生物

ニューロン新生制御の一端が判明 東北大

生体内でのニューロン新生の制御機構の一端を解明 | プレスリリース | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-.

東北大学大学院医学系研究科の大隅典子教授の研究グループは、軸索の伸長などに関わるEphrin-A5 (エフリンA5)という分子の遺伝子を欠損した成体マウスにおいて、海馬歯状回におけるニューロン新生が有意に低下していることを発見した。生体内でのニューロン新生の制御の一端の解明に成功したと発表した。米国科学誌「STEM CELLS」に掲載される。

脳の神経細胞(ニューロン)は、ほ乳類の成体脳でも、脳室下帯や海馬歯状回など一部の場所で活発に新生されていることが明らかになっている。特に海馬歯状回でのニューロン新生は記憶や学習行動に関係していること、またニューロン新生の異常と行動異常に相関があることが明らかとなっている。

神経新生

今回、研究グループは、細胞外膜分子の一つであるEphrin-A5に着目した。Ephrin-A5遺伝子を欠損した成体マウス(Ephrin-A5-/- マウス)の海馬歯状回におけるニューロン新生を解析し、野生型マウスと比較すると、ニューロン新生が減少していることを明らかにした。

Ephrin-A5は血管のサイズを調節することによってニューロン新生を制御している可能性があるという。

野生型との比較


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体細胞クローン豚「ゼナ」、約10年で寿命を終える 異種移植研究用のクローン豚

体細胞クローン豚「ゼナ」の誕生時(左:体重1.2kg)  と9歳時(右:体重約180kg)の写真

体細胞クローン豚「ゼナ」の誕生時(左:体重1.2kg) と9歳時(右:体重約180kg)の写真

農業生物資源研究所 – プレスリリース – 世界最高齢の体細胞クローン豚「ゼナ」約10年で寿命を終える – 体細胞クローン動物が必ずしも早死にではないことを示す -.

(独)農業生物資源研究所とプライムテック(株)、(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所は、体細胞クローン豚「ゼナ」(雌、品種:梅山豚(メイシャントン))を飼育してきた。

「ゼナ」は、世界で2例目、日本で初めて誕生した体細胞クローン豚として、2000年7月2日に誕生。順調に発育して14頭の正常子豚を出産し、正常な繁殖能力を示した。3月18日に9年8か月の生存期間を記録し、寿命を終えた。

体細胞クローン動物の寿命については、世界初の体細胞クローン羊「ドリー」が6年 7か月で死亡したことから、短命ではないかとの議論がある。だが、その後の研究で体細胞クローン動物と通常の動物で「テロメア(染色体の末端に位置し、染色体を保護する役目を持つ)」の長さに差違はなく、誕生時に老化は生じていないと考えられている。

また、世界初の体細胞クローンマウス「キュムリナ」 は2年7か月で死亡しており、その寿命は通常のマウスと同等だった。

そして今回、「ゼナ」が約10年間、正常に発育・生存したことから、体細胞クローン技術により誕生した動物が必ずしも早く死ぬわけではないことが示されたとしている。

なお豚は、多くは生後半年で食肉として出荷され、繁殖用とされる種豚であっても3~4年で更新されることから、正確な寿命は分かっていない。日本で飼育されてきた梅山豚の生存期間として10年以上のものは確認されていないという。

今後については、(独)農業生物資源研究所は、プライムテック(株)と共同で、体細胞クローン技術と遺伝子組換え技術を組み合わせて、2003年に緑色蛍光タンパク質(EGFP)を発現する遺伝子組換え豚を開発している。現在までに移植時に臓器が拒絶されにくい豚など、10種類の遺伝子組換え豚を開発しており、医療研究用モデル豚の開発に積極的に取り組んでいるという。

今後は更に、ヒトiPS細胞の安全性評価などに欠かせない再生医療研究用モデル豚や動脈硬化・高脂血症等の疾患モデル豚の開発を進めていくとしている。


さて、この異種移植用の研究の一環として誕生した体細胞クローン豚「ゼナ」ですが、私は、この豚が生まれてしばらく経った頃(2001年1月)に取材に行き、実際に見せてもらったことがあります。ずいぶんと人懐っこいブタだったことを今でもよく覚えています。

せっかくですのでここにそのまま当時の原稿を再録しておきます。なお実際に掲載された原稿は多少手を入れていますのでこれとは違います。

あくまで2001年当時の記事ですので、内容はかなり古いことをご了承ください。

体細胞クローン豚作出の概略図

体細胞クローン豚作出の概略図

 その黒豚は実に人なつっこかった。柵のそばまで駆け寄ってきて、鼻をすりつけてくる。豚というより、まるで飼い犬のようだ。「飼い主」である農林水産省畜産試験場の大西彰さんは「一頭だけ別にして飼ってるからね。自分をブタだとおもってないんじゃないかな」と笑って紹介してくれた。

 もちろん、ただの豚ではない。新聞紙面を騒がしたことも何度もある、国内初の体細胞クローン豚である。名前はゼナ。Xenotransplantation、すなわち「異種移植」から取られた名前である。

 異種移植とは読んで字の如し、ヒト以外の動物から臓器を移植することだ。歴史的には1964年に行われたチンパンジーからの心臓移植を皮切りに、ヒヒの心臓を移植された「ベビー・フェイ」など(1984年)、何度も試験的に行われてきた。

 だがヒト同士の移植すら難しいのに、異種からの移植が簡単に進むわけはない。異種からの臓器を移植すると免疫系の働きにより通常の拒絶反応とはまた違った「超急性拒絶反応」という激しい拒絶反応が起こってしまう。数分も経たないうちに臓器が破壊されていってしまうのだ。

 だが現在、圧倒的な臓器不足と科学的基盤の高まりを背景に、異種移植技術は急速に現実味を増しつつある。
 その臓器元のターゲットが、ヒトとほぼ臓器のサイズが同じで、大量飼育の技術が確立しているブタなのだ。クローンブタ「ゼナ」も異種移植の基盤技術として注目されているのである。

 クローン技術と異種移植技術。この二つはどのように関連しているのか?

