地球科学

ギリギリまで近づいて撮影された溶岩湖の動画

「Extreme videographer」なる職業のJames Reynolds氏による動画です。
確かにすぎ迫力。
一歩間違えばマグマダイバーですが……。


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JAMSTEC、深海ペイロード実験のアイデアを募集 誰でも無人探査機「ハイパードルフィン」と「なつしま」が利用できる

プレスリリース<JAMSTECについて<独立行政法人海洋研究開発機構.

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、海洋調査船「なつしま」及び、3000m級の無人探査機「ハイパードルフィン」を用いた深海ペイロード実験のアイデアを募集している。

「ハイパードルフィン」は最大3000mまでの潜航が可能な無人探査機。超高感度ハイビジョンカメラを搭載し、深海の撮影や目視による調査を行える。また海底からサンプルを採取できるマニピュレータ(ロボットアーム)2基を備えている。

JAMSTECの深海調査研究をより身近に感じてもらうことが企画の趣旨。無人探査機「ハイパードルフィン」のペイロード(幅300mm×奥行300mm×高300mm)を区画分割し、そのスペースを利用した深海環境で実施してみたい実験のアイデアを募集し、選定された個人やチームが自ら製作に参加、調査船に乗船し、探査機のオペレーションを体験しながら実験を行う。

また、その状況をインターネット上で配信し、深海調査研究の理解普及に用いる。

対象者はインターネット上で情報配信を行っている国内の個人、小中高校、大学、NPO法人などのチームやグループ。ブログやSNSなどで長期にわたり情報提供活動を行っている個人、団体であてば、大学や学校のクラブ活動でのホームページでも、情報配信が実施できれば可。

小学生、中学生においては保護者もしくは学校活動における指導教員の付き添いが必要となるが、相乗りする実験の実施に鑑賞しない限り、募集分野や内容に制限はない。ただし圧壊実験など安全の確認できない提案は募集対象外となる。電力供給はしないがバッテリー持ち込みは可。

JAMSTECでは、

「深海という特殊な環境を生かしたユニークなアイデアや、実際に深海でためしてみなければ結果がわからないようなアイデアをお待ちしています。インターネット上での情報配信活動を行っている方であれば、どなたでもご応募可能です」

としている。

潜航実施期間は2日間(初日にペイロード設置、翌日に1ダイブを実施)。乗船可能者数はテーマあたり最大で2名。

経費は持込み実験装置の製作、運搬費用、損害保険、乗下船地までの交通費は提案者側の負担となる。実験のための設置費用、船内の宿泊及び傷害保険費用は、テーマあたり2名分までをJAMSTECが負担する。

詳細は下記のとおり。

(1)     募集期間     :     平成22年6月16日(水)〜7月11日(日)
(2)     対象者     :     インターネット上で情報配信を行っている国内の個人、小中高校、大学、 NPO法人などのグループ
(3)     募集分野     :     制限なし
(4)     募集スペース     :     「ハイパードルフィン」ペイロード 300×300×300 ㎜
(5)     選定結果発表     :     平成22年7月中旬
(6)     実験実施時期     :     平成22年8月中旬
(7)     選定テーマ数     :     5テーマ程度

実験実施予定場所は、相模湾または駿河湾の水深1000m付近。

実験に用いる無人探査機「ハイパードルフィン」の見取り図(イメージ)

実験に用いる無人探査機「ハイパードルフィン」の見取り図(イメージ)

応募はホームページから行う。
https://www.jamstec.go.jp/j/form/media_hyper2010/
募集内容についての問い合わせ先
「ハイパードルフィンペイロード実験」事務局
電話 :046-867-9062(受付時間:平日09:00〜17:30)
E-mail :hpdjikken2010@jamstec.go.jp


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「ちきゅう」2010年度の研究航海概要を公開 南海トラフで地震断層への超深度ライザー掘削、沖縄で海底下生命圏掘削を実施

プレスリリース<JAMSTECについて<独立行政法人海洋研究開発機構.

7月15日〜8月8日 南海トラフ地震発生帯掘削計画 (NanTroSEIZE: Nankai Trough Seismogenic Zone Experiment)
(IODP第326次研究航海)
9月1日〜10月3日 沖縄熱水海底下生命圏掘削-1 (DEEP HOT BIOSPHERE)
(IODP第331次研究航海)
10月25日〜12月12日 南海トラフ地震発生帯掘削計画 ステージ2
(IODP第332次研究航海)
12月13日〜平成23年1月10日 南海トラフ地震発生帯掘削計画 ステージ2
(IODP第333次研究航海)
地球深部掘削船「ちきゅう」

地球深部掘削船「ちきゅう」

6月8日、JAMSTEC(海洋研究開発機構)から地球深部掘削船「ちきゅう」の平成22年度研究航海の概要説明会が行われた。今年度は、4回の研究航海が行われる。第326次、第332次、第333次の研究航海では地震関連の調査を目的とした南海掘削を行い、第331次研究航海では、海底下の微生物圏を調べる沖縄熱水海底下生命圏掘削を行う計画だ。

まずCDEX(地球深部探査センター)センター長の東恒氏が全体概要を解説した。「ちきゅう」は今年で5年目で、定期検査を受けているところだ。いまは三菱重工業・本牧工場のドックから離れて最終的なチェックを受けている段階だという。

「ちきゅう」は「統合国際深海掘削計画(IODP)」によって運用されている船である。IODPは日米主導のもと、ヨーロッパ、中国、韓国、オーストラリア、インド、ニュージーランドを含む世界24カ国が参画している共同プロジェクトだ。地球環境変動、地球内部ダイナミクス、地殻内生命圏などの最先端科学の推進を目的としている。「ちきゅう」のほか、アメリカが運行する掘削船「ジョイデス・レゾリューション」、ESOが運用する「特定任務掘削船(MSP)」を研究プラットフォームとし、得られたデータ、および掘削で得たコア資料の管理を行っている。運用する3つのプラットフォームを使い分けることで、海洋全体を調査している。

