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ウナギ完全養殖

平成22年4月8日 (独)水産総合研究センター 世界初の「ウナギの完全養殖」、ついに成功! 〜天然資源に依存しないウナギの生産に道を開く〜

引用元: 独立行政法人水産総合研究センター.

独立行政法人水産総合研究センターは、「ウナギの完全養殖」に成功したと発表した。人工ふ化仔魚から成長したウナギを人為的に成熟させ、採卵・採精を実施し、人工授精、ふ化させ、ついに完全養殖によるウナギの仔魚を得ることに成功した。

実験室生まれのウナギのオスとメスに成熟誘導処理を行って卵および精子を採取し、人工授精したところ3月27日(土)にふ化仔魚を得ることができた。仔魚は順調に発育し、4月2日には摂餌開始を確認。以後、順調に成長を続けているという。これにより「これまで誰も成し遂げなかった悲願の『ウナギの完全養殖』が実現しました」としている。

この成果により、天然資源に依存しないウナギの再生産の道が開かれ、天然のウナギ資源の保護に役立つと共に、「鰻」という日本の食文化を守る重要な技術となることが期待されるという。今後、産卵場での親ウナギや仔稚魚の捕獲調査結果を加えて、成熟技術や餌の開発をより促進する。

ウナギ養殖は、100%天然のシラスウナギの採捕に頼っている。不安定な採捕量による種苗供給と極端な価格の変動が養鰻経営を圧迫している。 さらに、近年、ウナギ資源の急激な減少が危惧されている。天然資源に依存しない完全養殖を実現することは、関係者の悲願だという。

水産総合研究センター養殖研究所は、1998 年に「サメ卵凍結乾燥粉末」がウナギの初期の餌として有効であることを明らかにし、人工ふ化仔魚を全長10mm まで成長させることに世界で初めて成功した。続いて、1999年には餌の改良により250日以上飼育を継続し、全長30mmを越える「レプトセファルス幼生」と呼ばれる仔魚にまで成長させることに成功した。

さらに、飼育装置及び飼料の改良を行った結果、2002年には、ふ化後250日前後で全長55mm前後までレプトセファルス幼生を成長させ、約20日間でシラスウナギに変態させることに成功した。

ウナギ稚魚

その後、人工生産ウナギを親として次世代を誕生させる「完全養殖」を目指して、養殖研究所および志布志栽培漁業センターで実験室生まれのウナギ稚魚の育成を継続。一部の個体については稚魚期にホルモンを投与することによって雌化し、雌雄の親魚候補として育てて来た。これら親魚の候補が、ふ化から2~5年を経過し、全長45~70cmに達したことから、人為催熟が可能と判断して、今年初めからホルモンの反復投与による成熟誘起を開始した。

その結果、雄では4週目から精液が採取でき、人為催熟に成功した。雌は6週目頃から成熟の兆候である腹部の膨満および体重の増加が確認され、催熟開始から8週目の3月26日に排卵誘起に成功し、人工授精によって受精卵がおよそ25万粒得られた。これらの受精卵は正常に発生が進み、翌日昼前からふ化が見られ、その後も順調に発育し、4月2日より給餌飼育を開始、順調に成長を続けているという。また、今後も数個体の人工生産魚雌雄から採卵・採精して人工授精を実施する見通しだという。

ウナギの種苗生産に関して、諸外国では稚魚(シラスウナギ)まで育てることにさえ成功しておらず、国内でも養殖研究所から技術指導を受けた研究機関でのみ稚魚まで育てることに成功しているに過ぎないのが現状だという。同センターが人工生産第2世代の誕生に成功したことは、世界の最先端を独走する研究成果だという。

完全養殖が実現しても、国内のウナギ養殖に必要な億単位の種苗を生産する技術は確立されていない。なので、今すぐに養殖用種苗を人工生産によってまかなえるということにはならない。だがこの成果は、資源の減少が危惧されている天然ウナギに依存せずに飼育下でウナギを再生産できることが示されたという点、飼育環境に適応したウナギを選抜して世代を重ねることによって安定的大量生産技術開発に向けての進歩が期待できるという点で、大きな意義を持っているという。


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