをはじめとする国際アブラムシゲノム解析コンソーシアム(The International Aphid Genomics Consortium)は、国際共同研究の成果として農業害虫のアブラムシのゲノム解読に成功したと発表した。アメリカのオンライン科学雑誌『PLoS Biology』(2月23日号)ほかに掲載される

昆虫として最多となる約35,000個の遺伝子をアブラムシのゲノムから検出し、

  1. 生殖、遺伝子発現調節、シグナル伝達、ウイルス媒介関連など約2,500グループ、総数約13,000の遺伝子がアブラムシ特異的に増幅している
  2. ほかの昆虫では保存されている免疫関連の遺伝子が大幅に減少している
  3. アブラムシの遺伝子セットは、ブフネラと相補的な代謝系を構成する
  4. 10種類以上の遺伝子が細菌からアブラムシゲノムに水平転移し、その多くが菌細胞で高発現している、

といった事実を明らかにすることができた。

アブラムシは、植物の師管液を餌とする小型の昆虫。集団で植物の栄養分を奪うばかりでなく、植物ウイルスを媒介するため、世界中の農作物に深刻な被害を与えている。

アブラムシは、師管液に欠けている栄養分を合成する共生細菌「ブフネラ」を「菌細胞」に収納して、1億年以上にわたり親から子へと受継いでいるなど、さまざまな微生物と緊密な関係を持つ。さらに環境条件の変化に応じて単為生殖と有性生殖を切換えたり、翅(はね)を生やさなかったり生やしたりと、変幻自在にさまざまな表現型の個体を産出する。

*この研究を行った中鉢淳氏へ、本誌管理人の森山和道が2001年にインタビューした記事が
http://www.moriyama.com/netscience/Nakabachi_Atsushi/index.html
で読めます。

エンドウヒゲナガアブラムシの生態そのほかについて知りたい方は是非ご覧下さい。

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γGTPやヘモグロビン濃度、尿酸値などに関連する46個の遺伝子をゲノムワイド関連解析で一度に発見 東大と理研

[東京大学[広報・情報公開]記者発表一覧].
東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター シークエンス技術開発分野 准教授の松田浩一氏と、理化学研究所 ゲノム医科学研究センター 副センター長 統計解析・技術開発グループ グループ・ディレクターの鎌谷直之氏らは、文部科学省リーディングプロジェクト「個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクト」の一環として、一人当たり50万箇所の遺伝的多型を「バイオバンク・ジャパン」に保存された14,700人分について決定し、データ解析した結果、20項目の血液検査と関連する、46個の新しい遺伝子を一度に発見したと発表した。

例えば、赤血球数やヘモグロビン濃度に関連する遺伝子や、白血球数、血小板数、痛風に関係する尿酸値、アルコールによる肝臓への影響に関係する γGTP、肝臓障害の指標となるアルカリフォスファターゼ(ALP)・AST(GOT)・AST(GPT)、筋肉障害や心筋梗塞の指標となるCK、蛋白質の濃度を示すTP・アルブミン、腎臓障害の指標となるBUN・クレアチニンなどに関係する遺伝子などが見つかったという。電子版ネイチャー・ジェネティクス (Nature Genetics online)に掲載された。

論文:「日本人における、多数の血液学的および生化学的形質の、ゲノムワイド関連解析(GWAS)」
(Genome-wide association study of multiple hematological and biochemical traits in a Japanese population)

研究グループは2002年に理研が開発した「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」でゲノムデータを解析した。ヒトゲノム解析が完成したため、一本釣りのような「候補遺伝子アプローチ」から、「トロール漁法」のような「全ゲノムアプローチ」に関連遺伝子の発見手法は変化している。今回、研究グループは、それが病気だけでなく、生物の細胞、蛋白質、小分子など様々な階層に応用可能であることを示した。

この研究は、ゲノムの多様性と人間の色々な階層の多様性との関連を数学的に発見する研究だと見なすことができるという。ゲノムの多様性と、蛋白質(TP、アルブミン、Hb、およびγGTPなどの酵素)、小分子(尿酸、クレアチニン、BUNなど)、細胞数(白血球数、赤血球数など)、細胞のサイズ(MCV)などの多様性との関連を探索する。このように生命の各レベルの関連を数理的に解明することができたことは画期的な事だという。