深海を掘れる最新鋭のライザー掘削船である「ちきゅう」には特に、プレート境界面を直接調べることで震源領域の破壊メカニズムを解明するための巨大震源の震源域の直接観測、過去の地球環境変動を高精度に復元する地球環境変動史の解明、原始地球に酷似した環境の生物を調査することで地球生命誕生と進化の謎に迫る地下生物圏の探査、海洋地殻マントルの組成、物性を調べ、地球の起源やマントルの対流現象などに対する画期的発見を目指す未踏のマントル掘削をミッションとしている。現在の地球、未来の地球を理解することが「ちきゅう」の目的だ。

なお「南海トラフ地震発生帯掘削計画(NanTroSEIZE:Nankai Trough Seismogenic Zone Experiment)」では、これまでステージ1、ステージ2と2回の掘削が行われてきており、その成果は今も研究が進行中である。7月15日から始まる第326次研究航海では超深度ライザー掘削に着手し、10月から行われる第332次研究航海では長期孔内計測装置を設置、第333次研究航海では沈み込み前物質採取・熱流量測定を行う。沖縄では9月1日から10月3日に4つのサイト(プラス予備サイト)で掘削を行う計画だ。

南海トラフ地震発生帯掘削計画 調査海域図

南海トラフ地震発生帯掘削計画 調査海域図

地震の中心「アスペリティ」を目指し海底下7kmへの掘削を実施へ

続けてJAMSTEC地球内部ダイナミクス領域の木下正高氏が南海トラフでの地震発生帯掘削計画について詳細を述べた。木下氏はまず海溝型巨大地震の古典的モデルと近代的モデルについて解説した。プレートの沈み込みによる圧縮でやがて地震が起こるという古典的モデルについては多くの人が御存知のとおりだが、現在のモデルでは固着している部分が「アスペリティ」と呼ばれ、地震のときに一気に滑ると考えられている。この「アスペリティ」を直接見ることが研究掘削の目的だ。そのためには「アスペリティ」がここにあるはっきり分かっている部分が掘削対象にはのぞましい。南海トラフは将来地震が起こる可能性も高く、最適の場所の一つである。

南海トラフ地震発生帯掘削計画

南海トラフ地震発生帯掘削計画

掘削の目的は、掘らないと分からないことを調べる、その場所でしか分からないデータを取ることにつきる。つまり断層部分、基底岩、沈み込む前の堆積物などをとる、その物性を調べることなどを目的として掘削が行われている。

「ちきゅう」は2007年から掘削を行っているわけだが、ステージ1、2ではまず浅い孔を掘った。そして最初のライザー掘削で、固着面の上盤を調べた。そして今年はいよいよ固着域そのものを調べるために海底下7kmへの到達を目指し、計測機器の設置を目指す。

南海トラフ地震発生帯掘削計画 3D高精度地震探査による掘削海域の海底地形と海底下構造

南海トラフ地震発生帯掘削計画 3D高精度地震探査による掘削海域の海底地形と海底下構造

南海トラフ地震発生帯掘削計画 概要図

南海トラフ地震発生帯掘削計画 概要図

ここで木下氏はステージ1、2それぞれの成果をざっと紹介した。

ステージ1では付加体の応力場を調べた。フィリピン海プレートが陸側のプレートを押しているわけだから、圧縮が起きていると考えられる。では実際どうなっているのか、応力場を計測した。そうすると、だいたい予想どおりだったのだが、一部では逆に伸張場があることが分かった。また、堆積物は沈み込みながら付加していく。その付加体の年代を決定した。

さらに二つの地震断層、すなわち「デコルマ(沈み込み帯境界)」と「分岐断層」との出口をそれぞれ調べ、断層面を貫いて掘削することに成功。シャープなミリオーダーの断層面を調べることができた。そこでは断層を境に年代が逆転していた。つまり深いところにあったものが持ち上がる、せり上がり断層として活動しているということが分かったわけだ。また断層面がシャープであることから、非常に活動的で最近まで活動していると考えられた。

断層上には地すべりによる斜面堆積物がある。それを調べることで活動の履歴が分かる。掘削によって年代軸が出たので、それをもとに復元したところ、195万年前に断層が活動しはじめ、いったん止まり、155万年前に活動を始めた、つまり間歇的に活動して今に至ったということが分かったという。

ステージ2では、何がわかったか。こちらは昨年掘ったばかりなのでまだ研究中だが、四国海盆への火山物質の供給があること、西南日本からの堆積物が供給されていることが分かった。最大の成果は、 1900万年前の基盤岩が得られたことだった。地震発生の準備過程ではひずみがどれだけたまりつつあるかということ、上盤で水平圧縮がどうなっているかも調べたところ、ステージ1で分かった一部の水平拡大している部分以外はやはり圧縮されていることが分かった。また沈み込む前の初期物質も採取した。

これまでの南海掘削成果のまとめ

これまでの南海掘削成果のまとめ

今年度の掘削の目的は3つある。第326次研究航海では超深度ライザー掘削によって、巨大地震発生帯を目指す。以前設置した温度・圧力計の回収と、長期コウナイ計測装置を設置する。333次航海では、沈み込み直前の玄武がんをもっと取る、また表層堆積物の測定を行う。

