<JPNIC-DOMAIN-TALK>という、ドメイン名について考えるMLがある。そこが現在、second levelドメイン新設の問題で、大騒動になっている。これは今後のインターネット利用全般に関わる問題であると考えるので、ここで簡単にレポートする(なお、話の順序は多少違っているかもしれないがご容赦を)。
検討されていることはいくつかあるのだが、一番大きな問題は、商業法人以外の法人・つまり財団法人、学校法人、社団法人、宗教法人などにはor、coなどを割り当てるのを止めてしまって、別のドメインを新設し、そこに格納しよう、という案に関するものである。
具体的には、例えば「le.jp」というドメインを新設し、そこに入れてしまわないか、という案が出された。ところが「leってなに?」、つまり、このドメイン名からはどんな組織なのか直感的に分からない、という反論がなされた(ちなみに他の名称候補としては、AS, IN, HOなどが挙げられている)。
この反論が起こった根本的な理由の中には、要するに、これまでのドメイン──orなど──との分け方が不明確で、区別が付きにくかったことが含まれている。
続いて、「何をもって法人とするのか?、その審査はどうするのか?、legal personは一般的に日本で言うところの『法人』を包含する概念ではない、これまでorに入っていたものは強制的に移動させられるのか?」、といった、数々の反論や指摘が巻き起こり、まさに騒然としている。また「leというドメイン名は標準化、つまり日本以外の国も使ってくれるようになるのか?」といった点も指摘された。日本だけの特殊ドメインをバカスカ作って良いのか、というわけである。
この問題が発生した根本には、爆発的に増大しているインターネット利用者と、それに付随したドメインの爆発的増大がある。これはもう止めようがない。管理する方(と、マシンパワー)からすれば、何万、何十万というドメインを一つのco.とかac.とかの中に格納するよりも、カテゴライズして細分化した方が管理しやすい、というわけである。また、ドメインを切ることでアクセス制限がしやすくなるとかいったメリットもあるだろう。この辺は、普通の組織が肥大化していくに従って内部が細分化していく過程と全く同じ(直接下にいる人間の数は少ない方が管理しやすい)である。
ドメイン問題は他にもある。教育向けに<k12.jp>といったドメインを作ることも検討されている。また時代に則さないものになりつつある(と指摘されがちな)地域ドメインをどうするのか、といった問題もある。
ドメインを移行するのは、どのようなものであるにせよ、大変な作業になる。だが将来の事を考えるならば「キズは浅いうちにふさげ」ということもある。検討作業は進行しつつある。新しくドメインを取得しようと思っている人はその辺りをチェックした方が良いかもしれない。これまで厳しかったJPNICの審査そのものも今度の一件で変わるかもしれない。
間もなく、新方針がアナウンスされる筈。とにかく、JPNICも大変だ。
(森山 和道/TVディレクター/moriyama@moriyama.com/http://www.moriyama.com)