森山和道

サイエンスライター。科学書の書評屋もやってます。

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サイエンス・メール

  • PC Watch 森山和道の「ヒトと機械の境界面」


  • Written by 森山和道

    12月 4th, 2010 at 1:48 pm

    Posted in お知らせ

    九州工業大学大学院 生命体工学研究科 訪問(6)まとめ

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    柴田研究室編から続く。

    というわけで、駆け足で九州工業大学のロボット系研究室のうち5つの研究室を伺い、
    トマトロボコンを取材させてもらいました。
    ありがとうございました。
    以下、こちらの記事のまとめです。

    柴田先生は「研究室は人で決まるので、いろんな人たちを呼び込んでいきたい」とおっしゃっていた。

    留学生たちや、柴田先生が担当である「先進的支援ロボット工学(AAR)国際コース」の取り組みはもちろんだけど、単に狭義の研究室だけではなく、外部の人たちと様々な交流・連携をもって、物事にあたっていきたいと。

    月に1度「ひびきの金曜酒場」のようなオープンな産学官交流の取り組みも行っていらっしゃる。

    北九州が介護ロボット特区になったことも今後、関係してくるかもしれない。
    他にもJST関連のあれやこれやのプロジェクトも関係しているらしい。

    というわけで、とにかく元気な柴田先生の取り組みが、
    具体的な社会の何かに結実することを期待している。

    ただ、研究と、社会への成果普及の両方に成功している研究者はそんなにいない。
    どちらか片方だけでも難しいのだから、当然だ。

    そのためには、研究は研究で、
    そして社会実装の取り組み、一般市民への情報提供などはそれぞれで、
    それぞれ、異なるレイヤーごとに、
    異なるかたちでのカネやインプット、そしてアウトプットが回る仕組みを構築することが必要だと思う。
    そして各レイヤーごとに独立性をもたせつつ(資金面で綺麗にしておくことは当然として、また一つがダメになったら他が全部ダメになるといったことのないような仕組みを作る)、
    相互にゆるやかに関わりを持たせて盛り上げていくことが重要だ。

    今回の学生さん向けの講義でも、部分的にはそういう話をしたつもりだったんだけど、
    彼らに伝わった自信はあまりない。
    話す練習が必要なんでしょうね。

    と、いったことを思いながら、
    北九州学研都市から北九州空港へのシャトルバスに乗っていた。

    なおこのシャトルバスだけでなく、折尾駅から北九州学研都市までのバスもSuicaが使えた。
    電車もだ。これは嬉しい驚きだった。
    やっぱりICカード超楽。四国も早く対応してほしい。
    というかその前に、筑波のバスがICカードに対応しないのが謎。

    北九州空港のメーテル

    北九州空港のメーテルはまた整備中だったけど、カバーは外されていた。
    これなんかも、もっとちゃんと作り直せばいいのになあ。

    終わり。自分の話については、またあとで別途。

    Written by 森山和道

    12月 24th, 2015 at 6:22 pm

    Posted in ロボット,日記

    九州工業大学大学院 生命体工学研究科 訪問(5)柴田研編

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    柴田智広教授

    (4)和田研、田向研、我妻研編 から続く。

    柴田智広教授は2014年から九工大人間知能システム工学に着任している。もともと福岡県大野城市のご出身とのことなので、そういうこともあったのだろうか。もともとは「視覚移動ロボティクス」を研究していて、知能ロボティクスから計算論的神経科学へ入っている。JST ERATO「川人学習動体脳プロジェクト」、CREST「脳を創る」でATRを経て、NAIST准教授、そして九工大教授というご経歴である。

    「人間や社会を学習・適応するシステムとして理学的に理解すること」
    「その理解に基づいた支援システムを工学的に実現し社会に還元すること」

    の二つが目標であり、研究手法の特徴だという。

    僕はいつお会いしたのかまったく覚えてないのだが、以前、先生がNAISTにいた時代に、NAIST広報の仕事で何度か呼んでいただいたことがある。たぶん、僕が「Robot Watch(休刊)」などに書いていた原稿を通して、ロボットのみならず神経科学、特に構成論的理解や計算論的神経科学、あるいは神経経済学などについても興味があるということが柴田先生の目に留まったのだろう、と思う。この領域で原稿を書いているライターは今でもあまり多くない。数人くらいだろうか。

