サクラの新品種「仁科乙女」 理研、重イオンビームで四季咲きサクラの品種改良に成功
新品種「仁科乙女」(2009年04月13日撮影)
引用元: 重イオンビームで四季咲きサクラの品種改良に成功|2010年 プレスリリース|理化学研究所.
独立行政法人理化学研究所(理研)は、仁科加速器研究センターRIビームファクトリーにある理研リングサイクロトロンが発生する炭素イオン微0無を木肌の美しいことで知られる「山形13系敬翁桜」に照射し、野外栽培では、春(4月〜7月)と秋(9月〜11月)の二季、温室栽培では、いつでも花が咲く四季咲きサクラの新品種「仁科乙女」を作出することに成功した。
「仁科乙女」の「仁科」は理研加速器の父である仁科芳雄に由来する。ピンク色の一重の可憐な花を咲かせるので、「仁科乙女」と命名した。仁科加速器研究センター 生物照射チームの阿部知子チームリーダーとサクラ育種家のJFC石井農場の石井重久氏との共同開発による成果。
重イオンビーム(原子から電子をはぎ取って作られたイオンのなかで、ヘリウムイオンより重いイオンを重イオンと呼び、これを加速器を用いて高速に加速したものが重イオンビーム)を用いた突然変異誘発法は、育種年限の大幅な短縮を可能とする日本独自の開発技術。ガンマ線やX線などの放射線照射や化学変異剤処理などの従来の手法に比べ、高生存率を示す極低線量照射でも、変異率が高いという特徴がある。
生物照射チームは、この重イオンビームを使った園芸植物の品種改良技術を開発し、これまでにダリア、ペチュニア、バーベナ、トレニア、デロスペルマ、ナデシコ、サイネリアなどで実用化し、これまでに15種類の園芸植物で市販新品種の育成に成功しました。2004 年にはサクラへも重イオンビームを照射し、黄色いサクラ「仁科蔵王」を育成、2007年に理研初の品種登録を行った。
研究グループは、2006年に山形13系敬翁桜の穂木に炭素イオンを10Gy照射し、「敬翁桜」に接ぎ木した。2007年に生育の良い枝より挿し木苗を増殖したところ、秋に高率に花が咲く系統を得た。この変異系統を温室で栽培したところ、2008年春から連続して開花し、四季咲き性を示した。また、この系統を野外で冬の寒さにさらすと4月に一斉に開花し、花数が元品種の3倍程度に増加した。理研と石井氏は共同で、農林水産省に四季咲き桜の「仁科乙女」として品種登録出願を2009年12月14日に行い、15日受理された。
花苗の増産は「生産販売組合さくら」組合員である山形県内外の生産農家で行い、販売は、仁科蔵王と同様に株式会社クリエイティブ阪急から、2010年3月に開始する予定だという。
「仁科乙女」と元品種との比較(2009年04月13日撮影)左が仁科乙女、右が敬翁桜(山形13系統)。低温にさらして4月に一斉開花させると、敬翁桜の約3倍量の花芽がつく。
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