乾燥耐性を誘起する植物ホルモン・アブシジン酸のトランスポーターを発見 理研
過剰発現植物体の表現型解析
乾燥耐性を誘起する植物ホルモン「アブシジン酸」の輸送因子を発見|2010年 プレスリリース|理化学研究所.
独立行政法人理化学研究所(理研)植物科学研究センター機能開発研究グループの黒森崇研究員、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授らは、乾燥耐性能を付与する植物のストレス・ホルモン「アブシジン酸(ABA)」の輸送因子(トランスポーター)の1つ「AtABCG25」を発見した。米国科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA』オンライン版に1月18日の週に掲載される。
植物は、乾燥状態になると気孔を閉じて水分の蒸散を防ぐ。この気孔閉鎖は、植物ホルモン・アブシジン酸の働きによる。アブシジン酸に関わる細胞内での事象については多くの研究が行われて来たが、細胞間でのアブシジン酸のやり取りや、生体内でのアブシジン酸の移動の実態に関しては、ほとんど知られていなかった。
研究グループは、実験モデル植物であるシロイヌナズナを使って、アブシジン酸の機能に関係する新しい変異体を選別して解析した。その結果、アブシジン酸の感受性が高まる変異体の原因遺伝子AtABCG25を同定し、この遺伝子がコードするタンパク質AtABCG25が、細胞の内側から外側へアブシジン酸を運び出す機能を持つトランスポーターであることを初めて突き止めた。植物が外的環境の変化に対応して、能動的にアブシジン酸を細胞外へ運び出す精巧なメカニズムを持っていたことを示す成果だという。
また、AtABCG25を通常より多く発現させた変異体を作ったところ、この変異体では葉からの水分蒸散が40%程度抑えられていることが分かった。アブシジン酸の生体内での輸送や移行の制御により乾燥耐性植物の作出が可能であることが分かったことにより、有用な植物育種の新しい手法を生み出すことが期待されるという。
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