ホームページを、あなたは持っているだろうか?まだならば、「どこへ」作るか、よく考えた方がいい。
ホームページを無料で作らせるオンラインサービスは、個人商店を誘致する新興商店街に似ている。というより、そっくりだ。小さな「商店」や「団地」、「イベント会場」などを誘致するその様子は、まるでゲームの「SimCity」である。
では、その場で得をするのは誰か。人が集い活気に満ちてくることで、得をするのは誰か。コミュニティが成長することで利益を得るのは誰か。人が集ってくると、上昇するのは地価である。そう考えると、儲けるのはその土地を資産として運用できる地主、ということになる。ホームページなり、フォーラムなりに、資産価値が生じ始めているのだ。
ウェブが登場して以来、これまでは、ネット全体が一つのコミュニティであるかのような状況が続いていた。しかし、その概念もここに来て完全崩壊を始めつつある。あまりに巨大な世界で、個々が見えなくなりつつあるのだ。巨大になりすぎたオンライン世界では、新しい概念が必要とされている。その解答の一つが、やはり「街」なり「シティ」なりのメタファーだった、ということなのだろう。個々のホームページだけで、オンライン上で頑張るのはかなり厳しい。だが、一つのコミュニティーの中に入ってしまえば、なんとかなるかも…、ということなのかもしれない。それら個々人の要求と、巨大な資本を持った「地主」の投資欲とが一致しはじめ、寄せ集めのようなオンラインコミュニティーが誕生しつつある、ということなのだろう。
まだここには「路線価」のようなものはない。「道」や「線路」に相当するものが何なのかも不透明だ。肝心の個々人のコンテンツやコミュニティーそのものも、まだ発展途上。だが最近の各ネットワークサービスの動向─AOLのCompuServe買収やジオシティズの動きなど─は、人を呼ぶことそのものが利益を上げることに直結する可能性が、オンラインでも急激に高まりつつあることを思わせる。
一方で、自然発生しているコミュニティーもある。さて、「計画都市」と「溜まり場」の将来はどうなるのだろうか?
(森山 和道/TVディレクター/moriyama@moriyama.com/http://www.moriyama.com)