あまりに一方的だと不公平だと言われちゃうので、オフィシャルサイトへもリンクを張っておきましょう。
上巻の半分まで読んだところで、ほぼネタ割れ。そのネタにかなり脱力、読む気力が薄れるが「まさかこのままじゃ終わらないだろう」と僅かに期待をかけつつ読み進め、…そのまま読了。がっくり。というわけで僕的には脱力SFでした。
ネタは頭のほうで分かっちゃうのでバラシちゃいますが、ウイルス進化論です。欧米ではこの説を唱えている人はほとんどいないから、ベアはオッケーじゃんと思って使ったんでしょうが、提唱者たちが宣伝しまくっている日本でこのネタ使われてもねえ。しかもネアンデルタール人からクロマニヨン人が一代でいきなり生まれちゃうんですよ。分かる人には分かるでしょう、この脱力感が。
進化って話は分かりにくいみたいだけど、たとえば、ある個体の生存率がほんのちょっと上がっただけでも、世代交代を繰り返していくと、ほとんど時間かからずにその個体の子孫が集団内でかなりの割合を占めるようになるといったシミュレーションはごく普通に出ている。5%くらい生存率が高い個体が出現したときで200世代後に8割を超える、くらいじゃなかったかな? 出典が示せないんだけど。また最近ではHSP90のような、まるで進化の蓄積装置のような仕組みも見つかっている。でもそんな話はぜんぜん出てこない。とにかくこの本はハードSF的な側面が甘すぎ。生理学的側面も全く描かれてないしね。ベアには期待していただけに、本当にがっかり。
そりゃお前の期待している方向性がずれてんだよ、と言われるかもしれないけどさ。俺はグレッグ・ベアには期待してたんだよ〜。ベアで進化ネタだよ、期待するなっていうほうが無理でしょう。それなのに〜。