ハンチントン病の遺伝子治療にモデルマウスで成功 理研ほか
異常伸長ポリグルタミンをシャペロン介在性オートファジーで分解する経路。シャペロン介在性オートファジーを利用し、異常伸長ポリグルタミンを分解する経路を考えた。この経路では、異常伸長ポリグルタミンと特異的に結合するQBP1ペプチドとシャペロンHsc70に結合するペプチド(HSC70bm)を融合した融合ペプチドHQ を発現すると、伸長ポリグルタミンとHsc70が複合体を形成して直接ライソゾームに運ばれ、Lamp2aの穴を通ってライソゾームの中に入り、分解される。
ハンチントン病の新しい遺伝子治療に、モデルマウスで初めて成功|2010年 プレスリリース|理化学研究所.
理研脳科学総合研究センター構造神経病理研究チームの貫名信行チームリーダー、ピーター・バウエル研究員、国立精神・神経センター永井義隆室長らは、神経変性疾患の1つで、認知症や不随意運動、行動異常などを引き起こす神経病であるハンチントン病をはじめとした、ポリグルタミン病に対する新しい遺伝子治療にモデルマウスを使って成功した。
病因である異常蓄積したタンパク質とシャペロンと結合させる機能を持つ融合ペプチドを作製し、「シャペロン介在性オートファジー」というタンパク質分解系を活用して、細胞内の小器官であるライソゾームに運ばせて異常タンパク質を分解させた。科学雑誌『Nature Biotechnology』に掲載される。
ハンチントン病に代表されるポリグルタミン病では、原因遺伝子の1部でグルタミンというアミノ酸をコードする3つの塩基配列(C=シトシン、A=アデニン、G=グアニン)が異常に伸長している。具体的には通常ではCAGの繰り返しが20回程度であるのに対し、ポリグルタミン病の場合は40回以上にも伸長している。そして異常に伸びたグルタミン鎖を含む原因遺伝子産物が神経細胞に蓄積し、神経細胞死や機能異常を引き起こすと考えられている。
この方法は、原理的に他の異常タンパク質の細胞内蓄積を特徴とする、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患への応用も期待できるという。
異常タンパク質の細胞内蓄積を特徴とする神経変性疾患への応用。アルツハイマー病におけるタウやパーキンソン病のαシヌクレイン、筋萎縮性側索硬化症のTDP43などに特異的に結合するペプチドや化合物と、シャペロンHsc70に特異的に結合するペプチドや化合物を組み合わせることにより、細胞内異常タンパク質蓄積を抑える。その結果、病気の発症を抑えることが可能になるものと期待される。
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