    さて、NAIST時代から柴田先生がやっていた仕事で、九工大に移ってからも続けている仕事の一つに、双腕ロボットを使った衣服の脱ぎ着がある。着衣介助ロボットだ。今はリシンクの「バクスター」を使っている。ニシャンス・コガンティ氏と執筆した着衣介助の論文はIROSでアプリケーション部門で最優秀に選ばれている(西日本新聞「着衣支援ロボ論文が「世界一」に 九工大大学院の柴田教授ら」)。

    体の姿勢を修正する

    ロボットに体を押してもらって体の姿勢を修正する

    当日は、デプスセンサ(Kinect)とWIiバランスボードを使って人体のスケルトンと傾きを把握して、姿勢を修正するというデモをやってもらった。パーキンソン病の人だと、そもそも自分の傾きが把握できず、それを理学療法士が修正するというリハビリが行われるのだそうだ。物理的に押されることで、力覚的な刺激を直接受けて、自分自身の関節角度情報を修正されることが重要らしい。だが残念ながら急性的な効果はあるものの、恒久的な効果はないとのこと。

    2011年のころはマーカーを使ってモーキャプしていたが、Kinectが使えるようになって少しましになったが、バクスターはやはり大きい。ただ、2015年2月に実際の介護施設(鹿児島県薩摩川内市「グリーンライフ川内」)で高齢者相手に試しても、特に怖いとは言われなかったとのこと。実際にやった学生さんによれば、事前にバクスターに直接触ってもらったりして、あまり力がないこと、ふにゃっと動くことなどを体感して親しみをもってもらっていたことも大きいのではないかとのことだった。

    個人的な話ではあるが、二十年くらい前に柴田先生のお母様がパーキンソン病を患い、母子二人暮らしだった当時、衣服の脱ぎ着に苦労している様子や、ご本人でも介護で様々な苦労をされたことが、ロボット工学を介護に使うことを思い立った理由だという。この辺の話も研究室でいろいろ伺ったが、いつかもうちょっとちゃんと伺ってみたいと思っている。

    衣服を脱ぎ着することは日常動作の一つでだ。だが、ちょっと体を痛めると途端に難しくなる。そもそもロボットにとっては柔軟な物体を扱うのは非常に難しい(柴田研究室ではSIFT特徴量を使って衣服の形状を認識するといった研究も行っている。将来は衣服の折りたたみなどにも応用したいという)。ロボットアームの軌道を作るのが非常に大変であろうことは容易に想像がつく。柴田研では初期軌道は人が与えて、姿勢や素材などの変化に応じて強化学習法を使って運動軌道を探索させている。本当はこのあたりについてもっと詳しく話を聞くつもりだったのだが、今回は時間がなかった。

    ニューロマーケティングのような研究も行っている。顔の向きから嗜好を判断してリコメンドするといったアプリをデモしてもらった。実店舗(大学生協)ですでに行っているとのこと。いまはタブレットだが、将来はロボットにリコメンドさせることも考えているそうだ。

    手指の動きを二次元に圧縮

    手指の動きを二次元に圧縮

    トポロジカルSLAM

    TurtleBotを使ったトポロジカルSLAMの研究

    そのほか、人間の手指の動きのような高次元の情報を二次元上に圧縮表現することで、筋電義手を動かすときのインターフェースやリハビリに使おうとする研究、メトリックではなく構成要素の相対的情報を扱う「トポロジカルSLAM」を用いることで高速にSLAMを実行する研究などについて説明を伺った。

    NIRSで楽器練習過程の前頭葉の活動変化を計測

    NIRSで楽器練習過程の前頭葉の活動変化を計測

    また、NIRSを用いて前頭葉の活動を測ることで楽器演奏のような複雑な運動を練習したときの熟練度の変化を計測し、アドバイスなどに使おうとする研究、あとロボットはいまは動かせないとのことだったが、ダーツを投げるときに人間をサポートしてあげるロボットなどなどの研究も見せてもらった。

    まとめに続く

    Written by 森山和道

    12月 24th, 2015 at 4:23 pm

    Posted in ロボット,日記

    九州工業大学大学院 生命体工学研究科 訪問(4)和田研、田向研、我妻研編

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    3日目から続く。

    九州工業大学

    4日目。

    この日は九工大滞在最終日。
    4つの研究室を訪問させてもらった。

    これも記事としては、ある程度は「ロボコンマガジン」に書くつもりなのだが、
    とりあえずブログでもざくっとした話を書いてご紹介しておく。

    相手をしてくださった研究室は以下の4つ。

  • 障害者支援技術などを研究している人間機能代行システム研究室(和田研究室)
  • ロボカップ@ホーム三位の成績を持つ脳型計算機システム研究室(田向研究室)
  • テオヤンセン機構の解析や自動運転などをやろうとしている脳型知能創発システム研究室(我妻研究室)
  • それと、