 まずは、異種移植の説明から始めよう。異種移植を阻む超急性拒絶反応は、豚の臓器細胞の表面にある「αガラクトース抗原」というものにヒトがもつ抗体が結合し、それが血清中に含まれる「補体」と呼ばれるタンパク質の反応をカスケード状に引き起こすことによって起こる。

 ブタの臓器をヒトに移植したとする。ブタの細胞表面にあるαガラクトース抗原を「発見」した抗体は、ただちにブタ臓器を異物として認識し、免疫系の活動が始まる。抗体は抗原に結合し、抗原=抗体複合物を作る。いわばこれが目印となって、補体の反応を次々と引き起こしていくのである。まず血管壁が破壊され、血液凝固が始まり、臓器への血流が止まり、ついには臓器は死滅してしまう。

 補体は本来、細菌の感染からわれわれの体を守ってくれる重要なタンパク質なのだが、異種移植を可能にするためには、この反応を止めなければならない。手法は大別すると以下の3つである。

1)ブタ臓器を異物としているαガラクトース抗原をなくす。
2)補体の反応を止める。
3)抗体と補体の反応を止める。

 一つ目はブタの遺伝子をノックアウトし、αガラクトース抗原を壊してしまうという手法。二つ目は補体そのものの反応を止めてやる手法。三つ目は、ヒトの抗体がブタ臓器に結合しても、そこから先の反応、つまり補体を介した反応が進まないようにするという手法である。体には、自己細胞に対する反応をコントロールすために補体制御蛋白と呼ばれるタンパク質がある。それをブタに入れてやるのである。つまり、ヒトの補体制御タンパクを持ったブタ、ヒト遺伝子を入れたトランスジェニック・ブタを作ろうという話だ。 既にこのブタは誕生している。

 大西さんは1と3の手法を組み合わせた、いわば「ノックアウト・トランスジェニックブタ」ができるといいですね、と語る。

「やることはもう見えているんです。問題は、きちんとノックアウトできるかどうか。そういう系がちゃんと細胞レベルで作れるかどうか。その次はそれが個体としてちゃんと成長するかどうか。そういったレベルの問題です」

 もし、抗原をノックアウトし、補体制御蛋白をうまく挿入したブタがいったん誕生したら──。そして、もしそれをクローン技術で増やしてやることができれば──。臓器移植用養豚場の誕生である。体細胞クローンブタ・ゼナの誕生は、その基本技術の一つとして必須のものだったのだ。ブタの臓器をヒトに移植する──。異種移植は、決してサイエンス・フィクションではないのである。

 だが体細胞クローンブタは、異種移植のためだけに生まれたわけではない。

「畜産上の意味でいいますとね、優良種豚を複製して増やしていきたいと。
 もう一つは、卵子の保存方法とか精子の保存方法とかが、ブタはできてるようでできてないんです。そこを確立したいんですよ」

 たとえばウシでは、ほとんどが人工授精で誕生し、既に受精卵クローンが市場に出ている。選びに選び抜かれた雄牛の精子だけが交配に使われ、それによって良い牛が生産されてきた。

 ところがブタの場合、一頭一頭の能力そのものよりも、全体の平均値が重視されていたのだという。

「そうなるとね、高度な繁殖技術は必要ないわけですよ。だから今まで研究者もあまりいなかった」

 それに、ブタの卵細胞は油が多く凍結に適さない、顕微受精の操作が難しいなど様々な困難があった。そもそも体も大きく、肉体労働面でも大変だ。そのため研究者たちにも敬遠されていた。

 ところがそこに異種移植のニーズが登場した。突然、高度な生殖技術が必要とされることになったのである。
「だから結構つらいことになっている」と大西さんは笑う。一言でクローン作出といっても種によってノウハウ、テクニックの部分は全く違い、実際の場数が要求されるのだ。

 大西さん自身は、現時点では全ての要素、全てのニーズを視野に入れて、ブタを扱う技術を磨いているという。
「養豚もね、企業養豚っていって、規模がどんどん大きくなってましてね。農家数は減っているんだけど、ブタの頭数は減ってないんです。従来の肉生産だけでは産業として難しくなっている。これからは従来とは違う分野、異分野との提携も重要になってくるでしょう。一人の畜産人としては、そこに応えないといけない。そして、異分野からの要求に応えるためには基礎技術がしっかりしてないといけない。僕の基本的考え方は餅屋は餅屋、ですから。基盤的な、古い技術をしっかりさせたいんです」

 体細胞クローン技術は誕生したばかりで、科学的にはまだまだ不明な点も多い。現在、体細胞クローンブタは大西さんのものも含めて世界で3例誕生している。ところが、3例とも手法が違うのだという。

「だから3つの手法を比べてみると面白いと思う。そうすると本質がわかるはずです。本当に必要なものは何なのか」

 異種移植、クローン技術、そして畜産技術の今後──。この3つを背景にして誕生した一頭の豚。外見は、どこから見てもブタはブタである。そのブタが、複雑に絡み合う先端科学を象徴していた。


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メスらしさのはじまり「HIBOTAN」遺伝子群の発見 ゲノム解読が明かすメスとオスへの進化

ゲノム解読がはじめて明かすメスとオスへの進化 – プレスリリース – 東京大学 大学院理学系研究科・理学部.

東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 准教授の野崎久義氏、奈良女子大学 特任助教の西井一郎氏、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 博士課程3年の浜地貴志氏、元東京大学大学院理学系研究科 外国人客員共同研究員・現米国ソーク研究所 客員研究員のPatrick Ferris氏、ソーク研究所 助教授のJames Umen氏らは、緑藻類ボルボックスのゲノム解読から、メスまたはオスだけがもつ複数の遺伝子群を明らかにしたと発表した。

特にメス特異的な「HIBOTAN」遺伝子群の発見は、メスが「性の原型」そのままではなく、そこから進化するためにメスらしさをもたらす新たな遺伝子の獲得が必要であったことを強く示唆しているという。

緑藻類ボルボックス(Volvox carteri )の無性生殖の群体。次の世代の16個の娘群体が親群体の中につくられている。娘群体は孫世代をつくる大きな細胞を分化させている。西井一郎撮影。