今回の研究によりCK, BUN, γGTP, ALPなどの検査値が遺伝子によりかなり違う(ALPは99、CKは13も違う)ことが分かり、今後は遺伝子情報を基に個人ごとの検査値の基準値設定が必要となる(オーダーメイド臨床検査)のではないかという。また、疾患に関係する遺伝子と、今回の血液検査に関係する遺伝子を組み合わせることで、より正確な診断や、原因究明、更には早期発見や個別化医療(いわゆるオーダーメイド医療)が可能になるとしている。

また、今回は、14,700人分、一人当たり50万箇所の遺伝子多型を用いたデータを解析したが、更に大量のデータが出つつあり、医学や生物学において、今後、数学と高速コンピュータの重要性はさらに高まるとしている。

転写されない遺伝子の役割は修復タンパク質が結合する足場だった 遺伝研

国立遺伝学研究所<プレスリリース>.

論文名:「Abundance of ribosomal RNA gene copies maintains genome integrity」(リボソームRNA遺伝子のコピー数はゲノムの安定性維持に重要である) 著者名:Ide, S., Miyazaki, T., Maki, H., and Kobayashi, T.

国立遺伝学研究所細胞遺伝研究部門、井手聖研究員、小林武彦教授らのグループは真核細胞のモデル生物である出芽酵母を用いて、「リボソームRNA遺伝子」の半数以上が転写されていないにも関わらず存在する謎を解明した。それらはDNAの傷を修復するタンパク質が結合する足場となっており、ゲノム全体の安定性維持に寄与しているという。Science (2月5日号) に掲載された。

ほとんどの遺伝子は1細胞あたり1コピーのみ存在する。だが中にはコピーを増やし転写産物量を増大させている遺伝子もある。それらは「増幅遺伝子」と呼ばれ、同一遺伝子が染色体上あるいは染色体外に多数並んで存在する。

増幅遺伝子の代表格に「リボソームRNA遺伝子」というリボソーム中に存在するRNAをコードする遺伝子がある。真核細胞では数百〜数千コピーが巨大な反復遺伝子群を染色体上に形成している。リボソームは細胞の全タンパク質の約80%を占めており、その骨格を作るリボソームRNAの遺伝子も1つでは足らず多数必要となる。しかし、半数以上は転写されていない。なぜこのような「働かない」余分なコピーが存在するのか長年の謎とされていた。

増幅遺伝子はコピー間での相同組換えにより、コピー数が徐々に脱落し減少していく運命にある。しかしリボソームRNA遺伝子は減少分を常に補い、ほぼ一定のコピー数を維持している。これまでこの遺伝子増幅機構について研究してきた研究グループは、「Fob1」というDNA結合タンパク質が、リボソームRNA遺伝子内で増幅に必要な組換えを誘導していることを解明した。そして、この「Fob1」による増幅機構を操作し、酵母のリボソームRNA遺伝子のコピー数を自由に改変することに成功した。

出芽酵母リボソームRNA遺伝子を、野生株(約150コピー)の1/7(20コピー)まで減少させても菌は正常に生育した。この株では、もはや転写されていない余分なコピーはなく、すべてのコピーが転写されていた。そこでこのリボソームRNA遺伝子コピー数減少株(低コピー株)の性質を解析したところ、紫外線や発ガン物質などのDNAに傷を付ける薬剤に対して弱くなることが判明した。またこの低コピー株の感受性の変化はリボソームRNA遺伝子の転写を止めると消失した。

次にそのメカニズムについて解析したところ、低コピー株では「コンデンシン」と呼ばれるタンパク質がリボソームRNA遺伝子の領域に結合できなくなっていることが判明した。そのためDNAの傷の修復に必要な姉妹染色分体間の接着が起こらず、リボソームRNA遺伝子が壊れていく。さらにこのリボソームRNA遺伝子の崩壊はゲノム全体の安定性にも影響を与え、細胞の生育を阻害していることが判明した。

以上のことからリボソームRNA遺伝子の転写されていないコピーは、コンデンシンの結合の足場となり、リボソームRNA遺伝子に生じた傷を修復し、ゲノム全体の安定性維持に重要な役割を担っていることが判明した。

