Archive for the ‘Z会’ tag
書評 『金属の素顔にせまる 電子顕微鏡で見る日用品』
Z会「AZEST」 2009年 原稿
『金属の素顔にせまる 電子顕微鏡で見る日用品』
(住友金属テクノロジー株式会社 編著 学習研究社 ISBN:978-4-05-403970-4)
ボールペンで一秒間に10cmの線を引く。ペンの先の球は直径0.5mmの場合、約64回転する。このとき球は時速250kmで走っている新幹線の車輪よりも速く回っている。高速回転の磨耗に耐えるためボールペンの球はタングステンカーバイドにコバルトを混ぜて焼結した超硬合金でできている。
本書は金属バットや炊飯器釜、包丁やカミソリなど身近な器具を構成する金属に関する本だ。モノの硬さ、強さ、錆びにくさは何で決まるのか。なぜその金属を使っているのか、材料分析の専門家達が最新の電子顕微鏡と分析装置で探索する。
斜め読みするだけでも、ミクロの世界に迫ることで初めて見えてくる金属材料の奥深さが実感できるだろう。蘊蓄もたまる。
学習研究社
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書評 『ハダカデバネズミ 女王・兵隊・ふとん係』
Z会「AZEST」 2009年 原稿
『ハダカデバネズミ 女王・兵隊・ふとん係』
(吉田重人・岡ノ谷一夫 著 岩波書店 ISBN:978-4-00-007491-9)
ハダカで出っ歯のネズミ、それがハダカデバネズミだ。体長は10cmほど。東アフリカの乾燥地帯で土中に巣を作って集団で暮らしている。哺乳類なのに女王がいて、働きデバや兵隊デバがいる。ハチやアリみたいに社会性を持った動物だ。
本書はそのハダカデバネズミを使って社会階級や労働分担の遺伝子発現や脳の仕組み、音声コミュニケーションの研究を行っている研究者二人が書いた一冊だ。姿形も生きざまもユニークなデバたちの姿を、ユーモラスな書き方で描き出している。
デバたちは17種類の音声を使ってコミュニケーションしている。階級が下のデバは、上のものより高音で頻繁に鳴き、必ず下を通る。人間社会と似ているところも面白い。
岩波書店
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書評 『地学のツボ 地球と宇宙の不思議をさぐる』
Z会「AZEST」 2009年 原稿
『地学のツボ 地球と宇宙の不思議をさぐる』
(鎌田浩毅 著 筑摩書房(ちくまプリマー新書) ISBN:978-4-480-68804-0、860円)
大陸と海洋底の運動が山を作り、火山を生み、地震を起こすきっかけとなる。地球が冷えるに連れて生まれた対流運動の結果、今日の地球がある。今も雄大な時間スケールで地球は動いている。
地学を学ぶ機会は少ないかもしれない。だが、地球科学は非常に面白い分野だ。この本に書いてあるのは皆さんの教科書にも書いてあるようなことだが、最新の研究成果に近い。最新の研究成果がすぐに教科書にも反映される。これは他の理科にはない特徴だ。
他にも、科学の本を読むときのちょっとしたコツや、研究においてどこに目をつけるべきか、疑問に抱くべきポイントはどこかといったことも解説されている。理系の考え方を学ぶこともできる一冊だ。著者は火山学者。
筑摩書房
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書評 『いつか僕もアリの巣に』
Z会「AZEST」 2009年 原稿
『いつか僕もアリの巣に』
(大河原恭祐 著 ポプラ社 ISBN:978-4-591-10181-0、1,400円(税別))
世界最大のアリの巣は北海道・石狩海岸にある。距離にして10km、少なくとも数千万匹のアリがいると見られるという。
アリは身近な昆虫だが、世界にはいろいろな種類のアリがいる。イネばかり食べるアリもいれば、肉食専門のアリもいる。体を蜜の貯蔵タンクにしてしまうアリもいれば、中には敵をやっつけるため腹を膨らませて飛び散って特攻するアリまでいる。
この本はアリの生態の研究者によるアリの本だ。アリには無限の謎があると著者は語る。たとえばアリは社会性の昆虫だ。働きアリは自分では子供を生まず、巣のために働く。なぜそんな行動が進化したのか? アリを通して研究の考え方だけではなく、研究者とはどういう存在で、ふだん何をしているのかも分かる一冊だ。






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