緑藻類ボルボックス(Volvox carteri )の無性生殖の群体。次の世代の16個の娘群体が親群体の中につくられている。娘群体は孫世代をつくる大きな細胞を分化させている。西井一郎撮影。

「性」が原始の生物で誕生して以来、合体する2個の配偶子が、未分化で同じ大きさの「同型配偶」(単細胞藻類、粘菌類など)から、次第に大型で運動能力のない「卵」に小型で運動能力のある「精子」が受精する「卵生殖」(ボルボックス、高等動植物など)へと進化したと推測されている。だが「メスらしさ」と「オスらしさ」が原始の性からどのように進化したかはこれまで明らかでなかった。

2006年に研究グループは卵生殖するボルボックスの仲間(プレオドリナ)で、オス特異的遺伝子「OTOKOG I」を発見した。そして「メス」が同型配偶の性の原型(プラス交配型)から、「オス」は性の派生型(マイナス交配型)からそれぞれ進化したことを明らかにした。

同型配偶の交配型とメスとオスとの進化的な対応関係はついたものの、雌雄の配偶子が未分化な同型配偶の交配型から卵と精子をつくるメスとオスがどのような遺伝子を獲得して進化したかは、明らかではなかった。また、メスは「性の原型」から進化したものであり、高等動植物ではメスのゲノムに特異的な遺伝子が認められない、または稀であることから、同型配偶のプラス交配型からメスを進化させたと考えられるメス特異的な遺伝子は存在しない可能性もあった。

高等動物や陸上植物に近縁な生物では同型配偶のものが現存しないので、メスとオスの進化研究には不向きである。しかし、緑藻類のボルボックスやプレオドリナのような群体性ボルボックス目の生物では、同型配偶から卵生殖まで様々な様式の有性生殖が知られており、有性生殖の進化研究のモデル生物群と研究グループは考えている。群体性ボルボックス目に極めて近縁な同型配偶の単細胞緑藻クラミドモナスで性の分子遺伝学的研究が進展していることも、これらの生物群の利点だという。

群体性ボルボックス目の進化の模式図。細胞数の増加と共に非生殖細胞が分化・増大、並びに雌雄性の発展的進化が観察される。系統関係はこれまでの我々の分子系統学的研究に基づく。

群体性ボルボックス目の進化の模式図。細胞数の増加と共に非生殖細胞が分化・増大、並びに雌雄性の発展的進化が観察される。系統関係はこれまでの我々の分子系統学的研究に基づく。

同型配偶の生物では配偶子の大きさ等に差がないために異なる性(交配型)を便宜的にプラスまたはマイナスとしている。プラスとマイナスの配偶子は合体する。

クラミドモナスではマイナス交配型がプラスに対して優性で、マイナス交配型は性特異的な「MID 遺伝子」によって決定されている。MID遺伝子の存在でプラスの性はマイナスに転換する。よって、性の原型はMID遺伝子を欠くプラス型 であり、マイナス型の性はMID遺伝子によってプラス型から派生したものと考えられる。メスとオスが分化した群体性ボルボックス目(プレオドリナ)では MID と起源を同じくする遺伝子 (PlestMID) がオスだけにあり、それが上述の「OTOKOG I」である。

MID のような交配型に特異的な数個の遺伝子は交叉による組換えが起こらない原始的な性染色体構造を構成している。従って、同型配偶からメス・オスに分化した卵生殖への進化に、このような性染色体領域の遺伝子群がどのように関連するかは進化生物学的に非常に興味深い問題であり、このため、クラミドモナスに近縁なメスとオスの配偶子(卵・精子)が分化した群体性ボルボックス目のボルボックス・プレオドリナ等の性染色体領域のゲノム解読が期待されていたという。

しかし、性染色体に局在する遺伝子は進化速度が速い。そのために探索が困難であり、ボルボックス・プレオドリナ等における性染色体領域のゲノム構造に関してはほとんど知見がなかった。

研究グループは、卵生殖のボルボックス・プレオドリナ等のメスとオスの性染色体領域のゲノム構造の解読と遺伝子群の同定と解析を行って、同型配偶のクラミドモナスの性染色体領域のそれと比較した結果、同型配偶からメスとオスを進化させた遺伝子群がどのようなものであるかが明らかとなり、性染色体領域における卵生殖を生み出した遺伝子・ゲノムレベルでの進化生物学的基盤が解明できると考えた。

卵生殖のボルボックス(Volvox carteri)は雌雄異株で、メスとオスの性が遺伝的に決定されている。今回、アメリカ側の研究グループがメス株のゲノム解読を進めた結果、メスの性染色体領域のおおまかな構造は明らかになっていた。しかし、ボルボックスのオス株に関してはゲノム解読が着手されておらず、性染色体領域に局在をするオス特異的遺伝子も同定されていなかった。

緑藻類ボルボックス(Volvox carteri )。有性生殖を誘導すると多くの卵をもつ独特のメス群体がつくられ、オス群体でつくられた精子の束が泳いできてばらばらの精子となり(右上写真矢印)入り込む。野崎久義撮影。

緑藻類ボルボックス(Volvox carteri )。有性生殖を誘導すると多くの卵をもつ独特のメス群体がつくられ、オス群体でつくられた精子の束が泳いできてばらばらの精子となり(右上写真矢印)入り込む。野崎久義撮影。

そのため、今回の日本側の研究チームは独自に開発した「縮重プライマー(単一のアミノ酸に対して可能な塩基配列すべての組み合わせの混合物からなるプライマー。目的の遺伝子の塩基配列が不明である場合に用いる)」を用いてボルボックスのオス特異的遺伝子を探索し、精子形成を誘導したVolvox carteriオス株培養液からオス特異的遺伝子「OTOKOG I」を単離した。

このボルボックスの「OTOKOG I」をマーカー(目印)としたゲノム解析の結果、オスの性染色体領域が含まれるゲノム断片を探索することに成功し、ゲノム断片の解読を端にしてオスの性染色体領域の全貌が明らかになった。また、ボルボックスのメスとオスの性染色体領域には繰り返し配列(リピート)が多く、コードされている遺伝子のアノテーション(遺伝子の機能を予測し注釈として意味付けすること)は難しかった。