記者会見には東大教授の木村学氏も出席。「オールジャパン体制で地震発生帯そのものを採取し、孔をつかって観測することで地震予知へと繋げたい」と述べた。

なお2013年の初頭にはアスペリティ(固着域)に到達する計画だ。

ライザー掘削とライザーレス掘削のシステム

ライザー掘削とライザーレス掘削のシステム

ライザー掘削孔のターゲット

ライザー掘削孔のターゲット

「海底下の大河」の「河口」を掘削し、世界初の人工熱水噴出孔を作る

沖縄熱水海底下の掘削計画については高井研氏が説明した。1993年、デミングとバロスという二人の研究者は海底熱水噴出孔には多くの生物がいるだろうと予測した。高井氏はこの仮説を引き継いで研究している(本誌の以前の記事「JAMSTEC、最古の「持続的生命」の起源を探るプレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットの研究概要を発表」も合わせてお読み頂きたい)。地球最大の生命圏が海底の下に眠っているという。いっぽう、生存可能条件で見ると、海底下生命圏の大部分の微生物は、境界領域に存在する「ギリギリ生命」だ。その誰もまだ確認したことがない熱水噴出孔直下の生命圏を、直接掘って調べようというのが今回の研究の目標である。

米国の研究者が中心となって唱えている仮説に、海底下に海があるという説がある。太平洋の下に海のような水の広がった空間があるという仮説だ。いっぽう高井氏らは、これに対して「海底下の大河」という説を提唱している。水が通りやすいところとそうでないところがあるので、このほうがいいという。

大河というのは比喩ではなく、実際に河があると考えている。陸上の河川は多くの栄養分を浸食によって運び、河口域で豊かな生態系を育む。それと同様に、「海底下の大河」も海底下の間隙を通っていくうちに、様々な有機物を運んでいると考えているという。

海底下の大河

今回の研究は、その「海底下の河」を実際に掘削する第一歩となるものだ。高井氏らは、硫黄、メタン、水素、鉄と4つの栄養源からなる「大河」を考えているが、今回の掘削のターゲットである沖縄海底熱水鉱床はメタンが豊富な「メタンの大河」だと考えられているという。また今回の掘削では熱水鉱床近くを掘るが、将来的には30km西側あたりから流れ込んで来ており,ヒートソースとしての熱水鉱床を上がって来ていると考えているその河の全容を上流から下流まで掘ろうと思っているそうだ。

掘削ターゲットの伊平屋北フィールド

掘削ターゲットの伊平屋北フィールド

「河口域」に相当すると考えている今回の掘削においては、熱水が吹いている硫化物のマウンド部分を掘る。「マウンドのなかにはわんさか微生物がいるはず」だという。そして、掘削後にはステンレス製のケーシング(管)を埋めて世界初の人工熱水噴出孔にする。一回掘ったところにどのように生物が集まってきてコロニーを作るのかも今後は調べて行く計画だ。同時に、JAMSTECの「なつしま」と「ハイパードルフィン」を使って、掘削直後の映像をおさめる予定だ。

なお普通の掘削では「ガイドベース」を海底面に設置してドリルビットを誘導するが、マウンドは面積がないので、直掘するしかない。本当はチタン製にしたかったというステンレス製のケーシングはパイプのなかに海水が逆流するようなことがなければ、硫酸カルシウムの沈殿が起きることもなく、10年くらいは保つと考えられるそうだ。高井氏らは人工熱水噴出孔で観測を行いながら、「海底下の大河」の全容の解明を進める。

沖縄熱水海底下生命圏掘削 調査海域図

沖縄熱水海底下生命圏掘削 調査海域図

沖縄熱水海底下生命圏掘削 3D高精度地震探査による掘削海域の海底地形と海底下構造

沖縄熱水海底下生命圏掘削 3D高精度地震探査による掘削海域の海底地形と海底下構造

会見での質問は微生物生態系の高井氏に集中し、記者たちの注目の高さが感じられた。


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地球中心の超高圧高温状態(364万気圧・5,500度)をレーザー加熱ダイヤモンドアンビルで実現 地球内部のあらゆる物質が人工合成可能に

引用元: プレスリリース<JAMSTECについて<独立行政法人海洋研究開発機構.

独立行政法人海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域の廣瀬敬招聘上席研究員、巽好幸プログラムディレクター、東京工業大学の舘野繁彦特任助教、及び財団法人高輝度光科学研究センター利用研究促進部門の高田昌樹部門長・大石泰生主幹研究員らは、レーザー加熱ダイヤモンドアンビル装置を使って、地球の中心に相当する超高圧・超高温の状態(364万気圧、5,500度)を実験室内で実現することに、世界で初めて成功した。

この技術により、地上にある物質を用いて地球内部に存在するあらゆる物質を人工的に合成することが初めて可能になったという。

地球(半径6,400km)の内部は、何層にもわたる成層構造を成す。ケイ酸塩により構成される岩石からなる地殻の厚さは5 kmから30km。地殻の下は固体の岩石からなるマントルがあり、深さ2,900km(136万気圧)まで続く。マントルの内側には金属コアが存在し、深さ5,100km(329万気圧)までが液体コア(外核)、中心部には固体コア(内核)がある。

地球の断面図と内部の圧力温度

地球の断面図と内部の圧力温度

ダイヤモンド鉱山などでは、深さ200km程度までの部分からマグマと一緒に上がってきた岩石を見つけることができる。だが、それより深い部分から岩石を手にすることはできない。そこで高圧高温実験で200kmより深い部分の岩石や金属を人工的に合成し、その性質を調べる研究が行われている。地球の内部の構造や地球の成り立ちを理解するには、このような高圧高温実験がきわめて重要だ。

しかしながら地球内部は中心は364万気圧、5,000度以上にも達する。その超高圧高温状態を実験で実現することには成功していなかった。そのため地球の金属コアについてはまだまだ多くの謎が残されており、さまざまな物性予測や地震学的データの解釈に必要な結晶構造の情報すら得られていなかった。

超高圧超高温発生の技術開発には「レーザー加熱ダイヤモンドアンビル装置」が使われて来た。ダイヤモンドアンビルは向かい合わせた二つのダイヤモンドの間に試料を挟み圧力を発生させる装置。高い静的圧力を発生することができる。さらにダイヤモンドを通して試料に近赤外レーザーを照射することにより、超高圧下で超高温を発生させることができる。