  • 購買意思決定過程のモデル化や運動意図推定、双腕ロボットを使ったリハビリシステムなどの研究開発をしている人間・社会的知能システム研究室(柴田研究室)
  • である。

    改めて、呼んでくださった柴田先生に御礼を申し上げます。
    そしてご多忙の折(おそらくは突然だったろう取材のお願いに応じて)相手をしてくださった他の研究室の先生方、
    どうもありがとうございます。
    デモや説明などで時間を割いてくださった学生さんたちにも感謝します。

    さて、一つ一つざっとだがご紹介する。

    人間機能代行システム研究室(和田研究室)

    一つ目は和田親宗研究室

    人間機能代行システム研究室という名前のとおり、和田研では障害あるいは高齢者のための機能代行技術の開発を行っている。これまでに視聴覚障害者のための冷覚の仮現運動を使った文字提示システム、立ち上がり動作支援、歩行支援技術などの開発を行ってきた。また、うつ病など精神的負荷を定量的に推定するシステムの研究も行っているという。こちらはなかなか難しそうだ。

    和田研の靴

    最初に見せてもらったのは超音波センサや力センサ、慣性センサなどをつけた靴。歩行訓練用の歩容の計測・提示システムである。

    和田研究室の松葉杖計測システム。右が和田親宗教授

    松葉杖を使うときの圧力計測システムは、松葉杖をどう使えば(脇の下ではさめば)ずれないか、ユーザーに伝えるためのもの。共同研究している九州看護福祉大学の先生たちに使ってもらっているという。単に圧力を計測するだけではなく、歩容のどのタイミングで外れやすいかがわかればいいかもしれないと思った。

    立ち上がるときに適切に前傾姿勢が取れないと、人は立ち上がれない。足裏に重心からの垂線をもってこれないと立てないのである。起立動作誘導システムは、それがどのタイミングか慣性センサを使って教えようというもの。ただ慣性センサだけでは難しいそうだ。最初から背中が丸まってしまっている高齢者なども少なくないからだ。足底の力センサなどを組み合わせる必要がありそうだ。

    このほか、トイレでの起立支援機械の筋電を使った評価システムや、膝の曲がり方を計測するシステムの提案なども見せてもらった。

    真面目で地道な研究室という印象を受けた。ユーザー、高齢者や障害者の方たちともっと現場で触れ合うと、もっと色々な発想や考察が自然に出てくるのではないかなあと思った。

    脳型計算機システム研究室(田向研究室)

    田向准教授とロボカップ@ホーム用サービスロボット「エクシア」

    田向権(たむこう・はかる)准教授には、ロボカップ@homeで3位になった「EXI@(エクシア)」(Hibikino-Musashi @ホーム)のデモだけでなく、こちらの研究室が連携大学院(カーロボ連携大学院)の仕組みを使ってどのように学生たちの教育に取り組んでいるか教えていただいた。自動運転の研究を行っており、ナビゲーション技術、画像認識、また変わったところで脳波計測とその利用などについて、かなりじっくりと実習が行えるとのこと。初めてこの学研都市の構想が若干理解できた。また、企業とのインターンシップなども実施しており、学生・企業ともにメリットがあるのではないかとのこと。

    「EXI@(エクシア)」は、田向先生が九工大に来る前から既に使われていたロボットで、もともとは石井研によってつくられた台車の名前だったそうだ(というわけで、ガンダムに由来しているかどうか不明とのこと)。腕は車椅子などにつけて使われているiARM。デプスセンサ(Xtion)を二つ、それぞれ手先を見るためと人を見るためにつかっている。デモはペットボトルを取って人に渡すというもの。

    iARMはもともと人が操るためのアームなので、精度はそんなに出ない。手先で5cmくらいは平気でずれてしまうそうだ。だからロボットに使わせるのはけっこう大変だとのこと(逆に言えば、それを使っても人間は作業ができてしまうわけで、人間はやっぱりすごい)。