だが、磁気ビーズ上に増幅したDNA断片を大量・高速・安価に配列決定する「次世代シーケンサー」を駆使した「トランスクリプトーム解析(細胞に存在するRNAの配列を網羅的に決定し、転写産物の動体を詳細に解析すること)」で、多くのメスまたはオス特異的遺伝子の存在を明らかにした。

解読されたボルボックスの性染色体領域はメスとオスのそれぞれで1.0Mb(百万塩基対)で、同型配偶のクラミドモナスの性染色体領域(0.2-0.3Mb)の約5倍に拡大していることが明らかとなった。オスの性染色体領域には “OTOKOG I”等のオス特異的遺伝子が10 個、メスの領域にはメス特異的遺伝子が5 個解読された。

同型配偶から卵生殖への進化の模式図。Nozaki et al. (2006) および今回の研究成果に基づく。

同型配偶から卵生殖への進化の模式図。Nozaki et al. (2006) および今回の研究成果に基づく。

特に5個のメス特異的 “HIBOTAN ”遺伝子群すべてが同型配偶のクラミドモナスでは認められないもので、これらの遺伝子の獲得が同型配偶のプラス交配型からメスに進化する直接的な原因となったと考えられるという。

従って、メスは単なる性の原型ではなく、メスへの進化には、メスらしさをもたらす遺伝子群の新たなる獲得が必要であったことが示唆されるという。一方、オス特異的遺伝子10個中の8個がクラミドモナスでは認められない遺伝子であり、精子を形成するオスに進化するために獲得されたことが推測されるとしている。

また、ボルボックスのメスとオスの性染色体領域に共通して存在する遺伝子の中に、両性で配列が著しく異なるものが認められた。特に細胞分裂に関係するヒトの網膜芽細胞腫のガン抑制遺伝子と相同のMAT3 遺伝子がボルボックスのオスでは遺伝子構造や発現がクラミドモナスのものと著しく異なり、細胞分裂して小さな精子を形成するというオスらしさを進化させた原因の遺伝子群のひとつであると推測された。

プラス・マイナスの同型配偶からメスとオスの卵生殖に至る進化のゲノムレベルの基盤は、両性の遺伝子が組み替えしない性染色体領域に存在する。また、性染色体領域の拡大とこの領域に局在する遺伝子の両性での特異化および性特異的遺伝子の新たなる獲得が、メスとオスへの進化に直接影響したと考えられるという。

この研究では、同型配偶からメスとオスの性をもつ卵生殖に至る進化の根本原因が両性で特異的な遺伝子群を新たに獲得したことを初めて明らかにした。

メスは同型配偶の “性の原型” から進化し、高等動植物ではメスのゲノムに特異的な遺伝子が一般的に認められないことから、メスは「性の原型」そのものだと考えられることもあった。しかし、今回のボルボックスの性染色体のゲノム解読によるメス特異的 “HIBOTAN ” 遺伝子群の発見は、メスは単なる性の原型ではなく、メスへの進化には、メスらしさをもたらす遺伝子の新たなる獲得が必要であったことを示している。このことは雌雄の性に関する根本的な概念に影響し、生物学のみならず、様々な学問分野に大きく浸透するものと思われるという。

今回、性染色体のゲノムを解読した生物は群体性ボルボックス目でメスとオスの差異が最も顕著なボルボックスであり、メスとオスが進化した直後の段階ではない。これまでの系統学的研究によると群体性ボルボックス目でメスとオスが進化したのはヤマギシエラと ユードリナの分岐の間であり、この両者の両性(交配型プラスとマイナス、メスとオス)の性染色体領域のピンポイント的ゲノム比較を実施することで、メスとオスの進化のより直接の原因となった遺伝子をあぶり出すことが可能になると考えられるという。


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ソニー、クワガタや空飛ぶ人の視点を3D映像で体験するイベント『クワガタ・ウォーク』、『空飛ぶ人間の目』をGWに開催

ソニー3D

Sony Japan | ニュースリリース | “昆虫”や“空飛ぶ人”の視点を3D映像で体験するイベント『クワガタ・ウォーク』、『空飛ぶ人間の目』開催のお知らせ.

ソニー株式会社は、「クワガタの視点」から昆虫や森を撮影した『クワガタ・ウォーク 〜ソニーの3D映像で昆虫体験』、「空を飛ぶ人の視点」で撮影した『空飛ぶ人間の目 〜ソニーの次世代3D映像への挑戦〜』の3D映像体験イベントを開催すると発表した。

詳細は下記のとおり。

【各3D映像上映イベントの概要】

『クワガタ・ウォーク』 〜ソニーの3D映像で昆虫体験〜
期 間 : 2010年4月24日(土)〜5月9日(日) ※5月10日 (月)以降は他の3D映像も公開
時 間 : 11:00〜19:00 (最終入場 18:30)(約10分の映像)
場 所 : ソニー・エクスプローラサイエンス (東京都港区台場1-7-1メディアージュ5F)
内 容 : 目幅数ミリのクワガタを主人公に、クワガタの視点からの映像を交えて、森にいる昆虫を紹 介。カブトムシとのバトルシーンなどもあります。
入場料 : 大人(16歳〜)500円、小人(3〜15歳)300円
(団体(15名以上)の場 合 大人400円、小人200円)

『空飛ぶ人間の目』 〜ソニーの次世代3D映像への挑戦〜
期 間 : 2010年4月29日(木)〜5月9日(日)
時 間 : 11:00〜19:00 (約6分の映像)
場 所 : ソニービル(東京都中央区銀座5-3-1) 8階
コミュニケーションゾーン OPUS(オーパス)
内 容 : ソニーの3Dカメラによる空撮で、「空を飛ぶ」臨場感のある映像体験ができます。
入場料 : 無料

『クワガタ・ウォーク』は、「昆虫の視点」に徹底的にこだわり、マレーシア・ペナン島に生息する全長わずか数センチの昆虫の視点から見た世界を3D映像化したもの。

ソニー製3Dカメラの接写用特殊レンズの視差を数ミリに設定し、小さな昆虫の目幅で撮影することで、昆虫の視点かつ奥行きを感じることができる映像化を実現したという。来場者は、自分自身が昆虫の世界にいるかのような映像を体感することができるとしている。

