書評とは?



はじめに

 書評とはどういうものなのか、どう書くべきなのか、思うところををつらつら書いた小文です。
 もちろん基本的には(ホームページの頭に書いているように)、書評とは「本を買うための基準」、これでしかあり得ないわけです。ですが、書評にはそれ以上の面白さもあるわけです、多分。書評しかない私のページでも、ある程度のアクセスがあることが一つの理由です。
 そこで、書評とはまずどういうものであるのか、この際ですから書評を分解してみようと思います。書評を分解すること──これはすなわち「本」を分解することに他なりません。

書評を構成する要素

 まず「書評」とはどういう要素からなっているのか、考えてみます。
 私の見た所、書評には以下のような要素が含まれています。

  1. 書籍そのものの評価(全体の印象など)
  2. 書籍単体の評価
    1. 書籍の内容(いわゆる、「書評」部分)
    2. 「本」としての評価(定価、装丁、編集者の力量、販売戦略など含む)
  3. その書籍が属するジャンルから見た場合の、相対評価。ジャンル内評価。
  4. 作家・著者・翻訳者の紹介と、その評価。そしてその著作群から見た場合の評価。その作家の力量から見た場合の評価。

 だいたい以上が、いわゆる「評」部分にあたると思います。
 一方おうおうにして、書評にはエッセイ的な内容が含まれています。漠然とした印象ですが、ネット上にある「書評」は、どちらかというとエッセイ的な内容のものが多いように思います。以下のようなものです。

 「書評」と言われているものの内容は、だいたいこんなところではないでしょうか。
 これらの要素を色々と組み合わせてできあがっているのが「書評」というわけです。
 エッセイ的なものはどうでも良い、という人もいます。一方、そういう部分こそが面白いんだ、という人もいます。まあ、エッセイ=随筆というのはもともと「思い入れ」で書くものです。書評も「評」という単語は付いてますが、実際には「本への思い入れ」で書くものです。ですから、その両者が共存してしまうのは、ある種の必然なんだろうと思います。
 エッセイ部分の多い書評と、少ない書評──このどちらが良いかは分かりません。が、最近、良い書評の基準というのは、読者に「分かってるな、こいつ」と思わせることではないだろうか、と思うようになりました。「こいつと一緒に本の話をすると楽しいだろうな」と思わせることではないだろうか、と。これは本来の書評の役割──本を買う為の判断基準──からは外れていますが、支持される書評というのは、そういったものではないだろうか、と思っています。

 続く、かもしれません。



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