    いまはiARM用のROSパッケージを作ろうとしているという。どうしてiARMを使っているのかについては、もともと研究室にあった資産だから、とのこと。

    処理系にFPGAをアクセラレータとして使って画像処理を行っているところが特徴となっている。ROSユーザーからは特に何も考えずに扱うことができるそうだ。田向先生は「これからはFPGAの時代が来る」とおっしゃっていた。今年になってIntelがAlteraを買収したことにも一面が表れているように、この業界はこれから大きく伸びるという。スマートフォンにもFPGAが入るだろうとのことだった。組み込みマイコンをFPGAがどれだけ置き換えていけるのか、自分にはどうなんだろうと思うところもあるのだが、FPGAは大きく用途を広げつつあるらしい。

    ともかく半導体の人たちは「常にアプリケーションを探している」そうで、そういう立ち位置からロボットや自動運転を見ているということのようだった。その他、田向研の研究室紹介はこちら

    先生によればいまは「ロボカップ@ホームリーグ」がずいぶん盛り上がっているということだったので、やっぱり一度は見ておこうと思った。

    脳型知能創発システム研究室(我妻研究室)

    我妻広明 准教授

    私自身は完全に忘れてしまっていたのだが、我妻広明 准教授には、以前、お会いしたことがあった。今は昔、インプレスに「Robot Watch」があった時代のこと、こちらの記事だ(「異なる時間スケールの階層性」と「全体から部分への分節化」が知能を創発させる? 〜理研、「創発と知能」研究会を開催)。

    また、2015年9月30日に行わ荒れた産総研によるAIセンターの話(しなやかに人間によりそえる人工知能を 〜産総研 人工知能研究センター(AIRC)始動へ)のなかで出てきた、自動運転の話にもコミットされているとのことだった(このスライド)。

    まず脳にとっての身体、また生物にとって意味のある情報とは何かと考えるお話から伺った。具体的な研究としては、テオヤンセン機構の解析やそれを基にした拡張、身体の運動の分節化、脳波計測時の眼電信号のキャンセル、弾性素材を積極的に使った補助具などの開発を行っているとのこと。最近流行の「ファブ」的な設備環境を整え、教育にも力を入れているとのことだった。

    テオ・ヤンセン機構については、おなじみのVagabond worksさんの仕事に触発されたというところもかなりあった様子。「一昨日会いましたよ」と言ったら担当の学生さんがびっくりしていた。ちなみに博士号取得後は東芝の研究所に行く予定とのことだった。

    拡張テオヤンセン機構

    拡張テオヤンセン機構。クランクがもう一つついている

    柴田研究室編に続く

    Written by 森山和道

    12月 24th, 2015 at 1:26 pm

    Posted in ロボット,日記

    九州工業大学大学院 生命体工学研究科 訪問(3)講義と石井研訪問編

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    2日目から続く。

    講義

    3日目。

    今回、僕を呼んでくれたのは、最初に述べたとおり柴田智広先生である。
    柴田先生は、学生さんたち曰く「常に元気でハイテンション」な先生だ。
    NAIST時代は「常に走り回っている先生」として知られていたという。
    僕の印象も同じである。

    だが今回、予想外の出来事が起きた。
    その、いつも元気な柴田先生が不幸にも風邪をひいてしまったのである。
    しかも39度近い熱があり、自分のためにも周囲のためにも、もう休むしかないという。
    そりゃ大変だ。仕方がない。

    だが問題は柴田先生に呼んで頂いた立場の僕である。
    何が問題だったかというと、僕は今回「学生さんたちに講義をしてくれ」と頼まれていたのだ。

    「ロボットのような知的システムを社会実装する上で考えておくべきいくつかのこと」

    というのが僕のつけたタイトル。

    先生から依頼されたメールにあった文言に「いくつかのこと」という言葉をくっつけたもので、
    JSTの造語である「社会実装」なるバズワードを枕にして、
    自己紹介を兼ねてここ15年くらいのロボットシーンを振り返り、
    そして外部の人間から眺めたロボットを世の中に出して根付かせることの難しさ、みたいな話をする予定だった。

    相手は九州工大の大学院生だが、もちろん僕としては、柴田先生をある程度の想定聴衆、かつ、フォローしてくれる人として想定していたのだが、肝心のその先生がいないわけで、どうしようと思ってしまった。
    学生さんたちからしても、そもそも、先生の代講として変な奴が来た、みたいな状況になってしまったわけで、
    いやはや、かなりとまどった。