撮影監督は超深度接写の独創的な作品性で知られる昆虫写真家の栗林慧(くりばやし・さとし)氏。主人公にギラファノコギリクワガタ、そのほかコーカサスオオカブトムシなどの昆虫が登場する。

『空飛ぶ人間の目』は、「もし人が空を飛ぶことができたら?」をテーマに、ジェットパックを背負った「ロケットマン」が登場。ヘリコプターからの空撮も合わせ、自らが空を飛んでいるかのような迫力と臨場感のある映像を再現したという。自然でなめらかな3D映像を毎秒240フレームで撮影できる単眼レンズ3Dカメラ(試作機)を使用して米国ユタ州グレン・キャニオン、カリフォルニア州ロサンゼルス市街地上空などで撮影している。




Cbln1とGluD2は複合体を形成して神経細胞間の接着と成熟を促す 小脳で作用するシナプスオーガナイザーの仕組み

成熟脳における脳神経回路の形成・維持の新しい仕組みを解明—認知症や精神神経疾患の治療法開発に前進—.

慶應義塾大学 医学部の柚﨑通介研究室の松田恵子 助教、北海道大学 大学院医学研究科の渡辺研究室、自然科学研究機構 生理学研究所の重本研究室らは、神経細胞が結合して脳神経回路を形成する新しいメカニズムを解明したと発表した。科学雑誌「Science」に掲載される。

脳の機能は、神経細胞同士がシナプスを介して形成する神経回路によって担われている。シナプスの前側に存在する神経細胞がグルタミン酸などの神経伝達物質を放出し、シナプスの後ろ側の神経細胞の表面に存在する受容体が、その神経伝達物質を受け取ることによって、情報の伝達と貯蔵が行われ、精神現象や記憶を引き起こすと考えられている。

神経細胞はシナプスによって結合し、神経回路を形成する。シナプス前部の神経細胞から放出されるグルタミン酸などの神経伝達物質はシナプス後部に存在する受容体に結合することによって情報を伝達する。シナプスこそが脳における精神現象や記憶の場と考えられている。

神経細胞はシナプスによって結合し、神経回路を形成する。シナプス前部の神経細胞から放出されるグルタミン酸などの神経伝達物質はシナプス後部に存在する受容体に結合することによって情報を伝達する。シナプスこそが脳における精神現象や記憶の場と考えられている。

神経細胞同士の間に新しくシナプスを形成させる作用を持つ分子は「シナプスオーガナイザー(シナプスを形成し成熟させる分子の総称。細胞から分泌されて作用する分子と細胞表面において神経細胞同士を接着させる分子に大別される)」と呼ばれる。精神発達遅滞や自閉症など数多くの精神神経疾患は、シナプスオーガナイザー分子をコードする遺伝子の異常に起因することが明らかになってきた。これまでの研究で、発達期に作用するシナプスオーガナイザーがいくつか報告されているが、成熟後の脳で作用するシナプスオーガナイザーについてはほとんど分かっておらず、成熟後の脳でどのようにシナプスが形成・維持されるのかは、ほとんどが未解明だ。

これまでに本研究グループは、小脳顆粒細胞から分泌され成熟後も作用するシナプスオーガナイザーたんぱく質「Cbln1(シービーエルエヌ1)」がシナプス形成と維持に必須であることを発見していた。Cbln1が欠損したマウスでは小脳にシナプスがほとんど形成されず、よたよたと歩く歩行障害を示す。このマウスの小脳にCbln1を注入すると、わずか二日間で急速にシナプス数が回復し、歩行障害が回復する。しかし、Cbln1がどのようにしてシナプスに局在し、シナプス形成を誘導するのかは不明だった。

Cbln1は成熟した脳においても急速にシナプス形成を誘導する。Cbln1欠損マウスの小脳では成熟後に正常シナプスがほとんど存在せず、著しい運動失調(回転する棒の上にうまく乗れない)や歩行障害を示す。Cbln1を注入後わずか1−2日間でこれらの症状は急速に改善する。

Cbln1は成熟した脳においても急速にシナプス形成を誘導する。Cbln1欠損マウスの小脳では成熟後に正常シナプスがほとんど存在せず、著しい運動失調(回転する棒の上にうまく乗れない)や歩行障害を示す。Cbln1を注入後わずか1−2日間でこれらの症状は急速に改善する。

今回、研究グループは「Cbln1欠損マウス」と「デルタ2グルタミン酸受容体(GluD2:グルディー2、シナプス前部から放出されるグルタミン酸を受け取るために神経細胞が備える細胞膜表面に存在するたんぱく質)欠損マウス」がよく似た運動障害を示すことに着目した。GluD2は、小脳プルキンエ細胞に存在するグルタミン酸受容体と似た分子として発見されたが、グルタミン酸そのものには結合できない。そのことから「孤児受容体」と呼ばれ、どのようにして機能するのかが長い間謎だった。

研究グループはCbln1とGluD2の働きについて研究を進めた結果、Cbln1とGluD2とは、シナプスにおいて複合体を形成してシナプス前部と後部にそれぞれ働きかける極めてユニークな分子であること、また、この働きによりシナプスを介して神経細胞間の接着と成熟を促していることを解明した。

具体的にはシナプス前部から分泌されたCbln1がシナプス後部に存在するGluD2に結合することによって、シナプス形成・維持作用を示すのではないかと考えた。そして実際にGluD2の細胞外に飛び出た部分にCbln1が直接に結合することを世界で初めて発見した。Cbln1が機能を発揮するためには受容体であるGluD2が必要であることが明らかになった。

またCbln1を周りにくっつけたビーズ(小粒子)を小脳顆粒細胞とともに培養すると、ビーズ周囲にシナプス前部(顆粒細胞の軸索)が集まりシナプス小胞も集積した。一方、Cbln1をくっつけたビーズを小脳プルキンエ細胞とともに培養すると、GluD2が存在する時に限って、プルキンエ細胞内でGluD2に結合するたんぱく質がビーズ周囲に集まった。