リボソームRNA遺伝子は最も数が多く、ゲノムの大きな領域を占める遺伝子である。そのためリボソームRNA遺伝子が不安定化し、そこにDNA修復酵素が集中するとゲノムの他の部分の修復能力が低下すると考えられる。ゲノムの安定性の低下は、高等真核細胞では癌化に繋がる。そのため余分なコピーも含めてリボソームRNA遺伝子のコピー数を高く維持する機構は、癌抑制の観点からも重要な機能であると考えられる。

異常な速度で増殖する癌細胞は多量のリボソームを必要とし、通常転写されていない余分なコピーも働いていると考えられる。こうした癌細胞は、出芽酵母の低コピー株と同じような状態なっていると考えられる。実際に、癌細胞はDNAに損傷を与えて細胞を殺すような抗がん剤に対して弱いことから、リボソームRNA遺伝子が不安定になり、ゲノム全体が崩壊している可能性が考えられる。今回、研究グループが解析した低コピー株を用いることで、リボソームRNA遺伝子を特異的に攻撃する薬剤をスクリーニングすることが可能となり、より副作用が少ない新規の抗がん剤の開発に繋がると期待されるとしている。

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植物が非自己遺伝子の発現を妨げる「遺伝子サイレンシング」のしくみの一端が明らかに 農業生物資源研究所

植物が非自己遺伝子を眠らせるしくみ

植物が非自己遺伝子を眠らせるしくみ

農業生物資源研究所 – プレスリリース – 植物が「よそ者遺伝子」を眠らせるしくみを発見 -.

農業生物資源研究所は、理化学研究所、大阪大学と協力して植物が不必要な遺伝子を眠らせておく「遺伝子サイレンシング」の新しいしくみを発見した。遺伝子組換え作物開発の効率化にも繋がる成果で、2009年12月10日に、ヨーロッパ分子生物学機構雑誌のオンライン版で公開された。

生物の遺伝情報のセットは「ゲノム」とよばれる。ゲノムには非自己遺伝子(トランスポゾン)とその残骸も多数存在していることがわかっている。生物にはこれらの非自己遺伝子の活動を妨げ、眠らせておくしくみがある。

新しい機能を持つ遺伝子組換え作物の開発では、導入した有用遺伝子を作物で安定に発現させることが必要だが、作物に導入された有用遺伝子はしばしば非自己の異物として植物に認識され、その機能発現を妨げられる場合が少なくない。このような現象は「遺伝子サイレンシング」とよばれ、様々な生物がもつ防御機能のひとつだが、遺伝子組換え作物の効率的な開発を妨げる要因ともなってる。

現在、 遺伝子組換え作物の開発にあたっては、導入した有用遺伝子がサイレンシングによって眠らされていない系統を多数の組換え体から選び出す方法がとられている。だが遺伝子サイレンシングを積極的に抑制したり、回避したりするための技術はまだ開発されていない。

トランスポゾンとよばれる因子はゲノムの中を飛び回る寄生因子のひとつで、ゲノム中の様々な位置に見出されるが、トランスポゾンが飛び込んだ先の遺伝子は分断され、その機能が破壊されてしまう。ゲノム中のトランスポゾンの多くは、すでに飛び回る機能を失った残骸として存在しているが、生物は、これらの残骸も含めてトランスポゾン全体を不活性な状態に保ち、眠らせてしまうことで、必要な遺伝子が破壊されてしまうことから自身を守っている。

今回の研究では、外来性導入遺伝子の発現抑制(サイレンシング)をつかさどる分子(MOM1)に注目して研究を進めた。MOM1の名前は、ギリシャ神話に登場する眠りの神様モルフェウスに由来している。

MOM1の働きにより外来性導入遺伝子が「眠らされて」しまうことは以前からわかっていたが、今回の実験結果から、MOM1がゲノム中の多くのトランスポゾンの残骸を眠らせておくためにも必要であることがわかった。研究グループは、眠っていたトランスポゾンの残骸が目覚める際の変化を追跡することで、遺伝子サイレンシングにおけるMOM1の役割の解明を試みた。

