人工光合成が可能に? 可視光での量子収率およそ90%、リン酸銀の画期的な酸化特性を発見 物材研 実現に大きく一歩前進
可視光照射下でのMB色素の分解実験(左)。Ag 3PO4を用いた場合のMB溶液の色の変化。4分でほぼ完 全に脱色。右はリン酸銀Ag3PO4
人工光合成の実現に大きく一歩前進 高活性光触媒材料を発見 – プレスリリース | NIMS.
独立行政法人物質・材料研究機構の光触媒材料センターは、「リン酸銀(Ag3PO4)」が可視光照射下で極めて高い酸化力を発揮する光触媒材料であることを発見した。Nature Materials誌電子版に掲載された。
光触媒材料センターは、リン酸銀の画期的な酸化特性を、水分解による酸素発生試験とメチレンブルーの分解試験により見いだした。酸素発生試験では、他の可視光応答型光触媒の効率を遙かに凌ぎ、しかも,可視光照射下での量子収率は、およそ90%と驚異的な値を示した。同様に、メチレンブルー分解試験においても、光酸化性能が極めて高かったという。
常温で太陽光エネルギーのみを利用して起こり、環境への新たな負荷も少ない光触媒技術は、 太陽エネルギー=水素エネルギー変換技術や環境問題解決の切り札として注目されている。しかしながら、現在、幅広く研究されている二酸化チタン(TiO2)は、太陽光の4%程度である紫外線でしか光触媒反応を起こさない。光触媒技術を有効に活用するには、太陽光の約43%を占める可視光を効果的に利用できる高い可視光活性を持った光触媒材料(可視光応答型光触媒)の開発と、それを用いたシステムの構築が必要となる。
これまで二酸化チタンとは全く異なる新しい可視光活性型の光触媒の開発には多くの努力が注がれ、多数の可視光型光触媒も見出されていたものの、量子収率は概ね数%程度で、実用化を図るには性能が不十分だった。
光触媒材料センターではこれまで、新しい可視光による光触媒特性をもつ材料を研究してきた中で、既存の酸化物であるリン酸銀(Ag3PO4)に着目した。
このリン酸銀は有害化学物質の分解・除去に利用できるだけではなく、光電極システムの薄膜電極材として利用したり、あるいは適切な還元材料と組み合わせて利用したりすることで、水分解による水素製造や二酸化炭素の還元による燃料・資源の合成などへの応用も可能となるという。
また、植物の光合成においても量子効率は93%前後であることから、無機材料においてこれほどの高い量子収率が得られたことは人類の夢である人工光合成の実現に大きく一歩前進したことを意味するとしている。
日刊工業新聞社
売り上げランキング: 243119
ナツメ社
売り上げランキング: 347479
Comments are closed.