Cbln1は直接シナプス前部を誘導する。Cbln1でコートされたビーズを小脳顆粒細胞とともに培養すると、ビーズ周囲にシナプス前部(顆粒細胞の軸索)が集まり、シナプス小胞も集積する。このことから、Cbln1のシナプス前部誘導作用はGluD2には直接依存せず、GluD2はCbln1をシナプスに局在化させる役割を果たすと考えられる。

Cbln1は直接シナプス前部を誘導する。Cbln1でコートされたビーズを小脳顆粒細胞とともに培養すると、ビーズ周囲にシナプス前部(顆粒細胞の軸索)が集まり、シナプス小胞も集積する。このことから、Cbln1のシナプス前部誘導作用はGluD2には直接依存せず、GluD2はCbln1をシナプスに局在化させる役割を果たすと考えられる。

つまり、はシナプス前部には直接作用し、シナプス後部にはGluD2を介して作用することにより、シナプスの形成と成熟をコントロールすることが分かった。このようにCbln1とGluD2とはシナプスにおいて複合体を形成し、シナプス前部と後部にそれぞれ働きかける極めてユニークな分子であるとしている。

 Cbln1はGluD2を介してシナプス後部を誘導する。Cbln1でコートされたビーズを小脳プルキンエ細胞とともに培養すると、ビーズ周囲にプルキンエ細胞のGluD2が集積し、同時に細胞内でGluD2に結合するたんぱく質(ここではShank2)が集まる。つまり、Cbln1はGluD2を介して間接的にシナプス後部の形成と成熟をコントロールすると考えられる。

Cbln1はGluD2を介してシナプス後部を誘導する。Cbln1でコートされたビーズを小脳プルキンエ細胞とともに培養すると、ビーズ周囲にプルキンエ細胞のGluD2が集積し、同時に細胞内でGluD2に結合するたんぱく質(ここではShank2)が集まる。つまり、Cbln1はGluD2を介して間接的にシナプス後部の形成と成熟をコントロールすると考えられる。

GluD2はグルタミン酸受容体と似た分子として発見されたものの、グルタミン酸とは結合しない。一方、Cbln1は免疫系において働く「補体」と似た分子であり、同じグループに属する分子は、炎症反応、糖代謝、冬眠など多彩な機能を持っていることから、Cbln1がどのように脳内において機能するのかは不明だった。今回の発見によってGluD2のパートナーが初めて明らかになり、GluD2は孤児受容体ではなくなった。

Cbln1とGluD2によるシナプス形成・維持メカニズムの発見は、小脳の病気による運動障害に効果的な新しい治療法の開発につながることが期待され、また似た分子は小脳のほかに大脳にも多く存在し、これらの分子もシナプス形成と維持に関与することが予想されることから、多くの精神神経疾患や認知症などにおけるシナプス異常の病態の解明と治療法の開発に向けて、重要な鍵となるものと期待されるという。さらに、再生医学において新生神経細胞と既存の神経回路とを機能的に再接続する機構や制御を可能とする基盤的技術の創出にもつながる可能性があるという。


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オスにしかない筋肉を作り出す神経細胞を同定 ショウジョウバエで

左:ローレンス筋上のMindニューロンの末端。右:MARCM法によって染め出された神経節内のMindニューロン細胞体と樹状突起

左:ローレンス筋上のMindニューロンの末端。右:MARCM法によって染め出された神経節内のMindニューロン細胞体と樹状突起

Tetsuya Nojima, Ken‐ichi Kimura, Masayuki Koganezawa, and Daisuke Yamamoto  (2010) Neuronal synaptic outputs determine the sexual fate of postsynaptic targets. Current Biology, in press.
「シナプス前ニューロンからの出力がシナプス後細胞の性を決定する」

引用元: 雄にしかない筋肉をつくりだす脳の中の仕組みを発見 | プレスリリース | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-.

東北大学大学院の野島鉄哉 博士研究員(研究当時、大学院生)と山元大輔教授らの研究グループは北海道教育大学の木村賢一教授との共同研究で、ショウジョウバエの雄にしかない筋肉「ローレンス筋」を動かし、また作るために必須と考えられる単一の運動ニューロンをみつけ、形成過程を明らかにした。イギリスの科学雑誌『Current Biology』に近く掲載される。

生物のからだには性による違いがある。キイロショウジョウバエでは、成虫の雄にしかない一対の筋肉、「ローレンス筋」が知られており、それが形成されるかどうかは筋細胞の性ではなく、筋肉をコントロールする神経(運動ニューロン)の性が雄であるか否かで決まること、そのためには、 フルートレス(Fruitless)たんぱく質(脳神経系の雄化因子として働くタンパク質)の存在が必須であることが知られていた。

しかしその運動ニューロンそのものがどれかはこれまで不明だった。また運動ニューロンがどのようにして筋肉を「男性化」するのかも分かっていなかった。

今回、fruitless が働かなくなった変異体の雄でローレンス筋がなくなっているところに、MARCM法(細胞が分裂する際に相同染色体の間でのつなぎかえを誘発し、たまたまつなぎかえが起こった細胞だけが標識される、あるいは変異型になるようにする手法)を使って少数のニューロンにだけfruitless+を発現させ、ローレンス筋形成が回復した時にどのニューロンにfruitless+が発現していたかを特定する方法で、ローレンス筋を作り出す単一運動ニューロンを同定した。またなぜ雄にしかないのか、筋肉形成の仕組みを明らかにすることに成功した。

研究では、まず、ローレンス筋の上にある神経末端の近くに色素の詰まった極細ガラス管を置き、そこから神経に色素を取り込ませて、問題の運動ニューロンだけを標識した。その結果、筋肉と同じ側に、細胞体と一本の長い神経突起(軸索)のあるニューロンと、神経節の正中に細胞体があって両側に軸索をのばすニューロンの2種類が、ローレンス筋につながっていることがわかった。

次に、これらのニューロンにローレンス筋を作る能力があるかどうかを調べました。fruitless遺伝子の機能が失われた突然変異体の雄ではローレンス筋が欠如する。だが正常なfruitless遺伝子を遺伝子組換えによって導入し、運動ニューロンで働かせると、ローレンス筋が形成されるようになる。そこで、ローレンス筋に伸びている2種類のニューロンの一方に限定して正常型組換えfruitless遺伝子を働かせてみたところ、軸索を1本だけ持つニューロン(Mindと命名)のみがローレンス筋を作る能力を持っていることがわかった。