レーザー加熱ダイヤモンドアンビル装置

レーザー加熱ダイヤモンドアンビル装置

ダイヤモンドアンビル (側面)

ダイヤモンドアンビル (側面)

約10年間、ダイヤモンドの先端部の形状に工夫を加えたり、部品の加工精度を1ミクロン以下に抑えるなどの努力を積み重ねてきた結果、今回、ついに364万気圧・5,500度という超高圧超高温の発生に世界で初めて成功した。これまでの記録は300万気圧・1,700度であり、これも今回の研究グループが2005年に達成したものだった。

今回は、ダイヤモンドの先端の平坦部(直径40ミクロンのほぼ円形)に20 ミクロンの試料をつめて実験を行った。極微小試料の分析は難しかったが大型放射光施設「SPring-8」の高輝度X線を用いることにより、構造解析が可能となったという。

今回、地球中心に相当する364万気圧・5,500度に至る、超高圧超高温実験に成功したことで、地球中心はおろか、固体コア(内核)の圧力温度が実現され、地球内部すべての圧力・温度状態を実験室内で実現することが可能となった。

超高圧高温の発生

超高圧高温の発生

地球の液体コア(外核)に10%ほど含まれているとされる軽元素(水素、炭素、酸素、ケイ素、硫黄など)の成分は50年以上議論されているが、未だにわかっていない。これら軽元素は地球形成時にコアに取り込まれたものと考えられるため、その正体をつきとめることで地球形成のシナリオ作りに大きく貢献でき、コアの圧力温度を直接実現した実験を行うことは、それらを理解するための最も有効な手段だという。

また、近年次々と発見される太陽系外の地球型惑星(スーパーアース)や、木星、土星などの巨大ガス惑星の内部構造やダイナミクスの解明にも役立てることができるとしている。


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JAMSTEC、最古の「持続的生命」の起源を探るプレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットの研究概要を発表

JAMSTEC 高井研 氏

JAMSTEC プレカンブリアンエコシステムラボラトリー・ユニットリーダー 高井研 氏

 原初の生命は、いまもインド洋の中央海嶺下に生きている—-。海洋研究開発機構(JAMSTEC)プレカンブリアンエコシステムラボラトリー・ユニットリーダーの高井研氏らは、そう考えている。

「生命は何万回も生まれて何万回も死んだ。だがその中でたった一回だけ、持続して生き残った生命があった」(高井氏)

 高井氏は2002年にインド洋中央海嶺東軸に位置する「かいれいフィールド」で、ハイパースライム(HyperSLiME、超好熱地殻内化学合成独立栄養微生物生態系)という超好熱性の水素酸化メタン生成細菌群を発見した。水深2450m、世界最高温条件の熱水環境で、水素をエネルギー源とする特異な生態系だ。これが地球最古の生態系の生き残り、あるいはよく似たものだと考えられるという。

 「かいれいフィールド」のハイパースライムは遺伝的にも最古の系統を持っている。だが、それだけが最古の生態系の同類だと考えた理由ではない。一つは、地球化学的な理由から、原初の生命は超好熱性で水素をエネルギー源としていたと考えられるからだ。そしてもう一つは、「かいれいフィールド」の環境が、地球誕生から約40億年くらい前まで、いわゆる冥王代の地球と似ていると考えているからだ。

ハイパースライム仮説

ハイパースライム仮説

 熱水噴出孔が生命の起源だとする学説は1970年代からある。だが一言で熱水噴出孔といっても「これまでに発見されている350個、どれ一つとして同じ物はない」(高井氏)。異なる深海熱水噴出孔ではエネルギー源、炭素源が異なり、そのため異なる微生物生態系が構成される。

 熱水の起源は海水だ。海水が海洋底の岩石に浸透し、マグマによって温められて噴出する。熱水の組成は、原料である海水の組成としみ込む岩石の種類によって決まる。中村謙太郎研究員は、熱水の違いを料理の「だし」に例える。海水の組成が同じであっても、どの岩石を煮出すかによって、熱水の成分は変わるのだ。温泉の成分が異なるようなものである。

熱水の成分は、海水と岩石の組成で決まる

熱水の成分は、海水と岩石の組成で決まる

 問題はどのような熱水噴出孔が生命の起源となったかだ。高井氏らは、代謝系の進化や系統学的な考察から、原始生態系が誕生し生きながらえたのは、水素が豊富な熱水環境だったと考えている。そして、ハイパースライムは、水素濃度がどこよりも高い熱水環境である「かいれいフィールド」でしか発見されていない。ハイパースライムが原初の生態系の類似だと考える理由の一つも、ここにある。

 なぜ「かいれいフィールド」の水素濃度は高いのか。そのカギが「超マフィック岩」だ。地球深部のマントルかんらん岩に起源を持つマグマが浅部に上昇してできる、酸化マグネシウムに富む岩石である。この岩が熱水循環の中にあれば、熱水中の高い水素濃度が説明できる。

かいれいフィールドの熱水は超マフィック岩によって高濃度水素を含む

かいれいフィールドの熱水は超マフィック岩によって高濃度水素を含む

 超マフィック岩は、初期地球では豊富だったと考えられている岩石「コマチアイト」と似た組成の岩石である。コマチアイトは、マントルが大規模な部分溶融をしてできた岩石だと考えられている。つまり若く熱かった原初の地球の深海熱水噴出孔の環境に「かいれいフィールド」は似ていると考えられるのだ。

 ところが実際の「かいれいフィールド」そのものには、ごく普通の玄武岩しかなかった。超マフィック岩は世界でも数カ所でしか発見されていないのである。だが高井氏らは「かいれいフィールド」熱水循環には超マフィック岩が存在しているに違いないと考えた。そして「しんかい6500」による「かいれいフィールド」広域地質調査の結果、東側の「ウラニワヒルズ」に実際に超マフィック岩が分布していることが分かった。この超マフィック岩が「かいれいフィールド」の高濃度水素を生み出していると高井氏らは考えている。