遺伝情報は、デオキシリボ核酸(DNA)の4つの文字の組み合わせからなる鎖のような形で記述されている。DNAの鎖は2重らせんを形成し、さらにタンパク質(ヒストン)のまわりに巻きついた形で細胞の中に格納されている。

これらのDNAやヒストンには、メチル基とよばれる小さな「しるし」がつけられることがあり、このメチル基をつけられた遺伝子領域がサイレンシングを受けや
すいことが以前から分かっていた。

遺伝子サイレンシングには複数のしくみが存在すると考えられており、そのひとつ(RNA依存的DNAメチル化経路[RdDM経路])では、まずトランスポゾンなどの非自己遺伝子から作られた異常なRNAが24塩基の低分子RNAに分解され、この低分子RNAが、DNAにメチル基を付けるタンパク質複合体を非自己遺伝子上に誘導することが知られていた。DNAに付けられたメチル基は何らかの因子によって認識され、ヒストンのメチル化を誘導することが予想されていたが、このしくみについては、これまでにごく限られた知見しか得られていなかった。

今回の解析では、まずMOM1の機能を破壊した植物で、遺伝子サイレンシングによる眠りから覚めた遺伝子を、ゲノムからくまなく拾い上げた。その結果、眠りから覚めた遺伝子の多くは、普段はRdDM経路で眠らされているトランスポゾンの残骸であることがわかり、MOM1がRdDM経路のどこかで働いている可能性が示された。

さらに、RdDM経路のひとつひとつのステップを順番に調べていったところ、低分子RNAの蓄積とDNAメチル化のステップまでは、正常に進行していることが
わかったが、ヒストンのメチル化に異常が検出された。

これらの結果から、MOM1は、DNAメチル化の情報をヒストンのメチル化に伝達するステップに必要なことが明らかになり、DNAとヒストンのメチル化をつなぐ新しいしくみの存在が示された。

RNA依存的DNAメチル化経路で働く因子とMOM1の役割

RNA依存的DNAメチル化経路で働く因子とMOM1の役割

今回の研究によって、これまで知られていなかった遺伝子サイレンシングのしくみの一端が明らかにされたが、これは複雑な遺伝子サイレンシングのごく一部分でしかない。今後は、非自己遺伝子のどのような特徴が異物と判断されて「しるし」がつけられるのか、また、ヒストンにつけられた「しるし」を認識して非自己遺伝子を眠らせる本体は何か、といった疑問に答えていくことが求められる。研究グループは、今回の成果は、遺伝子組換え作物の効率的な開発の妨げとなる遺伝子サイレンシングの積極的な制御や回避に向けた長期的な研究の中での、大きな一歩と考えているという。

ダイズのゲノム解析 理研もダイズゲノム塩基配列解読後の遺伝子機能の注釈付けに貢献

ダイズゲノムの概観

ダイズゲノムの概観

引用元: 主要マメ科作物ダイズのゲノム解析に貢献|2010年 プレスリリース|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所(理研)と米国の複数の研究機関は共同でダイズゲノム解読プロジェクトを実施し、食生活や飼料に欠かせない世界の主要マメ科作物であるダイズのゲノム解析に成功した。特に、理研植物科学研究センターゲノム情報統合化ユニットの櫻井哲也ユニットリーダー、機能開発研究チームの梅澤泰史研究員および篠崎一雄チームリーダーらは、完全長cDNA(タンパク質をコードする単位だけを転写した遺伝情報分子であるメッセンジャーRNAを鋳型にして作られたDNA)配列情報を活用してタンパク質遺伝子の解析を行い、約46,000種の遺伝子同定に貢献したと発表した。『Nature』(1月14日号)に掲載された。

ダイズや、大豆の直接的な祖先種であるツルマメの染色体は2n=40(20本ずつの2セットで合計40本)で、同じマメ亜科のミヤコグサ(2n=12)やタルウマゴヤシ(2n=16)と比べ、染色体数が多く、これまで、ほかのマメ科植物との遺伝的な関連は明らかになっていなかった。作製した遺伝地図を基に解析を行った結果、ダイズは、5,900万年前と1,300万年前に全ゲノムの重複が生じ、遺伝子の多様化と欠損、そして多くの染色体の再配置が引き起こされたことが分かった。5,900万年前と1,300万年前の2度の全ゲノム重複が、現生ダイズのルーツと考えられる。