ローレンス筋は雄の5番目の腹部体節にだけ形成されて、雄の他の体節や雌にはない。雄の腹部第5体節以外のところや雌では、Mindニューロンが発生の途中で細胞死によって失われるためだと考えられるという。

Mindニューロンから筋肉への情報伝達は、化学物質によって担われている。Mindニューロンからの化学物質の放出を止めてしまうと、ローレンス筋は形成されない。このことから、Mindニューロンからは、収縮の司令をする物質のほかに、ローレンス筋の雄特異的な形成を支配している物質が放出されると考えられるという。

今後は、Mindニューロンから放出されてローレンス筋を作るように働きかける化学物質の本体の特定を目指す。ローレンス筋以外にも性特異的な神経の接続相手となる神経、筋肉、腺などは数多くあるという。またヒトのからだに見られる性差にもこの機構が寄与しているとすれば、発症に性差の認められる疾病の原因解明や治療への貢献が期待できるとしている。


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オリゴマーだけでアルツハイマーは発症する 老人斑なしでアルツを発症するモデルマウスを作出

大阪市立大学 – ニュース – プレスリリース – アルツハイマー病の新しい動物モデル作製に成功.

大阪市立大学大学院医学研究科の富山貴美准教授、森啓教授らの研究グループは、姫路獨協大学、兵庫医療大学、米国ノースウェスタン大学との共同研究で、アルツハイマー病の新しい動物モデルを作製することに成功した。

今回新たに作製されたモデルマウスは、アルツハイマー病の原因と考えられているアミロイド病変である「老人斑」がなくても病気が発症・進行する。老人斑以外の異常脳病理変化が現れることで「老人斑無用説」を提唱している。「Journal of Neuroscience」誌4月7日号に掲載される。

アルツハイマー病は、脳に、「アミロイドβ」の線維状凝集体からなる「老人斑」と呼ばれるシミができる。老人斑ができると、神経細胞内に「神経原線維変化」と呼ばれる「タウ蛋白質」の凝集体ができる。そして神経細胞の機能維持や脳内の清掃をつかさどるグリア細胞が活性化され、炎症反応が起こり、やがて神経細胞が死に始める。これらから、アルツハイマー病は、アミロイドβが脳内で凝集し沈着すること、すなわち老人斑ができることが原因であると考えられていた。

しかし、この仮説には、患者の認知機能の低下と、老人斑の数が一致しないという矛盾があった。

最近の研究により、「アミロイドβ」はアミロイド線維を作る前に、「オリゴマー」と呼ばれる数個~数十個の分子が会合した小さな集合体を形成し、これが脳内を泳ぎ回って神経細胞のシナプスの機能を邪魔することで認知機能の低下が起こると考えられるようになってきた。これを「オリゴマー仮説」という。

オリゴマー仮説は観察結果と整合し、アミロイド仮説の問題点を解決するものとして、現在多くの研究者に支持されているという。しかし、アルツハイマー病の発症に、オリゴマーだけでなく老人斑が共犯として働く可能性が残されていた。

研究グループは彼らがアルツハイマー病患者で見つけた、オリゴマーだけを形成しアミロイド線維は形成しない変異型アミロイドβ(「E693Δ」変異)を持つ新しいトランスジェニックマウスを作製した。

この新しいモデルマウスは老人斑が無くてもアルツハイマー病を発症し進行する。新しいモデルマウスでは、8カ月齢頃から神経細胞内にオリゴマーが蓄積し、それとともにシナプスの機能が低下し、記憶障害に基づく行動異常が現れたという。さらに高齢化してくると、記憶の中枢と考えられている「海馬」で神経原線維変化の前段階である異常リン酸化タウやグリア細胞(アストロサイト、ミクログリア)の活性化や神経細胞の消失も確認できた。念のためマウス寿命に近い24カ月齢のモデルマウスを調べたところ、老人斑は全く存在していなかったという。

富山准教授らは、新世代の認知症薬のターゲットとして、老人斑ではなく、アミロイドβオリゴマーに特化した治療戦略の重要性を提唱している。今回の新しいモデルマウスはアルツハイマー病治療薬開発のための有力なツールとなるものであり、研究成果は100年の歴史をもつアルツハイマー病研究のターニングポイントになると考えられると述べている。


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グーグルの衛星写真で200万年前の猿人化石が見つかる

 New Hominid Species Discovery: Australopithecus sediba

New Hominid Species Discovery: Australopithecus sediba / University of the Witwatersrand

200万年前の新種猿人化石 ヒト属起源探るてがかり
現代人の直系祖先?南アで200万年前の猿人 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

【ワシントン=山田哲朗】南アフリカ北部で約200万年前の新種の猿人化石が見つかった。

ウィットウォータースランド大(南ア)などの研究チームが9日付の米科学誌サイエンスに発表した。現生人類の直系の祖先にあたる可能性もある。

というのはいいのですが、というかこれ自体、おおーという成果なんですが、

チームは米検索大手グーグルの衛星写真を使って探索した洞窟で、195万〜178万年前の化石2体を発見。1体は20〜30歳代の成人女性、もう1体は 8〜9歳の少年と見られ、いずれも体重約30キロ、身長127センチ程度と推定された。泉を意味する現地語から「アウストラロピテクス・セディーバ」と命 名された。

「グーグルの衛星写真を使って探索した洞窟で」。

いやー、すごい時代ですね。

ウィットウォータースランド大学によるオリジナルのリリースはこちら

動画もありました。

一番詳しく紹介しているのはナショナルジオグラフィックのようです。
セディバ猿人、ヒト属の祖先か猿人か


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世界初の「ウナギの完全養殖」に成功 水産総合研究センター

ウナギ完全養殖

平成22年4月8日 (独)水産総合研究センター 世界初の「ウナギの完全養殖」、ついに成功! 〜天然資源に依存しないウナギの生産に道を開く〜

引用元: 独立行政法人水産総合研究センター.

