正直言って、セーラームーンがどうしたこうした、って話には、私はついていけないのだが、降着円盤についての記事などは面白い。さすが専門家。スモークリングの科学などは、そうかそうか、ふむふむ、と楽しく読めた。
かなり多くのSFのストーリーが紹介されているので、これから読もう、と思っている人は、あんまり読まない方が良いかも(笑)。
さて本書は、まだちゃんと元気だったらしい(笑)、ル・グイン最新短編集。ル・グインな人は買いだろう。
でも、実は僕はあんまりル・グインな人じゃないんだよな(笑)。だから、意見はちょっと厳しめかもしれない。その分さっ引いて下さい。
一番面白かったのは<はじめに>。なんと「SFを読まないということについて」というタイトル。なんてトレンドなんだ、と思ったのは僕だけではないはず。特に目新しい意見ではないのだが、さっぱりと明解。さすが、うまい。
中の作品では、表題の「内海の漁師」が個人的には一番好き。他は、オチのついたバカ話を除けば、なんだか長編を書くための習作、のような印象を受ける。
うーん。これは初心者にはとっつきにくいだろう、多分。まあ、そういう短編集だと思って下さい。
ここで、ちょっと本書を外れた話をする。
ル・グインやティプトリーを「SF」の中心に据えている人たちって、「コアなSFファン」と呼んでも良いんだろうと思う。
が一方で、SFファンでもなんでもない人が読んでいる「SF」って、意外とティプトリーとかだったりする。意外と「コア」なSFはちゃんと読まれているのではないか、というのが僕の印象だ。
この辺りのことを、SF出版関係者は考えて出版戦略を立てて欲しい、と思うのだが。