多機能ナノ粒子を複合化したナノ構造ファイバー使用の消防服素材 帝人テクノプロダクツ、ホソカワミクロン
ナノ素材消防服
引用元: NEDO:消防職員の命を守る!ナノ構造ファイバーを使用した消防服素材を開発.
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ナノテク・先端部材実用化研究開発事業」の一環として、帝人テクノプロダクツ株式会社とホソカワミクロン株式会社は、ナノ構造ファイバーを適用した遮熱性・快適性に優れた消防服素材を開発したと発表した。熱伝導に寄与するナノサイズの炭素系超微粒子をアラミド繊維に複合化したナノ構造ファイバーから成る繊維素材で、この素材を使用することで、消防服の軽量化や火傷の進行抑制が可能となるという。
近年、消防活動のスタイルは、財産や人命の救助、延焼防止のため建物内に進入し、火源に極限まで接近して効率的に消火する傾向にあるという。そのため、消防職員の安全な活動に寄与する消防服には、
- 消火活動時に火災から発生する炎・熱から身を守る遮熱
- 消火活動中の疲労や熱中症防止などの身体的負担を軽減させるための快適性
という主に二つの機能が求められている。
ところが、これまでの消防服は、遮熱性または快適性のどちらかに重点が置かれ、これらを高いレベルで両立することは困難だった。
帝人テクノプロダクツとホソカワミクロンはNEDOのナノテク・先端部材実用化 研究開発事業(ナノテクチャレンジ)のテーマの一つとして「ナノ構造ファイバーを適用した遮熱、耐熱、快適性に優れる先進消防服の開発」に共同で取り組み、ナノ構造ファイバーの解析や評価方法、粒子分散方法などについては、東京工業大学の谷岡明彦教授、東京農工大学の神谷秀博教授の指導を受けてきた。両社は先進消防服の開発のために多機能ナノ粒子を複合化したナノ構造ファイバーの開発を行った。
ホソカワミクロンは、多機能ナノ粒子の開発と粒子表面処理技術の開発を担当し、アラミド繊維中へ均一分散を可能とする遮熱性に優れたナノ粒子の開発と製造条件を確立した。帝人テクノプロダクツは、ホソカワミクロンが開発した多機能ナノ粒子を、アラミド繊維中に複合化したナノ構造ファイバーを開発した。また、このナノ構造ファイバーを生地化し裏地として使用した消防服向けの積層構造体を開発した。
開発した素材は、「最外層」「中間層」「遮熱(最内)層」と呼ばれる3層構造から成る消防服のうち、肌への熱を遮蔽する機能が求められる遮熱層に相当する裏地に使用される繊維素材。帝人テクノプロダクツ株式会社のアラミド繊維「テクノーラ」の繊維内に、ホソカワミクロンの粒子表面処理技術と帝人テクノプロダクツの混練・製糸技術を用いて、ナノサイズの炭素系超微粒子を均一分散したもので、熱伝導率を通常のアラミド繊維よりも大幅に高め、熱拡散機能を付与することで遮熱性能の向上を図ったという。
熱拡散機能により、火炎や熱に曝された際に消防服内に侵入した熱を分散・放熱し、ナノ構造ファイバーを適用しない場合との比較で、約40%の火傷抑制の改善が見られた。また、従来の消防服用裏地と比較して、同じ遮熱レベルであれば生地を15%軽量化することが可能だという。
性能試験の結果、これまで両立することが困難とされていた、世界で最も厳しいとされる北米の消防服性能と、世界最高レベルといわれる日本の消防服の快適性能の相反する機能を、高いレベルで両立することに成功したという。
今後は、この繊維素材の量産技術の確立を推進し、消防服への実用化を目指す。アラミド繊維ベースのナノ構造ファイバーは、たとえばチタニア・シリカ系の無機複合ナノ粒子の添加により難燃性の向上とともに熱収縮抑制を実現するなど、繊維内部に分散させる機能性ナノ粒子の種類を変えることでアラミド繊維の物性を損なうことなく導電性や電磁波遮蔽性など様々な機能を付与することが可能なため、これまで有機材料が使用できなかった様々な用途への水平展開が期待できるとしている。
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