独立行政法人水産総合研究センターは、「ウナギの完全養殖」に成功したと発表した。人工ふ化仔魚から成長したウナギを人為的に成熟させ、採卵・採精を実施し、人工授精、ふ化させ、ついに完全養殖によるウナギの仔魚を得ることに成功した。

実験室生まれのウナギのオスとメスに成熟誘導処理を行って卵および精子を採取し、人工授精したところ3月27日(土)にふ化仔魚を得ることができた。仔魚は順調に発育し、4月2日には摂餌開始を確認。以後、順調に成長を続けているという。これにより「これまで誰も成し遂げなかった悲願の『ウナギの完全養殖』が実現しました」としている。

この成果により、天然資源に依存しないウナギの再生産の道が開かれ、天然のウナギ資源の保護に役立つと共に、「鰻」という日本の食文化を守る重要な技術となることが期待されるという。今後、産卵場での親ウナギや仔稚魚の捕獲調査結果を加えて、成熟技術や餌の開発をより促進する。

ウナギ養殖は、100%天然のシラスウナギの採捕に頼っている。不安定な採捕量による種苗供給と極端な価格の変動が養鰻経営を圧迫している。 さらに、近年、ウナギ資源の急激な減少が危惧されている。天然資源に依存しない完全養殖を実現することは、関係者の悲願だという。

水産総合研究センター養殖研究所は、1998 年に「サメ卵凍結乾燥粉末」がウナギの初期の餌として有効であることを明らかにし、人工ふ化仔魚を全長10mm まで成長させることに世界で初めて成功した。続いて、1999年には餌の改良により250日以上飼育を継続し、全長30mmを越える「レプトセファルス幼生」と呼ばれる仔魚にまで成長させることに成功した。

さらに、飼育装置及び飼料の改良を行った結果、2002年には、ふ化後250日前後で全長55mm前後までレプトセファルス幼生を成長させ、約20日間でシラスウナギに変態させることに成功した。

ウナギ稚魚

その後、人工生産ウナギを親として次世代を誕生させる「完全養殖」を目指して、養殖研究所および志布志栽培漁業センターで実験室生まれのウナギ稚魚の育成を継続。一部の個体については稚魚期にホルモンを投与することによって雌化し、雌雄の親魚候補として育てて来た。これら親魚の候補が、ふ化から2~5年を経過し、全長45~70cmに達したことから、人為催熟が可能と判断して、今年初めからホルモンの反復投与による成熟誘起を開始した。

その結果、雄では4週目から精液が採取でき、人為催熟に成功した。雌は6週目頃から成熟の兆候である腹部の膨満および体重の増加が確認され、催熟開始から8週目の3月26日に排卵誘起に成功し、人工授精によって受精卵がおよそ25万粒得られた。これらの受精卵は正常に発生が進み、翌日昼前からふ化が見られ、その後も順調に発育し、4月2日より給餌飼育を開始、順調に成長を続けているという。また、今後も数個体の人工生産魚雌雄から採卵・採精して人工授精を実施する見通しだという。

ウナギの種苗生産に関して、諸外国では稚魚(シラスウナギ)まで育てることにさえ成功しておらず、国内でも養殖研究所から技術指導を受けた研究機関でのみ稚魚まで育てることに成功しているに過ぎないのが現状だという。同センターが人工生産第2世代の誕生に成功したことは、世界の最先端を独走する研究成果だという。

完全養殖が実現しても、国内のウナギ養殖に必要な億単位の種苗を生産する技術は確立されていない。なので、今すぐに養殖用種苗を人工生産によってまかなえるということにはならない。だがこの成果は、資源の減少が危惧されている天然ウナギに依存せずに飼育下でウナギを再生産できることが示されたという点、飼育環境に適応したウナギを選抜して世代を重ねることによって安定的大量生産技術開発に向けての進歩が期待できるという点で、大きな意義を持っているという。


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複数人の脳を同時計測できる『ウェアラブル光トポグラフィ』を販売開始 日立

ニュースリリース:2010年4月7日:日立.

株式会社日立製作所と株式会社日立国際電気エンジニアリング(HKDE)は、脳活動に伴う脳内血液量の変化を計測することで日常生活の脳活動の把握や研究に活用できる「ウェアラブル光トポグラフィ」を開発したと発表した。研究機関向けに販売する。

頭部に装着するヘッドセット、計測するための設定や計測結果を保存する携帯制御ボックス、計測結果を表示する計測コントローラの3点で構成される。

小型で、複数の人の脳を同時に計測できる点が特徴。

携帯制御ボックスと計測コントローラは無線LANによる双方向通信を用いて、計測結果をリアルタイムに計測コントローラに表示することができる。また、無線LANを使わなくても、ヘッドセットと携帯制御ボックスで計測することができる。

ヘッドセットは頭部への密着性を向上するために、光源と受光部をブロック化した。また、2波長のレーザーダイオードを1つのパッケージに実装し、小型化を実現した。ヘッドセット重量を約700g、携帯制御ボックスも約650g。より日常生活に近い状態で脳活動を計測できるようにした。

独自開発の705nmのレーザーダイオードを採用することで、高い信号精度を維持しているという。さらにヘッドセットと携帯制御ボックスを増設することで、1台の計測コントローラで、最大4人の同時計測が可能で、それぞれの計測結果をリアルタイムに表示・保存することができるという。会話時のような複数脳の同時計測が必要な研究分野への新たなアプローチが可能になる。

HKDEが製品化、日立が販売を担当する。大学などの研究機関向けに非薬事品(医療用、診断用に利用することはできない)として7月から販売する。

微弱な近赤外光を頭皮上から照射して、脳活動に伴う脳内血液量の変化を無侵襲で計測し画像化する「光トポグラフィ法」は、1995年に、世界に先駆けて日立が開発した技術。2001年に株式会社日立メディコが医療用装置として販売開始した。光トポグラフィ法は研究分野でも使われている。

日立は2007年5月に携帯型光トポグラフィ技術の試作を発表、 2009年11月には2チャンネルの頭部近赤外分光計測装置の販売を開始するなど、より日常に近い状況の中で計測するための技術開発を推進してきた。


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