    が、とりあえず予定どおり、講義室で二十人くらいの学生さんたちを相手に、1時間15分ほど喋りました。

    僕は普段は取材する側の立場である。される側というか、人前でしゃべることはまずない。
    人前でしゃべるのは、3年くらい前の、理化学研究所(理研)横浜研究所で行われた参加型トーク
    「問い続けることの面白さ」を見出す(2012/3/10)」
    のとき以来だったと思う。

    終わったあとになって、マレーシアからの留学生たちが複数いたことを知った。
    (九州工業大学はマレーシアのプトラ大学大学院と連携大学院になっているのだそうだ)
    彼らにとってはまったくの苦行だったろうなあ、申し訳なかったなと思ったけど、もうしょうがない。
    お互いに不幸な状況だったと思ってもらうしかない。
    また、ロボットの研究室の学生さんたちだからと思って、それぞれのロボットについてはほとんど詳細を紹介せずに知っているものとしてベラベラしゃべっていたのだが、もうちょっと一つ一つについて丁寧に紹介したほうがよかったのかもしれない。
    ともあれ何かしら、意味のあることが残ってくれれば良いけれど。

    話した具体的内容は、あとで別にまとめておくつもりです。

    学生さんたちからは
    「なぜライターになったんですか」
    「理学部を出てマスコミに就職した理由は」
    といった、ごくごく普通の質問をいただいた。
    今にして思えば、役に立つ話をしようと思わず、もっとごくごく普通の話をしたほうがよかったのかも。
    マスコミに行った理由について「ネクタイをしたくなかったから」とアホな即答を返してしまいましたが、
    本当なんです、ごめんなさい。

    柴田先生と知り合った経緯についても聞かれたのだが、
    聞かれて初めて気づいたのだけど、自分でもまったく覚えていない。
    いつごろからのどういった経緯だったのかまったく思い出せない。
    僕の記憶力はそんなもんです。

    石井研究室

    石井和男教授

    終了後は、少しだけ柴田研究室をのぞいて学生さんからご説明を受けたあと、
    熱でふらふらだったろうと思われる柴田先生がアテンドしてくれた研究室見学取材。

    この日は、石井研究室の研究内容について、石井和男先生に話を伺った。
    石井先生は昨日行われたトマトロボコンの担当教員でもある。
    もともとは海洋ロボットで知られる浦環先生の研究室の出身で、いまも水中ロボットもやっている。
    たとえば船底についたフジツボを掃除するロボットなどを研究開発している。

    水中ロボット

    なお浦環先生は今は九州工業大学の特任教授であり、九工大「社会ロボット具現化センター」のセンター長である。
    石井先生は社会ロボット具現化センター副センター長だ。
    ロボコンでは、ロボカップ中型リーグにおいて国内では敵なし(だが、海外では最近はなかなか勝てなくなっているという)「Hibikino-Musashi(ひびきのむさし)」チームを率いている。

    石井先生からは、これまで手掛けてこられたロボットたちを見せてもらった。
    なかに、見覚えのあるロボットがあった。
    愛知万博のプロトタイプロボット展に出展されていた跳躍ロボット「ジャンピング・ジョー」である。
    リンク先のこの記事にもあるように、石井先生は産学連携に力を入れて、下水道管検査ロボットや下肢の運動を助けるリハビリロボットなど、いろいろなロボットを開発されているという。ドローンの研究をやっていた時代もあるそうだ。

    今は浦先生が九州工業大学に来たこともあり、また水中ロボットに力を入れているとのことだった。
    現在は、JST CRESTで、海中ロボットのアーム、底生生物を捕まえられるようなエンドエフェクタを開発中とのこと(こちら)。
    それは東京にあるとのことで見ることができなかった。残念。

    ちなみに生物の研究者からは、DNAをとるために生物表面のちょっとした細胞をひっかいて採るといったものでもいい、と言われているそうだが、ある程度の大型生物を採取できるものを考えているとのこと。

    先ごろ(2015/12/14)発表されたばかりの賞金700万ドルの「Shell Ocean Discovery Xprize」についても伺うと、やはり、参加を検討しているとのことだった(いまはあくまで検討段階)。

    ただ「Shell Ocean Discovery」はロボット屋さんだけではかなり難しいタスクになっていて、情報処理技術屋さんが参画しないと厳しいだろうとのことだった。