 ここまでの説明のなかにも様々な分野の知見が登場した。高井氏らは地質学や微生物進化系統学、有機化学など様々な分野にまたがる知見を統一的に理解するために「UltraH3(ウルトラHキューブ)リンケージ」仮説を提唱している。ウルトラHキューブとは「超マフィック岩ー熱水活動ー水素生成ーハイパースライム」の略である。地球全体が熱かった冥王代においては普遍的だったこの環境が、深海熱水で誕生した生命を持続可能にしたという仮説である。

 コマチアイトによる熱水活動は現世の地球にはなく、コマチアイト自体も25億年前より新しい岩石は発見されていない。だがオーストラリアや南アフリアには太古の熱水活動の痕跡が地層のなかに残されている。プレカンブリアンエコシステムラボラトリーでは、コマチアイトを再現し、実際にどのような環境が生成されるのかを300度、500気圧の環境を再現できる熱水実験装置を使って確認している。初期生態系を支えるのに十分な水素を含んだ熱水環境ができることは既に実証された。

 さらに原始海水の状態も再現しようとしている。初期地球では海水の組成が異なるからだ。

 「ブラックスモーカー」と呼ばれている現在の熱水噴出孔は黒い。だが地質調査などから得られた証拠から、冥王代のあと、太古代(約38億年前から約25億年前まで)の初期の熱水噴出孔は、シリカの粒子を吹き出しており、白かったのではないかと渋谷岳造研究員は考えている。地質学的な証拠や実験も重要な手段である。

 高井氏は、プレカンブリアンエコシステムラボラトリーの研究目標を「なぜ地球がこれだけ生命に満ち溢れた星になりえたのかを明らかにすること」としている。生命の進化を、イベントごとの「点」ではなく、「流れる映画のようなストーリーとして解明したい」という。

 地球と生命との間には、相互作用がある。両者は互いに影響を与えあい、変化し続けて来た。

 これまでの地球と生命の相互作用の研究は、化石記録が残っている多細胞生物出現以降、すなわち6億年前以降にスポットがあてられていた。しかし地球と生命の相互作用システム、すなわち生命のエネルギー代謝システムのほとんどのメカニズムは、多細胞生物が出現する前に既に完成されており、そのメカニズムこそが、地球が生命に満ちあふれた星になった理由であるはずだという。高井氏はこの原始地球生命システムの初期進化のことを「先カンブリア大爆発」と呼んでいる。

 プレカンブリアンエコシステムラボラトリーの目的は、岩石学、テクトニクス学、岩石変質学、地球化学、同位体地球化学、微生物学などの知見を分野を横断して集めることで、「先カンブリア大爆発」を解明することだと言える。

 以前は、高井氏が言うには「最下層の研究者から」立ち上げた、まさにボトムアップ型のゲリラ的な研究グループだったが、2009年4月からはJAMSTECの正式な研究組織となった。若く熱い研究者たちによる、40億年前の地球生命誕生時代の本格的な研究が始まろうとしている。


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早稲田大学チリ津波調査隊を現地に派遣 津波被災の実態を調査

早稲田大学理工学術院の海岸環境・防災研究室(柴山知也研究室)は、2月27日に発生したチリ地震津波の災害調査のため、柴山知也教授を隊長とする「チリ津波調査隊」を4月2日~11日の予定で、現地に派遣する。

チリ第2の都市で震源地に近いコンセプシオン(Concepcion)をはじめとする沿岸域で津波被災の実態を調査する予定。

昨年9月に発生したサモア諸島沖地震津波の際にも同様の調査を行い、津波高さの測定、被災状況や避難行動の分析などに成果を上げた。

海岸環境・防災研究室は、沿岸地域の開発・利用について、環境との共生を目指した防災や建設のあり方に関する教育研究を行っている。

柴山教授は、2004年インド洋大津波、2005年ハリケーン・カトリーナ高潮(アメリカ)、2006年ジャワ島中部地震津波(インドネシア)、 2007年サイクロン・シドル高潮(バングラデシュ)、2008年サイクロン・ ナルギス高潮(ミャンマー)、2009年サモア諸島沖地震津波でも調査隊長を務め、被災直後の調査に当たった。

◆早稲田大学チリ津波調査隊

派遣期間:

2010年4月2日(金)~4月11日(日)
予  定:

4/3-4/4、4/9 チリ大学(早稲田大学海外協定校)との共同研究
4/5-4/9    コンセプシオン カトリック大学との共同現地調査
(Constituci?n, Curanipe, Pelluhue, Penco, Tom?, Dichato, Cobquecura, Talcahuano, Tumbes などを調査)
4/8午後   地元大学、行政機関、住民団体との共同セミナー実施
メンバー:

柴山知也教授(早稲田大学理工学術院)
Miguel Esteban講師(早稲田大学理工学術院)
他大学院生2名


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丹沢では新たな大陸地殻が形成されている 大陸地殻成長過程での「島弧−島弧衝突帯」の役割が明らかに JAMSTEC

丹沢複合深成岩体の位置と本研究で得られたジルコン・ウラン−鉛加重平均年代 (Kawate and Arima 1998の地質図に基づく)  岩体内の広範囲で試料採取し年代測定を行った結果、丹沢複合深成岩体の大部分は今から約500〜400万年前に形成されたことがわかった。これは丹沢地塊の衝突開始時期(約700万年前)よりも後であり、岩体を形成したマグマが衝突に伴って発生したことを示す。

丹沢複合深成岩体の位置と本研究で得られたジルコン・ウラン−鉛加重平均年代 (Kawate and Arima 1998の地質図に基づく) 岩体内の広範囲で試料採取し年代測定を行った結果、丹沢複合深成岩体の大部分は今から約500〜400万年前に形成されたことがわかった。これは丹沢地塊の衝突開始時期(約700万年前)よりも後であり、岩体を形成したマグマが衝突に伴って発生したことを示す。

プレスリリース<JAMSTECについて<独立行政法人海洋研究開発機構.

