京大iPS細胞研究センター、自己の線維芽細胞をiPS細胞のフィーダー細胞として利用して培養することに成功

自己フィーダー細胞上に樹立されたヒトiPS細胞
ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)に4因子導入後、25日目の写真
論文名
“Human induced pluripotent stem cells on autologous feeders“
「自家フィーダー細胞によるヒトiPS細胞」
Kazutoshi Takahashi, Megumi Narita, Midori Yokura, Tomoko Ichisaka and Shinya Yamanaka
京都大学の高橋和利 物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター講師と山中伸弥 同iPS細胞研究センター/再生医科学研究所教授らの研究グループは、ヒトの皮膚の線維芽細胞がiPS細胞の資源になり、フィーダー細胞(目的の細胞に栄養を送り、培養の条件を整えるための補助役の細胞)として利用可能であることを示唆する結果を得たと発表した。未知の病原体等を含む可能性のある動物性フィーダー細胞を用いる必要がなくなり、臨床応用水準のiPS細胞作製方法確立に近づいた。アメリカの科学雑誌「PLoS ONE」に発表した。
iPS細胞は高い増殖能性と様々な組織の細胞に分化できる多能性を併せ持つ。従来は、マウスの線維芽細胞をフィーダー細胞として、ヒトiPS細胞を樹立、培養してきた。だが外来性抗原、未知のウイルス、人畜共通病原体の危険があった。
そのため、新生児皮膚線維芽細胞やヒトES細胞由来線維芽細胞をフィーダー細胞として、ヒトES細胞の増殖に用いた研究もあった。しかしながら、他人由来の細胞をフィーダー細胞として用いると、未知のウイルスやプリオンなど病原体による感染を起こす可能性がある。
今回、同研究グループでは、iPS細胞作製の資源である「ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)」を、フィーダー細胞としても用いることが理想的だと考えて研究を行った。すると、自己フィーダー細胞上でヒトiPS細胞が樹立・培養できることが分かり、分化多能性も維持されたという。
この研究は医療応用可能なiPS細胞の作製で重要とされる異種成分を含まない樹立・培養方法の確立に大きく一歩近づいたもので、今後は、より安全性の高い、細胞移植治療への応用可能なiPS細胞の樹立・培養方法の確立に向けて研究を進めていく。
引用元: 自己フィーダー細胞を用いたヒトiPS細胞の樹立、培養に成功 -医療応用可能なiPS細胞作製に向けて一歩前進へ- — 京都大学.
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