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二光子励起カルシウムイメージングの方法(左上)と結果の一部  左下:臨界期を過ぎた生後50日から57日まで右目を遮蔽したマウスの大脳皮質視覚野のイメージング。皮質表面から深さ165μmの面。白は興奮性細胞、緑は抑制性細胞、赤はグリア細胞を示す。  右上:枠内の拡大図。  右下:各細胞の遮蔽眼および非遮蔽眼に与えた光刺激に対する反応。ピンクの縦帯(光刺激を与えた時間を示す)に一致した上への振れが反応。番号は上のイメージング拡大図の細胞番号に該当する。右下のスケールは横が5秒、縦が10%の蛍光強度変化を示す。

二光子励起カルシウムイメージングの方法(左上)と結果の一部 左下:臨界期を過ぎた生後50日から57日まで右目を遮蔽したマウスの大脳皮質視覚野のイメージング。皮質表面から深さ165μmの面。白は興奮性細胞、緑は抑制性細胞、赤はグリア細胞を示す。 右上:枠内の拡大図。 右下:各細胞の遮蔽眼および非遮蔽眼に与えた光刺激に対する反応。ピンクの縦帯(光刺激を与えた時間を示す)に一致した上への振れが反応。番号は上のイメージング拡大図の細胞番号に該当する。右下のスケールは横が5秒、縦が10%の蛍光強度変化を示す。

脳発達の「臨界期」が終了した後でも変化する神経細胞群を発見|2010年 プレスリリース|理化学研究所.

独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 大脳皮質回路可塑性研究チームは、大脳視覚野の抑制性神経細胞が、生後の脳発達の「臨界期」終了後も可塑性を保持していることを発見した。マウス大脳皮質視覚野の抑制性神経細胞が生後の脳発達期にある「臨界期」を通り越してしまい光反応性変化が起きないと思われていた成熟期に到達しても、片目遮蔽実験で変化を起こした。また、抑制性細胞は両目に与えた光刺激に対しともに良く反応する「両眼反応性」を強く示すが、興奮性神経細胞は片目反応性の方が顕著で従来報告どおり「臨界期」終了後は可塑性をほとんど示さないことが分かった。科学雑誌『Journal of Neuroscience』(1月27日号)に掲載される。

ヒトを含む多くのほ乳類の大脳皮質視覚野神経細胞は、幼若期に片目を一時的に遮蔽すると、その目に対する反応性を失い、開いていた目だけに反応するよう変化する。このような変化は「臨界期」と呼ぶ生後発達の一時期にしか起きないと報告され、脳機能発達の「臨界期」を示す例として注目されてきた。

研究チームは、生きたままの動物の大脳皮質視覚野で、多数の神経細胞の活動を同時に観察することのできる「二光子励起カルシウムイメージング法(脳の比較的深い部分から空間解像度の高い画像が得られる二光子励起走査顕微鏡を使い、多数の細胞の活動をカルシウム蛍光強度の変化によって観察する方法)」を活用し、抑制性細胞が緑色蛍光を発する遺伝子改変マウスで、興奮性細胞と抑制性細胞を区別して片目遮蔽効果を観察した。

「臨界期」を過ぎた生後50日目と55日目のマウスの右目を7日間遮蔽した後、視覚野の興奮性細胞と抑制性細胞がどちらの目に強く反応するかを記録した結果、「臨界期」終了後に片目遮蔽をした場合も、抑制性細胞は、遮蔽眼に対する反応が悪くなり、可塑性を保持していることを発見した。

この抑制性細胞が、「臨界期」終了後も可塑性を保持していることは、従来の「臨界期」の概念に修正を迫る成果で、乳幼児の早期教育の意義を考える場合に、重要な示唆を与えると考えられるという。

また、なぜ興奮性細胞が可塑性を喪失しているのに、抑制性細胞が可塑性を保持しているのか、この両細胞の違いを追及することによって可塑性保持のメカニズム解明が進むと考えられる。ほかの脳領域の「臨界期」後の可塑性を解明し、成人における学習を促進する手がかりを得ることも可能になるという。