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球内部ダイナミクス領域の谷健一郎技術研究副主任らは、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所などと共同で、若い島孤地殻の形成年代を高精度に測定する手法を開発し、その代表例である「伊豆衝突帯」の「丹沢複合深成岩体」の年代測定に成功した。測定の結果、衝突の過程で新たにマグマ活動が起こって大陸地殻組成が進化していく過程を現世の衝突帯で初めて解明したという。

今回の成果で、島弧同士の衝突が大陸地殻の成長に重要な役割を果たしていることが明らかになった。島弧−島弧衝突帯における大陸地殻の成長過程を明らかにしたこの成果は、同様の島弧−島弧衝突が頻繁に起こっていたとされる地球創成期の大陸成長過程を解明する上で重要な鍵となるとしている。アメリカ地質学会発行の「Geology」誌に掲載される。

現在の地球表層は、主に花崗岩からなる大陸地殻と玄武岩からなる海洋地殻によって覆われている。だが誕生初期の地球表層は大部分が海洋地殻で覆われていた。そして海洋地殻が地球深部へと沈み込む「沈み込み帯」である「島弧(とうこ)」で、徐々に大陸地殻が形成されて、現在のような姿に成長してきたと考えられている。

島弧で形成された地殻が巨大な大陸までに発達するためには、島弧同士が衝突して合体する過程を繰り返す必要がある。地球創成期にはこのような衝突が頻繁に起こっていたと考えられている。だがこれまでその実態はわかっていなかった。

これまでのJAMSTECの研究で、「伊豆・小笠原弧」のような、海洋地殻が別の海洋地殻の下に沈み込むことで形成された「海洋性島弧」では、現在も地下深部で大陸地殻が誕生していることが明らかになりつつある。また「伊豆・小笠原弧」の北端は、フィリピン海プレートの北上と共に本州弧と衝突しており(伊豆衝突帯)、世界で唯一、現在進行形で「島弧−島弧衝突」が起こっている場所だと考えられている。

つまり「伊豆・小笠原弧」および「伊豆衝突帯」は、地球創成期に起こった大陸地殻の形成過程と、島弧同士の衝突によって大陸が成長していく過程を同時に研究できる貴重な研究フィールドだと考えられている。中でも、地表に露出している「丹沢複合深成岩体(伊豆衝突帯内の神奈川県丹沢山地南部に露出している花崗岩質岩体)」は大陸地殻成長過程を解明する上で重要な鍵を握っている。

主に花崗岩からなる丹沢複合深成岩体は、これまで様々な研究が行われてきた結果、伊豆・小笠原弧の深部花崗岩質地質が衝突に伴って隆起・露出したものだとされてきた。だが若い地殻岩石の形成年代を測定するのは従来の分析手法では困難でり、いつ、どのように形成されていったかなど形成過程が解っていなかった。

研究グループは国立極地研究所の高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP-II)を使って、丹沢複合深成岩体の花崗岩・ハンレイ岩に含まれるジルコンを使ったウラン−鉛年代測定を行った。

ジルコンは放射性核種であるウランに富んだ鉱物で、ウランが時間の経過と共に放射壊変して生じる鉛の同位体比を精密に分析することで、そのジルコンを含んだ岩石の形成年代を測定する手法。高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP‐II)を用いることでジルコン結晶上の半径数十ミクロンの領域での年代を測定することができる。

ジルコンは放射性核種であるウランに富んだ鉱物で、ウランが時間の経過と共に放射壊変して生じる鉛の同位体比を精密に分析することで、そのジルコンを含んだ岩石の形成年代を測定する手法。高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP‐II)を用いることでジルコン結晶上の半径数十ミクロンの領域での年代を測定することができる。

ジルコン・ウラン−鉛年代測定法は他の年代測定法と比べて、花崗岩のような地殻岩石の形成年代をより正確・精密に年代決定できる。今回の研究では分析手法や試料調整法を改良することで、より若い、数百万年前に形成された岩石の年代測定が可能となった。また丹沢複合深成岩体のマグマ生成環境を明らかにするために、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICP-MS)を使って、丹沢複合深成岩体のジルコン結晶の微量元素組成分析を行った。

その年代測定結果から、丹沢複合深成岩体の大部分は伊豆・小笠原弧が本州弧に衝突した後の500万年前から400万年前のマグマ活動によって形成されたことが明らかになった。これは丹沢が従来考えられていたような「伊豆・小笠原弧」の深部地殻断面が衝突によって隆起・露出したものではなく、島弧同士の衝突によってマグマが発生して新たに花崗岩質地殻が形成され、大陸が成長していることを示している。

さらに今回の結果から丹沢複合深成岩体の冷却速度を計算すると、マグマ形成後に最高で100万年の間に約660℃ の温度低下という急速な冷却が起こっていたがわかった。これは深成岩としては世界的にみても非常に早い冷却速度であり、衝突に伴って花崗岩質マグマが形成された後、マグマが急速に上昇・固結したことを物語っている。

丹沢複合深成岩体周辺の堆積岩は約700万年前に本州弧に衝突を開始した伊豆・小笠原弧のブロック(丹沢地塊)だとされているので、衝突開始後わずか200〜300万年の間に花崗岩質マグマが発生して上昇・固結したことになる。この結果から、島弧−島弧衝突帯における地殻の成長速度が非常に早いことが分かった。

またジルコンの微量元素組成分析から、丹沢複合深成岩体を形成したマグマの原料には伊豆・小笠原弧の地殻物質に加えて、大陸地殻からなる本州弧由来の堆積物の影響もあることが判明した。このことは島弧−島弧衝突帯における新たなマグマ活動によって伊豆・小笠原弧で形成された島孤地殻が改変され、大陸地殻的な特徴をもった花崗岩質マグマが発生し、大陸地殻組成が進化していることを示す。

