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medaka
Creative Commons License photo credit: strollers

東京大学 大学院新領域創成科学研究科の森下真一 教授らは、スタンフォード大学のアンドリュー・ファイヤー教授らとの共同研究で、DNAの3次元構造(ヌクレオソーム構造)がDNAの変異に相関することを、メダカのDNAを分析することで明らかにした。JST バイオインフォマティクス推進事業、文部科学省 特定領域研究 ゲノム4領域、米国国立衛生研究所(NIH)の研究助成によって行われた研究で、米国東部時間12月11日に米科学誌「Science」 オンライン速報版で公開される。

メダカは、南日本由来系統と北日本由来系統の2系統のDNA塩基配列の間には「1塩基多型(SNP)」がDNA配列全体の3.4%、約1600万個存在することが分かっていた。それぞれの系統のメダカは交配可能だが、この変異はチンパンジー・ヒ ト間のDNA変異率1.2%を大きく上回る。そのため、種内の遺伝的多様性(個体差)が生まれる過程を研究する上で有用なモデル生物とし て注目されている。

今回の研究では、超高速DNA解読装置を使って、メダカのヌクレオソーム構造をDNA全体にわたって網羅的に分析した。その結果、遺伝子の転写開始点の下流にあるヌクレオソーム構造が、DNA変異の周期性を引き起こす要因となっていることを突き止めた。

遺伝子はDNA配列から「転写」されることで機能する。そのため、例えば転写開始点周辺に1塩基置換のような変異が起きると、遺伝子の働きに影響する。研究グループでは、転写 開始点の周辺で起きた1塩基置換や塩基配列の挿入削除による変異の分布を調べた。すると、特徴的な周期的変動が見つかった。転写開始点下流約200塩基、 400塩基、600塩基の位置で挿入削除率は上昇し、逆に1塩基置換率は約100塩基、300塩基、500塩基の位置で上昇することが分かった。

今回の研究は、この転写開始点下流に存在する200塩基の周期性が、DNAが細胞内でコンパクトに折りたたまれる高次構造に相関することを明らかにしたというもの。

DNAは「ヌクレオソーム」という構造を単位として折りたたまれコンパクトな3次元構造を取る。(図)。

この研究では、メダカの胞胚(受精後6〜8時間の卵)からヌクレオソーム構造を取るDNA塩基配列を抽出し、DNAのどの領域がヌクレオソームへと構造化されているかを分析した。その結果、転写開始点下流約100塩基、300塩基、500塩基の位置 を中心としてヌクレオソームコアが存在する傾向にあることが分かり、この構造がDNA変異の周期性を引き起こす要因となっていることが分かった。

DNA配列を折りたたむヌクレオソーム構造が遺伝子の転写や遺伝的多様性にどのように関わっているのか、その具体的なメカニズムはまだよく分かっ ていないという。

引用元: DNAの3次元構造が生物進化に影響する.(超高速シークエンサーとバイオインフォマティクスによる科学的発見)図1