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大阪市立大学 – ニュース – プレスリリース – アルツハイマー病の新しい動物モデル作製に成功.

大阪市立大学大学院医学研究科の富山貴美准教授、森啓教授らの研究グループは、姫路獨協大学、兵庫医療大学、米国ノースウェスタン大学との共同研究で、アルツハイマー病の新しい動物モデルを作製することに成功した。

今回新たに作製されたモデルマウスは、アルツハイマー病の原因と考えられているアミロイド病変である「老人斑」がなくても病気が発症・進行する。老人斑以外の異常脳病理変化が現れることで「老人斑無用説」を提唱している。「Journal of Neuroscience」誌4月7日号に掲載される。

アルツハイマー病は、脳に、「アミロイドβ」の線維状凝集体からなる「老人斑」と呼ばれるシミができる。老人斑ができると、神経細胞内に「神経原線維変化」と呼ばれる「タウ蛋白質」の凝集体ができる。そして神経細胞の機能維持や脳内の清掃をつかさどるグリア細胞が活性化され、炎症反応が起こり、やがて神経細胞が死に始める。これらから、アルツハイマー病は、アミロイドβが脳内で凝集し沈着すること、すなわち老人斑ができることが原因であると考えられていた。

しかし、この仮説には、患者の認知機能の低下と、老人斑の数が一致しないという矛盾があった。

最近の研究により、「アミロイドβ」はアミロイド線維を作る前に、「オリゴマー」と呼ばれる数個~数十個の分子が会合した小さな集合体を形成し、これが脳内を泳ぎ回って神経細胞のシナプスの機能を邪魔することで認知機能の低下が起こると考えられるようになってきた。これを「オリゴマー仮説」という。

オリゴマー仮説は観察結果と整合し、アミロイド仮説の問題点を解決するものとして、現在多くの研究者に支持されているという。しかし、アルツハイマー病の発症に、オリゴマーだけでなく老人斑が共犯として働く可能性が残されていた。

研究グループは彼らがアルツハイマー病患者で見つけた、オリゴマーだけを形成しアミロイド線維は形成しない変異型アミロイドβ(「E693Δ」変異)を持つ新しいトランスジェニックマウスを作製した。

この新しいモデルマウスは老人斑が無くてもアルツハイマー病を発症し進行する。新しいモデルマウスでは、8カ月齢頃から神経細胞内にオリゴマーが蓄積し、それとともにシナプスの機能が低下し、記憶障害に基づく行動異常が現れたという。さらに高齢化してくると、記憶の中枢と考えられている「海馬」で神経原線維変化の前段階である異常リン酸化タウやグリア細胞(アストロサイト、ミクログリア)の活性化や神経細胞の消失も確認できた。念のためマウス寿命に近い24カ月齢のモデルマウスを調べたところ、老人斑は全く存在していなかったという。

富山准教授らは、新世代の認知症薬のターゲットとして、老人斑ではなく、アミロイドβオリゴマーに特化した治療戦略の重要性を提唱している。今回の新しいモデルマウスはアルツハイマー病治療薬開発のための有力なツールとなるものであり、研究成果は100年の歴史をもつアルツハイマー病研究のターニングポイントになると考えられると述べている。


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