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福岡大学医学部再生・移植医学(安波洋一教授)研究グループと、理研免疫・アレルギー科学総合研究センター免疫制御研究グループの谷口克グループディレクターらは共同で、糖尿病の重篤な患者の根本的な治療法と期待されている膵島(すいとう)細胞の肝臓内移植の際に起こる拒絶反応メカニズムに、核内タンパク質として知られている「HMGB1」がかかわっていることを突き止めた。

さらに、血中のHMGB1量を測定し移植拒絶反応の発症を判定する方法や、HMGB1抗体の投与による重症糖尿病の治療法をマウス実験で確立した。米国の科学雑誌『The Journal of Clinical Investigation』に掲載される。

国内約890万人の糖尿病患者のうち、生涯インスリンを注射し続けなければない重症患者は約10万人。インスリン注射から解放される方法として注目されているのが、インスリンを産生する膵島細胞を糖尿病患者の肝臓内に移植する膵島細胞移植だ。しかし、膵島細胞移植は他人の組織を移植するために、発生する拒絶反応が大きな障害となる。そのため免疫抑制剤を使用するが、移植後数時間で起こる早期拒絶反応によって、移植した膵島細胞が破壊されてしまい、移植効果が小さく、数回の移植を行う必要があった。このため、膵島細胞移植を成功させるためには、移植早期拒絶反応を制御することが最も重要な課題となっている。

今回、研究グループは糖尿病モデルマウスを使い、これまで核内タンパク質として知られていたHMGB1が細胞外に放出されると移植膵島細胞の早期拒絶反応を引き起こすこと、そして膵島細胞がHMGB1を大量に放出する細胞であることを発見した。

さらにこの知見を利用して、血中のHMGB1量を測定し、早期移植拒絶反応の発症を判定するシステムの開発やHMGB1抗体の投与によって、移植膵島細胞の早期拒絶反応を回避する治療法の確立に成功し、これまでの移植効率の約4倍へと飛躍的に改善した。

この膵島細胞移植早期拒絶反応メカニズムは、ヒトでも存在する。HMGB1抗体を用いると、膵島細胞移植が効率的に進み、重症糖尿病の根本治療となることが期待できるという。膵島細胞移植は肝臓の門脈内注射で治療を行うことができる。そのため体への負担も少なく、頻繁に注射する必要のあるインスリン注射に代わる根本的な治療法となる可能性があるとしている。