森山和道

サイエンスライター。科学書の書評屋もやってます。

シャープ、ロボット型電話「RoBoHoN(ロボホン)」の販売を開始

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RoBoHoN

シャープ株式会社は2016年4月14日、電話機能を搭載した小型ロボット「RoBoHoN(ロボホン)」の予約販売を開始した。高さは19.5cm、重さ390g。CPUはQualcomm Snapdragon 400 processor 1.2GHz。Android 5.0を搭載しており、背面ディスプレイの解像度はQVGA。メモリはROM 16GB、RAM 2GB。頭部CMOSカメラは800万画素。

本体価格は 198,000円(税抜き)。特徴である音声対話機能を利用するためには月額料金 980円+税 の「ココロプラン」への加入が必須で、加えて外出先で用いるにはモバイル通信サービス料も必要となる。発売日は5月26日だが、4月14日午後1時から公式サイト( https://robohon.com/ )で予約販売を開始した。

ロボホンを使った電話の様子

モバイル通信サービスはシャープ自身がMVNO事業者として提供する。利用するには別途月額料金が必要となる。データ容量によって料金は異なり、1GBプランで650円、3GBで950円、5GBで1,580円。電話機能を利用するために音声通話SIMを契約する場合は、これに加えて+700円となる(価格はいずれも税抜き)。5GBプランで音声通話SIMを利用する場合は月額 2,280円+税 となる。

このほか保守パックサービスが用意される。修理料金が5年間にわたって5割引になる「ケアプラン50」、同じく7割引になる「ケアプラン70」で、料金はそれぞれ月額で990円、1,650円(いずれも税抜き)。またオプションとしてキャリングケース、卓上ホルダーなどが販売される。

海外への販売も検討する。月産生産台数は 5,000台。
カラーバリエーションや、コラボレーション・モデルなどは予定されていないが、将来やっていきたい意向はあるようだった。

・「ココロプロジェクト」第1弾

発表会場にてハンズオン

シャープは家電製品を人工知能化する「ココロプロジェクト」を進めている。シャープではモノのインターネット(IoT)をさらに進めた「AIoT」を掲げている。より製品に愛着をもってもらうようにすることが目的だという。センシング、音声技術、クラウドとの連携によって、従来の家電ではできなかった、顧客の好みやふるまいから学習することで、より個人に適応し、愛着を持たれる家電製品の実現を目指す。「RoBoHoN」はその第一弾。

「RoBoHoN」は使う人のプロフィールや行動習慣に合わせて、語彙も増えていき、アプリケーションも追加されるという。「RoBoHoN」の基本設計、デザイン、動作などを担当したロボガレージ代表取締役でロボットクリエイターの高橋智隆氏は「プロジェクトは三年前に始まった」と紹介した。ロボット、スマートフォンそれぞれの難しさに直面したという。

高橋氏は「スマートフォンに足りなかったものは将来性と愛着。ロボホンはそれらを補完する。単なる足し算ではなく人と機械の関係を飛躍的に進化させる情報通信端末の未来だ」と述べた。

コミュニケーションロボットにとっては小さいことに価値があるという。ロボットが大きいと期待値も大きい。だがロボットが小さいと人間側のロボットに対する期待値も低くなり、ロボットが相対的に賢く見えるからだ。「人の感性は繊細。デザイン、コミュニケーション、UX、小ささにこだわった。それらを全てを仕上げることで愛着が生まれる」と述べ「スマートフォンとロボホンの二台持ちが始まる。やがて、スマホにとってかわる」と語った。「従来のスマフォのかたちで使いながら、いままで気づかなかった機能や役割を見つけてもらえるのではないか」という。

会見ではシャープに対しては「本当に売れると思っているのか」という質問も出た。いっぽう高橋氏は「ロボホンについてコンセプトとしては一つの完成系ではないか」と語った。ロボホンのコンセプトは「人と共生するロボットのあるべき姿なのではないか」と考えており、「今後、ソフトウェア、ハードウェアのアップデートを経て、人と暮らすロボットができるのかなと思っている」という。ただし「ロボットだけではなく生活の変化を待たないといけない」とも述べた。