伊豆衝突帯の南北断面図(モデル)

伊豆衝突帯の南北断面図(モデル)

今回の結果は、丹沢山地は地球創成期と似た島弧−島弧衝突によって現在大陸が成長している現場であることを示しているもので、地球上の他の衝突帯における大陸成長過程を解明する上で今後重要な比較対象になると考えられるという。

またJAMSTECでは、地球深部探査船「ちきゅう」による「伊豆・小笠原島弧」地殻の超深度掘削を提案している。実現すれば既存の大陸地殻の影響がない、現在成長しつつある花崗岩質地殻を直接採取できる。このような出来たばかりの島弧地殻と丹沢複合深成岩体のような島弧−島弧衝突帯で成長した地殻を比較して研究することで、地球創世期における大陸地殻成長過程の全容を明らかにできると期待されるという。


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地球外核の対流構造に円筒状の帯状流を発見 地球シミュレータ

外核内の対流構造。北極側から見た赤道面上の、渦度の回転軸方向成分を表す。赤が正、青が負の値を示している。(a)は低粘性モデルの場合。対流構造はある距離まで、動径方向に細長く伸びた、空間スケールの小さいシート状の構造を示す(実線の矢印部分)が、そこから対流構造が大きく変化し、経度方向に沿った構造が卓越した、空間スケールの大きい構造が形成されている(破線の矢印部分)。(b)より粘性が高い場合のモデル。a.で見られるような、2重対流構造は見られない。

外核内の対流構造。北極側から見た赤道面上の、渦度の回転軸方向成分を表す。赤が正、青が負の値を示している。(a)は低粘性モデルの場合。対流構造はある距離まで、動径方向に細長く伸びた、空間スケールの小さいシート状の構造を示す(実線の矢印部分)が、そこから対流構造が大きく変化し、経度方向に沿った構造が卓越した、空間スケールの大きい構造が形成されている(破線の矢印部分)。(b)より粘性が高い場合のモデル。a.で見られるような、2重対流構造は見られない。

プレスリリース<JAMSTECについて<独立行政法人海洋研究開発機構.

独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球内部ダイナミクス領域の宮腰剛広研究員と国立大学法人神戸大学大学院工学研究科の陰山聡教授らは、地球シミュレータを用いた計算機シミュレーションにより、地球外核の新しい対流構造を発見したと発表した。

これまでに分かっていたシート状の形をした動径方向の流れ成分が卓越する構造よりもマントルに近い領域で、ほとんど経度方向(西向き)の成分しかもたない帯状の流れが卓越する構造。地球磁場生成のメカニズムの解明に向けた基盤的なシミュレーション研究として大きな一歩であると言えるという。2月11日付けの英国科学雑誌ネイチャーに掲載された。

地球表面から深さ約3000km〜5000kmの部分は外核と呼ばれ、数千度で溶融状態になった流体鉄が主な成分と考えられており、対流していると考えられている。地球は磁場を持っているので、流体鉄がその中を対流運動によって動くと電流が流れる。その電流が元々ある磁場を強めるように流れれば、このサイクルを繰り返す事で磁場は散逸されず維持出来るようになる。地球外核内で起電力を発生させ地球磁場を維持する機構の事を「地球ダイナモ」と呼ぶ。

地球ダイナモの詳しいメカニズムはよく分かっていない。特に地球外核は粘性率が低く、流体運動をシミュレーションしようとすると、より高い解像度が要求されるので、計算の困難さは飛躍的に増大しているのが現状だという。

研究グループは独自に考案した「インヤン格子(球を合同な二つの部分(「イン」と「ヤン」)に分け、それらを別々に計算し、相補的に組み合わせることで球全体を解くという格子系。野球の硬球が二つの合同な布を組み合わせて作られているのと似ている)」という新しい計算格子を使用し、地球シミュレータを用いて、これまでで最も高解像度で地球ダイナモの計算機シミュレーションを行った。

その結果、これまでたくさんの円柱状の渦の集まりになると考えられていた地球外核の対流構造は、カーテンのように薄いシート状であることが明らかになっていた。

今回、さらに高解像度シミュレーションを行った結果、外核の対流構造はシート状のものだけでなく、特徴の違う2種類の流れから成る2重対流構造を形成する事が分かった。

外核の中でも内核により近い領域では、動径方向の流れ成分が卓越し、細い上昇と下降運動が交互に並ぶ流れ(3次元的にはシート状の流れ)が形成されるのに対し、マントルにより近い領域では、経度方向の流れ成分が卓越し、西向きの帯状流れが形成される事が分かった(図2)(3次元的には、帯状の流れが南北に一様に形成されているという、円筒状の構造になる(図3)。

図2. 低粘性モデルの場合の、流れ場の様子。特徴の異なる2種類の流れから成る2重対流構造が形成されている。(a)北極側から見た赤道面上の流れの様子を、色のついた矢印の集合で表したもの。中心の白い球は内核。(b) a.での白い実線枠内を拡大したもの。マントルに近いこの領域では西向きの経度方向の流れが卓越している事が分かる。(c) a. の破線枠内を拡大したもの。内核に近いこの領域では、動径方向の向きの流れが卓越している。

図2. 低粘性モデルの場合の、流れ場の様子。特徴の異なる2種類の流れから成る2重対流構造が形成されている。(a)北極側から見た赤道面上の流れの様子を、色のついた矢印の集合で表したもの。中心の白い球は内核。(b) a.での白い実線枠内を拡大したもの。マントルに近いこの領域では西向きの経度方向の流れが卓越している事が分かる。(c) a. の破線枠内を拡大したもの。内核に近いこの領域では、動径方向の向きの流れが卓越している。