アメリカ研究グループは、発芽後3週間程度のダイズ幼植物体を用いて、ゲノムDNAの抽出、単離を行ったた。収集したゲノムDNAを約3,000塩基、6,000〜8,000塩基、35,000〜38,000塩基の3種類のサイズに断片化し、全ゲノムショットガン法によるゲノム塩基配列決定を行った結果、11億1千万塩基対と推定される全ゲノム塩基配列の約85%に相当する9億5千万塩基対以上のゲノム塩基配列を解読することに成功した。

アメリカダイズ発現遺伝子の部分塩基配列情報(EST)のほか、ダイズ完全長cDNA解析コンソーシアムが収集した完全長cDNA配列情報を活用し、ダイズゲノム上の遺伝子領域を探索した結果、46,430個の遺伝子を同定した。この同定した遺伝子の73%は、ほかの被子植物にも見られる遺伝子だった。理研のグループは、完全長cDNA情報を基に多くの遺伝子の正確な同定に大きな貢献をしたという。

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免疫記憶や発ガンに関わるAID蛋白質遺伝子(Aicda)の発現制御機構

引用元: ゲノムに抗体の記憶を刻むAID蛋白質遺伝子(Aicda)の発現制御機構-何故非Bリンパ球にAIDが発現し、癌化が起こり得るのか-を解明しました。 — 京都大学.

京都大学医学研究科客員教授の本庶佑氏らの研究グループが、遺伝子改変を引き起こすDNA鎖切断を誘導する蛋白質で、発ガンとも関連すると考えられているAID(Activation-induced cytidine deaminase)の遺伝子(Aicda)の制御の仕組みを明らかにした。AID蛋白質は正負2面的な役割を持つと考えられているが,本来の役割以上に発現することで、ガンを引き起こしている可能性がある。今回の成果は発ガンを抑えることにも繋がるかもしれないという。「Nature Immunology」誌に掲載された。

外来抗原に反応して活性化したBリンパ球は、ヘルパーTリンパ球等からの刺激を受けて、自らの抗体遺伝子を改変する。AIDはこの時に遺伝子改変を引き起こすDNA鎖切断を誘導する蛋白質。抗体遺伝子だけでなく癌原遺伝子においても変異原性が認められ、発がんへにも関わっていると考えられている。

AIDの遺伝子(Aicda)は、活性化Bリンパ球のみで発現する。だが近年、細菌やウィルスの感染等で,Bリンパ球系以外の細胞でも発現してしまう例があることが分かった。その制御メカニズムはわ かっていなかったが今回の研究では、Aicda遺伝子が、「外部刺激に応答するエンハンサー」、「Bリンパ球特異的に働くエンハンサー」、およ び幅広い細胞で働くサイレンサーのバランスで制御されている事が明らかにされた。

「外部刺激に応答するエンハンサー」は、サイトカインやヘルパーTリンパ球からの刺激などで活性化する転写因子が結合して、転写を誘導した。「Bリンパ球特異的に働くエンハンサー」はBリンパ球で働く転写因子が結合し遺伝子の発現を誘導した。そして第一イントロンにはサイレンサーが有り、上記の2つのエンハンサーに拮抗する働きを持っていた。

この結果から、AIDの発現は、刺激を受けて活性化されているBリンパ球では、両方のエンハンサーが働き、その為サイレンサー活性を超えて,強力なAID発現が起こる、と考えられる。また異なる細胞系であっても、細菌の感染などによって、NF-κBが強く活性化された場合には、Bリンパ球特異的なエンハンスが起こらなくても、片方の効果だけである程度の発現が起こる可能性がある。しかし、刺激されていないBリンパ球や、通常レベルでの外部刺激を受けた程度の細胞では、サイレンサーの抑制効果によって、AID発現は起こらないのだと考えられる、という。

AIDの役割には、免疫における正の役割に加えて、負の作用であるゲノム不安定化と発がんへのカニョが考えられる。今後、さまざまな状況でのAIDの発現メカニズムをより深く知る事によって、また、その情報に基づいて免疫系での働きを残しつつ、その”暴発”を防ぐといった、将来の応用の可能性もあるという。

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