    というわけで、やや早かったのだが、3日目はそれで退散した。

    この日の晩御飯は黒崎駅直結のスーパーで買ってきたお惣菜。
    最近のビジネスホテルには電子レンジが設置されているので助かる。

    4日目に続く

    Written by 森山和道

    12月 23rd, 2015 at 11:09 pm

    Posted in ロボット,日記

    九州工業大学大学院 生命体工学研究科 訪問(2)トマトロボコン編

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    トマトロボコン参加者

    1日目(移動・黒崎滞在編)から続く。

    二日目。

    黒崎から北九州学研都市へ

    トマトロボット競技会は3日間にわたって開催される。1日目はブリーフィングやテクニカルカンファレンスのようなことが行われ、2日目に予選、3日目が本選である。
    予選といってもロボットの動作性能確認のようなもので、エントリーした14台のうち、落ちたのは1チームだけだったとのこと。
    具体的には「トマトを触る」というものだ。ロボットがトマトに触れればオッケー。

    僕が行ったのは最後の本選の日だ。
    会場は九州工業大学ほか3つの大学がある「北九州学研都市」の体育館。

    朝だったので、あまり足が選べない。
    「地方都市あるある」だが、公共交通機関、この場合はバスの本数が少ないのである。
    しかもこの日は日曜日。平日以上に本数が少ない。
    だが、これがメインの仕事である。遅れるわけにもいくまい。
    となると、タクシーを使うのが無難ということになる。

    折尾駅が最寄りだということは知っていたのだが、ホテルのフロントにも聞いたところ、
    「学研都市は折尾からだと行きすぎ。タクシーなら折尾から乗るのも黒崎から乗るのもそれほど変わらない」とのことだった。
    地図を見ると、なるほどそうなのかな、とも思えた。
    そこで黒崎駅からタクシーを利用した。
    だが、これが間違いだった。
    ぜんぜん違いました。
    おまけに乗ったタクシーが外れで、のろのろ運転しやがってまったく、と思ったが、以下省略。

    というわけで、「北九州学研都市」に行くときには、「折尾」駅から行きましょう。

    トマトロボコン

    まあ、いちおう時間には十分間に合って到着した。
    体育館はひえひえだった。
    とりあえず、取材で伺った旨を伝え、担当の石井和男教授ほか、いろんな先生に挨拶をし、
    準備中のロボットをちょいちょいと見せてもらう。

    トマト収穫ロボットは、自律でも遠隔操作でも可とされている。
    遠隔操作も、ロボット搭載のカメラやセンサー類だけを見ながら行う「ブラインド」と、ロボット本体を肉眼で見ながら行う操作があるが、そのどちらでもいいことになっている。

    ただし、どの方式を取るかによって、獲得する得点への掛け率が変わってくる。
    またロボットの移動方式も、フリーエリアを使うのか、トマト近くに敷かれたパイプレールを使うのかによって異なる。

    本選は2回にわけて行われる。
    ファーストステージは葉っぱなどのない状態のトマトを使う。
    ファイナルステージは、葉っぱのついたトマトからトマトを収穫する。

    トマトを傷つけたりすると、減点である。
    もぎとったトマトだけではなく、トマトの本体を傷つけるのも減点。
    落とした場合はノーカウントだが、落としたトマトが傷物になっていたらやはり減点となる。
    トマトはヘタをつけた状態で収穫しなければならない。
    日本の流通ではそういうことになっているからである。

    聞いて驚いたのだが、ふさになっているトマトを、一つずつ取らないといけないのだという。
    しかも傷つけてはダメ。
    人間でも馴れないとかなり難しい作業である。
    これは難しい、と思った。

    大規模ハイテクトマト農園「響灘菜園」

    収穫したトマトを審査する浦環氏と「響灘菜園」の川尻氏

    審査は、このロボコンを行うきっかけの一つである、
    若松地区にある「響灘菜園」の川尻一志氏が行っていた。

    「響灘菜園」はカゴメの子会社で、巨大な、まさに植物工場としか言いようがないトマト農園を持っている。
    温室面積はなんと約8.5ha(約4.3ha×2棟)
    20万本のトマトが植えられている。
    大規模ハイテク農園である。

