森山和道

サイエンスライター。科学書の書評屋もやってます。

九州工業大学大学院 生命体工学研究科 訪問(3)講義と石井研訪問編

without comments

2日目から続く。

講義

3日目。

今回、僕を呼んでくれたのは、最初に述べたとおり柴田智広先生である。
柴田先生は、学生さんたち曰く「常に元気でハイテンション」な先生だ。
NAIST時代は「常に走り回っている先生」として知られていたという。
僕の印象も同じである。

だが今回、予想外の出来事が起きた。
その、いつも元気な柴田先生が不幸にも風邪をひいてしまったのである。
しかも39度近い熱があり、自分のためにも周囲のためにも、もう休むしかないという。
そりゃ大変だ。仕方がない。

だが問題は柴田先生に呼んで頂いた立場の僕である。
何が問題だったかというと、僕は今回「学生さんたちに講義をしてくれ」と頼まれていたのだ。

「ロボットのような知的システムを社会実装する上で考えておくべきいくつかのこと」

というのが僕のつけたタイトル。

先生から依頼されたメールにあった文言に「いくつかのこと」という言葉をくっつけたもので、
JSTの造語である「社会実装」なるバズワードを枕にして、
自己紹介を兼ねてここ15年くらいのロボットシーンを振り返り、
そして外部の人間から眺めたロボットを世の中に出して根付かせることの難しさ、みたいな話をする予定だった。

相手は九州工大の大学院生だが、もちろん僕としては、柴田先生をある程度の想定聴衆、かつ、フォローしてくれる人として想定していたのだが、肝心のその先生がいないわけで、どうしようと思ってしまった。
学生さんたちからしても、そもそも、先生の代講として変な奴が来た、みたいな状況になってしまったわけで、
いやはや、かなりとまどった。

が、とりあえず予定どおり、講義室で二十人くらいの学生さんたちを相手に、1時間15分ほど喋りました。

僕は普段は取材する側の立場である。される側というか、人前でしゃべることはまずない。
人前でしゃべるのは、3年くらい前の、理化学研究所(理研)横浜研究所で行われた参加型トーク
「問い続けることの面白さ」を見出す(2012/3/10)」
のとき以来だったと思う。

終わったあとになって、マレーシアからの留学生たちが複数いたことを知った。
(九州工業大学はマレーシアのプトラ大学大学院と連携大学院になっているのだそうだ)
彼らにとってはまったくの苦行だったろうなあ、申し訳なかったなと思ったけど、もうしょうがない。
お互いに不幸な状況だったと思ってもらうしかない。
また、ロボットの研究室の学生さんたちだからと思って、それぞれのロボットについてはほとんど詳細を紹介せずに知っているものとしてベラベラしゃべっていたのだが、もうちょっと一つ一つについて丁寧に紹介したほうがよかったのかもしれない。
ともあれ何かしら、意味のあることが残ってくれれば良いけれど。

話した具体的内容は、あとで別にまとめておくつもりです。

学生さんたちからは
「なぜライターになったんですか」
「理学部を出てマスコミに就職した理由は」
といった、ごくごく普通の質問をいただいた。
今にして思えば、役に立つ話をしようと思わず、もっとごくごく普通の話をしたほうがよかったのかも。
マスコミに行った理由について「ネクタイをしたくなかったから」とアホな即答を返してしまいましたが、
本当なんです、ごめんなさい。

柴田先生と知り合った経緯についても聞かれたのだが、
聞かれて初めて気づいたのだけど、自分でもまったく覚えていない。
いつごろからのどういった経緯だったのかまったく思い出せない。
僕の記憶力はそんなもんです。

石井研究室

石井和男教授

終了後は、少しだけ柴田研究室をのぞいて学生さんからご説明を受けたあと、
熱でふらふらだったろうと思われる柴田先生がアテンドしてくれた研究室見学取材。

この日は、石井研究室の研究内容について、石井和男先生に話を伺った。
石井先生は昨日行われたトマトロボコンの担当教員でもある。
もともとは海洋ロボットで知られる浦環先生の研究室の出身で、いまも水中ロボットもやっている。
たとえば船底についたフジツボを掃除するロボットなどを研究開発している。

水中ロボット

なお浦環先生は今は九州工業大学の特任教授であり、九工大「社会ロボット具現化センター」のセンター長である。
石井先生は社会ロボット具現化センター副センター長だ。
ロボコンでは、ロボカップ中型リーグにおいて国内では敵なし(だが、海外では最近はなかなか勝てなくなっているという)「Hibikino-Musashi(ひびきのむさし)」チームを率いている。

石井先生からは、これまで手掛けてこられたロボットたちを見せてもらった。
なかに、見覚えのあるロボットがあった。
愛知万博のプロトタイプロボット展に出展されていた跳躍ロボット「ジャンピング・ジョー」である。
リンク先のこの記事にもあるように、石井先生は産学連携に力を入れて、下水道管検査ロボットや下肢の運動を助けるリハビリロボットなど、いろいろなロボットを開発されているという。ドローンの研究をやっていた時代もあるそうだ。

今は浦先生が九州工業大学に来たこともあり、また水中ロボットに力を入れているとのことだった。
現在は、JST CRESTで、海中ロボットのアーム、底生生物を捕まえられるようなエンドエフェクタを開発中とのこと(こちら)。
それは東京にあるとのことで見ることができなかった。残念。

ちなみに生物の研究者からは、DNAをとるために生物表面のちょっとした細胞をひっかいて採るといったものでもいい、と言われているそうだが、ある程度の大型生物を採取できるものを考えているとのこと。

先ごろ(2015/12/14)発表されたばかりの賞金700万ドルの「Shell Ocean Discovery Xprize」についても伺うと、やはり、参加を検討しているとのことだった(いまはあくまで検討段階)。

ただ「Shell Ocean Discovery」はロボット屋さんだけではかなり難しいタスクになっていて、情報処理技術屋さんが参画しないと厳しいだろうとのことだった。

というわけで、やや早かったのだが、3日目はそれで退散した。

この日の晩御飯は黒崎駅直結のスーパーで買ってきたお惣菜。
最近のビジネスホテルには電子レンジが設置されているので助かる。

4日目に続く

RSSフィード
http://moriyama.com/feed

 iTunes Store(Japan)

Related posts:

  1. 九州工業大学大学院 生命体工学研究科 訪問(2)トマトロボコン編
  2. 九州工業大学大学院 生命体工学研究科 訪問(1)移動・黒崎滞在編
  3. これが21世紀の生産現場! グローリー埼玉工場「NEXTAGE」スマートラインを見学 第5回ロボット大賞「次世代産業特別賞」受賞
  4. 小田原城ぶらぶら歩き
  5. ろぼとまどっとこむ、ミニ四駆とホビーロボットの店舗「innovation Garage」を板橋区蓮沼町にオープン

Written by 森山和道

12月 23rd, 2015 at 11:09 pm

Posted in ロボット,日記