図3. 対流の3次元構造。図の上方向が北極側を、下方向が南極側を表す。赤と青の面はそれぞれ、渦度の回転軸方向成分の正、負の値の等値面を表す。図1aの、赤、青に対応している。図1で赤道面で見ると細く絞られた流れに見えていたものが、3次元的には回転軸方向に構造がほとんど変化しない、薄いシート状の流れになっている事が分かる。黄色い線は流線を表す。シート状流の外側では経度方向の流れ(帯状流)が卓越し、シート流をぐるりと取り囲むような流れが形成されている事が分かる。シート流と同様に、回転軸方向には流れ構造はほとんど変化せず、3次元的には円筒状の帯状流が形成されている。

図3. 対流の3次元構造。図の上方向が北極側を、下方向が南極側を表す。赤と青の面はそれぞれ、渦度の回転軸方向成分の正、負の値の等値面を表す。図1aの、赤、青に対応している。図1で赤道面で見ると細く絞られた流れに見えていたものが、3次元的には回転軸方向に構造がほとんど変化しない、薄いシート状の流れになっている事が分かる。黄色い線は流線を表す。シート状流の外側では経度方向の流れ(帯状流)が卓越し、シート流をぐるりと取り囲むような流れが形成されている事が分かる。シート流と同様に、回転軸方向には流れ構造はほとんど変化せず、3次元的には円筒状の帯状流が形成されている。

また、マントルにより近い領域は空間スケールの大きい流れが支配的であるのに対し、内核に近い領域ではスケールの小さい流れが支配的であり、かつ流れが大きく、強いダイナモ(発電機)作用が生じることが分かった。このような帯状の流れを伴う2重対流構造は、今回行った低粘性の領域において特に顕著に現れてくることも分かった。

地球磁場は、太陽からの荷電粒子の高速流(太陽風)や、宇宙線と呼ばれる高エネルギー粒子が地球の大気に直撃するのを防ぐ役割も果たしており、地球環境と密接な関係がある。地球表層環境とマントル活動、マントル活動と地球中心の流体核(外核)はお互いの境界を通じて関係し合っており、地球内部の動的挙動(ダイナミクス)を統一的に理解する上でも外核の挙動の解明は重要だという。今後は、地球中心核にある対流運動だけでなく、それらの運動とマントル活動がどのように関係し合っているかなど、地球内部の動的挙動(ダイナミクス)の解明に向けて研究を進めていくとしている。

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月や太陽の引力が巨大地震発生の「最後の引き金」に

図1)地球潮汐と地震発生時刻の関係。地球潮汐による力が断層の滑りを促進する方向に最も強く働く時刻(▲)前後に地震が集中して発生する傾向が見られる(曲線は傾向をならしたもの)。

図1)地球潮汐と地震発生時刻の関係。地球潮汐による力が断層の滑りを促進する方向に最も強く働く時刻(▲)前後に地震が集中して発生する傾向が見られる(曲線は傾向をならしたもの)。

防災科学技術研究所 リリースpdf.

独立行政法人防災科学技術研究所 地震研究部特別研究員 田中佐千子氏らは、月や太陽の引力が地震の発生に強く関わっている可能性が高いと発表した。スマトラ島沖の巨大地震(2004年12月26日)の前後に周辺地域で発生した地震を調査して明らかにした。引力の影響は巨大地震が近づくと次第に強く現れ、巨大地震の後には再び無くなる。地殻のひずみが十分にたまったときに、月や太陽の引力が地震発生の最後の引き金になると考えられるという。12月15日にAGU(米国地球物理学連合)のGeophysical Research Lettersにおいてオンライン掲載された。

月や太陽の引力は海水に働き、潮の干満を生じさせる。これらの力は地球自身にも働き、地球を1日2回大きく変形させる。この現象は「地球潮汐」と呼ばれ、変形した地球の内部には数十~数百ヘクトパスカルの力が加わる。

研究グループは2004年12月26日、甚大な津波被害をもたらしたスマトラ島沖地震(マグニチュード9.0)の前後に周辺地域で発生した地震と地球潮汐の関係を調査した。その結果、地球潮汐による力が最大となる時刻前後に地震が集中していたことが明らかになった。

この相関関係は1995年ごろから次第に強く現れ、スマトラ沖地震の発生を境に消滅した(図2)。スマトラ島沖で発生した他の2つの巨大地震(マグニチュード8.6および8.5)でも同様の傾向が確認できたという。

図2 地球潮汐と地震発生時刻の相関関係の強弱を表わす指標pの時間的推移。pは0~100%の値をとり、小さい値ほど相関関係が強く、地球潮汐による力のピークに地震が集中していることを表す。1976年以降、pは100%に近い値をとり、地球潮汐の影響はなかったが、1995年ごろから徐々に低下し、スマトラ沖地震の直前には顕著な相関関係が存在していた。スマトラ沖地震の後には再び大きくなり、相関が低い状態に戻っている。

図2 地球潮汐と地震発生時刻の相関関係の強弱を表わす指標pの時間的推移。pは0~100%の値をとり、小さい値ほど相関関係が強く、地球潮汐による力のピークに地震が集中していることを表す。1976年以降、pは100%に近い値をとり、地球潮汐の影響はなかったが、1995年ごろから徐々に低下し、スマトラ沖地震の直前には顕著な相関関係が存在していた。スマトラ沖地震の後には再び大きくなり、相関が低い状態に戻っている。

地球潮汐による力は地震を引き起こす地殻のひずみの千分の一程度に過ぎないが、今回の結果は、地殻のひずみが十分にたまった巨大地震発生直前に限り、地球潮汐による微小な力が地震発生の「最後の一押し」として作用することを示しているという。将来、巨大地震の長期的予測にも役立つ可能性が期待されるとしている。

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日本のJAXA、NICTによるハイチ地震関連のデータ提供

それぞれ、下記のリンク先でリリースが上がっています。

未だ、被害が大きすぎて全貌が分かってないようです。

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