森山和道

サイエンスライター。科学書の書評屋もやってます。

書評 『太陽は23歳!? 皆既日食と太陽の科学』

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「SFマガジン」2009年8月号 掲載

太陽は23歳!? 皆既日食と太陽の科学
(日江井榮二郎(ひえい・えいじろう) 著 岩波書店(岩波科学ライブラリー) 1500円(税別) ISBN : 978-4-00-007500-8)

太陽は23歳!? 皆既日食と太陽の科学 (岩波科学ライブラリー〈カラー版〉)

 七月二二日の日食はどうだったろうか。皆既日食を体験できた方もいると思う。太陽は23歳!?は、日食を何度も観測した太陽物理学者が、地上からの観測や、日本の「ようこう」や「ひので」などの太陽観測衛星を使うことで母なる太陽について分かって来たことを、分かりやすく解説した本だ。

 タイトルは、太陽が誕生しておおよそ四六億年、その間に銀河中心を二三回巡ったと考えられることと、ダイナミックに活動する「青年」としての太陽の姿を表現している。

 日食が起きる理由から始まり、太陽が放射する莫大なエネルギー、太陽の構造、黒点や表面の粒状班に見られる太陽が持つ様々なリズムとそのメカニズムの考察、磁場、磁場によるコロナ加熱の原理や爆発現象であるフレア、輝くプロミネンス、大量のガスが放出されるCMEなどが一通り、コンパクトに整理されて解説されている。ともかくちっぽけな人間にとっては圧倒的にダイナミックで大規模に感じられる桁外れな太陽活動の話にぐいぐいと惹き付けられて一気に読めてしまう本である。

 ただ、読み終わったあとで一番印象に残ったのは、著者自身あるいは学生たちによる初めての皆既日食体験の話題だった。私自身、皆既日食は体験したことがない。だが話に聞くところによれば部分日蝕と皆既日食は全くの別物だという。本書でもその体験は、とにかく自分で経験してみなければ分からないと記されている。知識ではない、感覚の問題だからだ。やはり一度自分の眼、自分の体で皆既日食を体験してみたいと改めて思わされる一冊だった。

太陽は23歳!? 皆既日食と太陽の科学 (岩波科学ライブラリー〈カラー版〉)
日江井 榮二郎
岩波書店
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Written by 森山和道

3月 9th, 2011 at 5:16 pm

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