NHKが11月10日から「ビット君のデジタル実験」と称するデジタルコンテンツ提供実験を始めた。流されるニュースや番組コンテンツなどを、随時ホームページ上にアップしていこうというものである。これまでNHKのホームページ上にはなかった動画なども多数登場する予定だと聞く。ショックウェイブなどを使った「派手な」ページも多数提供されるという。初日いきなり国会中継で、デジタル実験番組の一つである「生活ほっとモーニング」が飛んでしまうなど、既に放送ならではのハプニングもあるようだ。おそらく現場は、不慣れなウェブ上での情報提供に「てんてこまい」だろう。
　どうも「オレタチは映像の人間だ！」という自負が、派手なページを提供させてしまうらしい。私には、現時点で派手なページや動画をウェブで展開することに意味があるとは思えない。多分、制作者のほとんどは、LAN上でしかウェブを見たことがない人間ばかりなのだろう。ほとんどのユーザーがモデムを使っている現在、もっと実状に即した情報提供の有りようがあると思う。asahi.comがなぜ人気サイトになったのか、その辺をもっと考えて放送局はウェブ展開を行うべきだと思う。
　NHKが今回（NHKとしては）思い切ったウェブ展開を始めた裏には、大きく先行している民放各局に対する焦りがある。だが民放各局も、実はそれほどウェブ展開に積極的なわけではない。スポンサーの家電メーカーに尻を叩かれて仕方なくやっているのが実状だ。
　こういう流れが変わるのは、「どこ」から、そして「いつ」の日になるのだろうか。

NHKホームページ：http://www.nhk.or.jp/

(森山　和道/フリー・ディレクター/moriyama@moriyama.com/http://www.moriyama.com)