・ロボホンのハードウェアについて

「ロボホン」は小型ロボットなので搭載しているバッテリー容量も1,700mAhと小さい。だが、バッテリーを食うモーターが13に加え、小型レーザープロジェクタを搭載している。どのくらいバッテリーが保つのか、発表当時から懸念されていた。ハンズオンコーナーの説明員によれば、たとえばプロジェクタを1日に2回、ダンスを1日3回程度行なう程度であれば、1日以上は十分に保つという。スマートフォン開発を経て蓄積された節電ノウハウが活かされているとのことだった。

頭部に搭載された小型レーザープロジェクタも、この大きさでは最も性能の良いものなのだとのことだった(1280×720)。温度監視をしており、過熱しそうになると「いまちょっと無理」といった発話を行って、投影を中止する。なおモーターは並木精密製とのことだった。

ロボホンのダンス・歩行

また「ロボホン」は本格的な小型2足歩行と紹介している媒体もあるが、ロボホンの歩行は一般的な2足歩行ロボットと比べると特殊だ。まずロボホンには膝がない。そして足底を内側に曲げて歩行している。トルクの小さなモーターを使っているためだ。順番としてはこうだ。まず体を傾ける。そして足底を傾けて足全体を前に振り出して着地させて体重を移動する。こういうおもちゃがあったなと感じるような動き方だ。

また腕のつけかたや外見もかなり特殊で、自由度が少ないなりに動きを感じさせるようにひねりをつけたかたちになっている。
側面から見たロボホンの立ち姿にも高橋氏のこだわりと工夫を感じる。

ロボホンのバストショット

ロボホンのマイクは頭部側面にある穴だ。スピーカは胸にある。頭頂部にはキャンセル用のタッチセンサーが仕込まれている。実際に手に持ってみると精密感は高い。生産は広島工場で行っている。

いっぽう、音声対話機能を利用させるための端末であるというコンセプトを重視しすぎたのか、物理的ボディを持っているロボットならではの身体特性をあまり利用していないUIになっている点は気になった。

たとえばロボットから選択肢を選ばせるような場合、音声認識だけではなく「1番なら右腕、2番なら左腕を触れ」といったUIを音声認識に加えて併用することがしばしばある。だがロボホンにはそのような併用がなく、ひたすら音声認識にこだわっている。そのため音声認識がうまくいかない環境ではかなり微妙な印象のデモになってしまう。会見時のハンズオンコーナーでも「うるさすぎる」という理由で音声認識がうまくいかないことが多かった。

ロボホンの音声認識を使ったクイズ

また、シャープが今後、ユーザー側とどのようなコミュニケーション、関係を維持していくつもりなのかもよくわからなかった。一例を挙げれば、5月末発売にもかかわらず、パッケージも提示されなかった。コミュニケーションロボットを購入した場合、最初に手に取るのはパッケージであり、そこから開封したときにロボットが最初どのようなアクションでユーザーと向き合うのかといったUXは大事な部分だと思う。だが会見を見る限り、シャープはその点を重視しているようには思えなかった。

商業製品としてのコミュニケーションロボットは、商品に対する擬人化を積極的に行なうことで、顧客にとっての価値を大きくするという性質のプロダクトだ。そこを軽視しているようだと今後が心配である。表面的な「ロボット電話」的なUIしか重視していないのであれば、スマートフォンとしてだけでなく、個人向けロボットとしての商品価値まで失うことになりかねないと思うのだが。

ロボホン内部が見えるハーフスケルトンモデル

ロボホン内部が見えるハーフスケルトンモデル。東急プラザ銀座「HANS EXPO」で出展されている

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Written by 森山和道

4月 15th, 2016 at 3:52 pm

Posted in ロボット,仕事