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発見された細菌「GFAJ-1」。  Credit: Jodi Switzer Blum

発見された細菌「GFAJ-1」。  Credit: Jodi Switzer Blum

NASA – NASA-Funded Research Discovers Life Built With Toxic Chemical.

既に広く報道されているとおりですが、NASAが「リン」の代わりに、有毒物質である「ヒ素」を使うことができる可能性が高い微生物をカリフォルニア州のモノ湖(Mono Lake)で発見したと発表しました。これは生物学の教科書を書き換えるような発見であり、これまで考えられていた生物の生存可能性の範囲を大きく広げると考えられます。

今回の発見により、生物の徴候を地球外で探すときには、より広い範囲を、常識に捉われずに探索しなければならなくなりました。

地球の生物は炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄を基本元素として使います。リンはDNAやタンパク質を構成する元素の一つであり、エネルギーを蓄える「ATP」の一部でもあります。そしてリンとヒ素は化学的には非常に似ており,そのためにヒ素は代謝系を混乱させることがあり、多くの生物に対して強い毒性を持っています。これまで、ヒ素を取り込むことができる生物は知られていましたが、自分自身を構成する分子として利用出来るものは知られていませんでした。

今回、非常に高塩濃度で高アルカリ性、そして高レベルの砒素環境であるモノ湖の泥から発見された細菌「GFAJ-1」は、ガンマプロテオバクテリア綱に属する細菌で、リンに乏しい環境から採取されたものです。研究室でリンを徐々にヒ素に置き換えて培養したところ、ヒ素を材料に使うようになったとのこと。

カリフォルニア州 モノ湖

カリフォルニア州 モノ湖

発見したフェリッサ・ウルフ・サイモン(Felisa Wolfe-Simon)氏。

発見したフェリッサ・ウルフ・サイモン(Felisa Wolfe-Simon)氏。 Credit: Henry Bortman

これまでSFでは想定されていたような存在が実在することを確認できたとリリースでも述べられています。なお、この細菌はヒ素だけではなく、リンも使うことができます。

リンを使った「GFAJ-1」

リンを使った「GFAJ-1」 Credit: Jodi Switzer Blum

自分のメルマガ「サイエンス・メール」でも事前に紹介させて頂きましたが,今回のこの発見を、クマムシの研究者である堀川大樹さんが事前にブログ「むしプロ」で予想していました。

さすがです。「生命」の可能性を大きく押し広げた今回の発見の意義についても簡潔に紹介されているので、ご一読を。



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