    そこで収穫を少しでも自動化できれば、という話を聞いた九州工業大学の先生たちがロボコンを行うことにしたのだという。
    たとえば、ハイシーズンであっても、選果作業のためには、まず収穫作業を行わなければならない。
    それがもしロボットを使って行えるようになれば、夜間(あるいは昼間も)にロボットに収穫作業を行わせ、人間が出勤したらただちに選果作業に入る、といったかたちでの作業ができるようになる。

    トマトのそばに敷かれているパイプレールも、もともと農園で温水暖房と作業をしている人たちが移動台車用レール兼用として使っているもののサイズを測って幅を決めているという。
    いちおう、将来的には実用を目標としているからだ。

    会場ではここの紹介ビデオが流されていたのだが、このビデオがまた面白くて、
    いろいろ思うところがあった。
    個人的にはこのビデオを見られただけでも来た甲斐があったなと思った。

    トマトロボコン競技

    さて、ロボットはどれも意外によく動いていた。
    特にシンプルな動きのものは動作も確実である。

    成績結果は、

    1位 九州工業大学のチームHayashi Lab、
    2位 「都合により個人参加」のチームSS、
    3位 東大JSK3年生少人数ゼミチーム

    となった。


    「チームSS」の人は、知ってる人たちにはおなじみのマスタースレイブでロボットを操作していた。

    あとの詳細は「ロボコンマガジン」に記事として書く予定だ。

    いくつか動画をアップしておいたので、興味があればYoutubeを見て欲しい。
    おいおい、追加もしていく予定である。


    ちなみにこれは優勝した九州工業大学のチームHayashi Labのロボット。
    自律でトマトを見つけ、もぎとっているところ。

    最後にわーっと盛り上がっているのだが、
    動画ではアップなので何がどうなっているかわからないと思う。
    解説しておくと、これは、一つをもぎとったら、
    たまたま他のトマトもボロボロっとうまい具合に取れてしまい、収穫カゴに入っちゃった、というシーン。
    こういうミラクルを引き寄せるのも実力のうちである。

    優勝したHayashi-lab

    なおロボットによるトマトの取り方としては、かつて通販番組でお馴染みだった
    「高枝切りばさみ」を使っているチームが多かった。
    切りさえすれば、切ったあとも、そのままトマトをつまんだままで収穫できるからである。

    見ていると、単に切るだけでもかなりの切れ味か力が必要なようで、
    もう片方の腕を使うなどしてサポートするといった工夫は必須だなと思った。
    また、今回はトマトは取りやすい角度にもともと向けてもらっているが、
    実際のトマトはそういう生りかたのものばかりではない。
    葉っぱの陰になっているものもあれば、回転したりする作業も必要になる。
    単なるXYでアームを動かし、手先を伸ばしてチョキンと切ってとるだけのものでは実用化は不可能だ。

    大会はロボット自体もさることながら、「響灘菜園」の方の話が非常に面白く興味深かった。
    自分としては、既にあれだけ自動化されているのであれば、この菜園専用に機械を開発してしまったほうが、
    逆に汎用性と実用性をもった機械ができるように思った。

    ただ、いきなりメーカーに開発を依頼すると、それなりのものはできるかもしれないが、高価につく。
    ロボコンという形式ならば、安価に、しかも今までになかったアプローチの機械が生まれるかもしれない。
    そう考えているとのことだった。

    ジュニア部門の様子

    会場は体育館で、とにかく冷えた。
    今回は「ジュニア部門」として、レゴマインドストームを使って、
    ミニトマトの入ったボックスを収穫するライントレースロボットを作るという、
    ETロボコンのトマト特化版のようなものが同時に行われていた。

    参加していたのは高校生くらいの子たちである。
    マインドストームも触ったばかりだそうなのだが、けっこうなロボットをいろいろ組み立てていて、これはこれで見ていて面白かった。
    しかし会場は冷えたなあ。
    彼らも寒かっただろうと思う。

    なお、ロボットによって収穫されたトマトは、希望者に配布された。
    そんなにいっぱい食べられないんじゃないかなと思ったが、
    ジャムなどにすると美味しいそうだ。

    というわけで、2日目は終了。
    僕はバスに乗って黒崎に帰り、冷えた体をラーメンで温めた。

    あとで知ったが、たまたま入ったこのラーメン屋は黒崎では人気の店だったらしい。
    確かにうまかった。あたりを引いた。

    3日目に続く

    Written by 森山和道

    12月 23rd, 2015 at 10:14 pm

    Posted in ロボット,日記